ナレッジ

IASB、交換可能性の欠如が存在する場合の会計処理を明確化するIAS第21号の修正案を公表    

IAS Plus 2021.04.20

IASBは、公開草案「交換可能性の欠如」(IAS第21号の修正案)を公表した。本公開草案は、通貨に交換可能性がある場合を特定し、交換可能性がない場合にどのように為替レートを決定するかのガイダンス案が含まれている。コメントは、2021年9月1日まで募集される。

国際会計基準審議会(IASB)は、公開草案「交換可能性の欠如」(IAS第21号の修正案)を公表した。本公開草案は、通貨に交換可能性がある場合を特定し、交換可能性がない場合にどのように為替レートを決定するかのガイダンス案が含まれている。コメントは、2021年9月1日まで募集される。

 

背景

IAS第21号「外国為替レートの変動」には、直物為替レートが観察可能でない場合に企業が使用する為替レートについての明示的な要求事項が含まれていないため、IFRS解釈指針委員会は、長期に交換可能性が欠如している場合の為替レートの決定に関する要望書を受領した。解釈指針委員会は、狭い範囲の基準設定の可能性をリサーチし、最善の方法は、この問題に対処するために、IASBがIAS第21号に対する狭い範囲の修正を提案することを提言することであると結論付けた。

2019年11月、IASBはこの問題を引き受け、この後の会議にわたり、通貨に交換可能性があるかどうかをどのように評価するか、及び交換可能性がない場合にどの為替レートを使用するかについて議論した。IASBは、IAS第21号に、通貨が他の通貨に交換可能であるかどうかを企業が決定することに役立つ要求事項及び交換可能性がない場合に企業が適用することとなる要求事項を追加する提案を決定した。

 

変更案

公開草案「交換可能性の欠如」(IAS第21号の修正案)における変更案は、以下のようにIAS第21号を修正する。

  • 通貨が他の通貨に交換可能である場合、交換可能でない場合を特定する
    間接的に他の通貨を通じてであったとしても、必要以上の遅延なしに強制可能な権利及び義務を生じさせる市場または交換メカニズムを通じて、企業が通貨を他の通貨に交換することが可能である場合、通貨は交換可能である。企業が僅少な金額の他の通貨のみしか獲得できない場合、通貨は他の通貨に交換可能でない。

  • 通貨に交換可能性がない場合に、企業はどのように為替レートを決定するかを特定する
    通貨に交換可能性がない場合、企業は、当該通貨に交換可能性があったならば企業が報告日時点でアクセスできており、市場参加者の間での秩序ある取引において生じたものであり、その日現在の経済状況を忠実に反映するレートとして、直物為替レートを見積もる。観察可能なレートが上記の要求事項を満たすまたは交換可能性が回復された後に交換が行える最初のレートである場合、企業は、観察可能なレートを見積直物為替レートとして使用することもできる。

  • 通貨に交換可能性がない場合に、追加情報の開示を要求する
    通貨に交換可能性がない場合、企業は、通貨の交換可能性の欠如が、どのように財務業績、財政状態及びキャッシュ・フローに影響するかを財務諸表の利用者が評価することを可能にする情報を開示する。

 

変更案に対するコメントは、2021年9月1日まで募集されている。

 

発効日

IASBは、公開草案の後に発効日を決定する予定であるため、公開草案には発効日案は含まれていない。早期適用は認められることとなる。本修正は、本修正の適用開始日から将来に向かって適用することとなる。

 

 さらなる情報
下記リンクをクリックしてください:

》IASBのプレスリリースの日本語訳 (ASBJのWebサイト)
》公開草案へのアクセス(PDF:242KB-IASBのWebサイト-英語)
》公開草案を紹介するウェブキャスト(動画-IASBのWebサイト-英語)
》IAS Plusのプロジェクト・ページIAS第21号-交換可能性の欠如(IAS Plus-英語)

 

お役に立ちましたか?