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IASB、IFRS第10号から第12号の適用後レビューについての情報要請を公表    

IAS Plus 2020.12.09

IASBは、IFRS第10号「連結財務諸表」、IFRS第11号「共同支配の取決め」及びIFRS第12号「他の企業への関与の開示」が、財務諸表の利用者に有用な情報を提供しているかどうか等を識別するために利害関係者からのコメントを求める、情報要請(RFI)を公表した。

国際会計基準審議会(IASB)は、IFRS第10号「連結財務諸表」、IFRS第11号「共同支配の取決め」及びIFRS第12号「他の企業への関与の開示」が、財務諸表の利用者に有用な情報を提供しているかどうか、適用が困難及び基準の整合的な適用を妨げる要求事項があるのかどうか、及び基準を適用または強制することに関連して生じている予想外のコストがあるのかどうかを識別するために利害関係者からのコメントを求める、情報要請(RFI)を公表した。


IFRS第10号、IFRS第11号、及びIFRS第12号の適用後レビュープロセスは、2019年9月にIASBのアジェンダに正式に追加された。IASBは、レビューの範囲を決定し、IFRS第10号、IFRS第11号及びIFRS第12号を評価することを可能にする前に回答する必要のある主要な質問を識別するための情報を入手している。


これまで入手した情報は、多くの利害関係者が、基準が機能していると考えていることを示しているが、IASBの利害関係者が、改善から依然として便益を受けるかもしれないと考える分野があることを示している。当該フィードバックに基づき、IASBは、以下の分野をRFIにおいてさらに検討することに合意した。

 

IFRS第10号「連結財務諸表」は、すべてのタイプの企業に対する連結の基礎として支配を識別する単一の連結モデルを提供する。以下の分野が、さらなる検討が必要とされるかもしれない。

・投資先に対するパワー。関連性のある活動、投資先に対するパワーを投資者に与える権利及び議決権の過半数なしの支配を含む。

・パワーとリターンとの関連。本人と代理人及び非契約の代理関係を含む。

・投資企業。投資企業を識別するための要件及び投資企業である子会社を含む。

・以下に対する会計上の要求事項
 ・所有の変更から生じる取引
 ・事業を構成しない子会社の部分取得

 

IFRS第11号「共同支配の取決め」は、当事者が当該取決めから生じる権利及び義務を認識するという、共同支配の取決めに対する会計について原則ベースのアプローチを確立している。以下の分野が、さらなる検討が必要とされるかもしれない。

・IFRS第11号の範囲に含まれない協力の取決め(collaborative arrangements)

・共同支配の取決めの分類

・共同支配事業に対する会計上の要求事項

 

IFRS第12号「他の企業への関与の開示」は、子会社、共同支配の取決め、関連会社及び非連結の組成された企業に対する開示の要求事項を結合し、拡張し、置き換えている。IFRS第12号の要求事項に対するコメントは比較的少なく、フィードバックはさまざまであった。したがって、RFIは、本基準の目的を満たすためにどの程度の要求事項が企業を支援するかを確立することを目的にしている。

 

コメント期間終了後、IASBは、他の協議活動を通じて得た情報とともに、受け取ったコメントを検討する。IASBの最終的な結論は、レビューの結果としてIASBが考えるとるべきステップも示すレポート及びフィードバック文書に表示される。IASBは、アジェンダに基準設定プロジェクトとして追加することを決定する、さらに1つまたはそれ以上の事項をリサーチ・プログラムの一部として検討する、またはそれら両方の可能性がる。IASBは、何の行動をとらないことを決定する可能性もある。


RFIに対するコメントは、2021年5月10日まで募集される。情報要請(※1)及び対応するプレスリリース(※2)は、IASBのWebサイト(英語)から入手可能である。デロイトは、RFIの内容を紹介するIFRS in Focusのニュースレター(IAS Plus-英語※3)を発行している。

 


 ※1》"Request for Information: Post-implementation Review of IFRS 10, IFRS 11 and IFRS 12 (PDF:243.82KB-IASBのWebサイト-英語)
※2》"IASB reviews package of IFRS Standards for group accounting(IASBのWebサイト-英語)
※3》"IFRS in Focus - IASB seeks information on its post-implementation review of IFRS 10, IFRS 11 and IFRS 12(IAS Plus-英語) 

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