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Audit Suite Text Reviewer (AS Text Reviewer)

自然言語処理AIを用いた監査ツール

AS Text Reviewerは、会計士の知見を学習したAIが大量の専門文書から監査に必要な情報を抽出することで、ポイントを絞った監査手続を効率的に実施できるほか、早期のリスク検知や洞察の提供を通じてサプライズのない高品質な監査を推進する最先端の監査ツールです。

大規模言語モデルを活用しつつ、会計士の知見をAIが学習

監査チームは監査の過程で契約書等の専門文書を精読し、取引の内容を把握したうえで会計処理の検討や監査上の判断を行っています。長文で複雑な専門文書から会計・監査に影響する重要な情報を漏れなく識別するためには膨大な知識と経験に基づく熟練が必要です。

トーマツでは学習済みの自然言語処理AI(大規模言語モデル)を基盤に活用することで、熟練した会計士の知見を限られた学習量でも高精度に再現させることに成功し、監査ツールとして監査の現場で活用しています。

AS Text Reviewerのイメージ

 

学習済みの自然言語処理のAIに加えて光学文字認識技術(OCR)を活用することで、大量の文書やスキャン画像を短時間で高精度に処理することが可能となり、監査チームは抽出結果をもとに会計・監査上の検討や判断に集中することができます。

AS Text Reviewerの機能

1)情報抽出


AS Text Reviewerは不動産リース契約書からのAI情報抽出機能を搭載しており、日本の改正リース基準やIFRS・米国会計基準におけるリース料やリース期間等の会計処理に影響する記述を中心に25の項目に対応した情報を自動的に抽出します。



2)文書比較

 

専門文書の内容に関わらず、監査チームによるレビューを支援する目的で、AIが最大3つの文書を横並びで比較して相違点を視覚的に一覧化する機能も搭載しています。例えば、監査先企業から「提出された文書」が「基準となる文書」をもとに「前期の内容」を引き継ぎつつ、「当期に必要な更新」が漏れなく正確に反映されていることを効率的に確かめることが可能です。これにより、監査チームは相違点等に関する判断に集中することができ、修正事項等の伝達を早期化することができます。

活用のメリット

  • 改正リース基準の適用影響の検討局面において、大量の契約書でも熟練者目線で重要な箇所がハイライト・抽出されるため、ポイントの読み漏れを防止しながら均一に検証することができ、リスクを早期に検知することが可能です。
  •  画像形式のファイルフォーマットにも対応しており、2ページアップのレイアウトや傾き・汚れ、表の中に文字があってもAIが文字を高精度に認識できるため、監査チームは画像を見ながら監査調書に文字を打ち込む作業から解放されるだけでなく、複数の契約書ファイルを一度に処理して抽出結果をワークシートに一覧出力することで、契約内容の比較や傾向分析等の洞察の提供を容易にします。

今後は流動化取引やM&A等、より高度な専門性が要求される領域の文書に対するAI情報抽出機能を順次開発する予定です。

 

トーマツでは日本の改正リース基準を見越してAS Text Reviewerの準備を開始し、2022年9月から先行導入しています。トーマツは、複雑化する社会の変化に向き合いながら一つずつ丁寧に取り組むこと、そして、既存の監査の概念や手法にとらわれず、未来を見据えた新しい取り組みを早期に現場へ導入していく「Audit Innovation®」*を推進することで、監査先企業およびステークホルダーの皆様へ安心と信頼を提供していきます。誠実性、社会やクライアントとの信頼、そして、決して毀損してはならない品質という、変えてはならないものを守り続けるために、私たちは変わり続けます。


* Audit Innovationは、有限責任監査法人トーマツの登録商標です。

 

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