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IASB、IFRS第16号の修正を公表

IAS Plus 2022.09.22  

IASBは、売手である借手が、IFRS第15号の要求事項を満たし売却として会計処理されるセール・アンド・リースバック取引に、どのように事後測定の要求事項を適用するかを明確にする修正である「セール・アンド・リースバックにおけるリース負債」(IFRS第16号の修正)を公表した。

国際会計基準審議会(IASB)は、売手である借手が、IFRS第15号の要求事項を満たし売却として会計処理されるセール・アンド・リースバック取引に、どのように事後測定の要求事項を適用するかを明確にする修正である「セール・アンド・リースバックにおけるリース負債」(IFRS第16号の修正)を公表した。
 

背景

IFRS解釈指針委員会は、IFRS第16号「リース」と指数またはレートに応じて決まらない変動リース料であるセール・アンド・リースバック取引に関する要望書を受領した。IFRS解釈指針委員会は、どのようにセール・アンド・リースバック取引から生じるリース負債にIFRS第16号における事後測定の要求事項を適用しなければならないかを明確化するようIFRS第16号を修正することに便益があるであろうという結論に至り、IASBも同意した。

IASBは、2020年11月に明確化の修正を提案する公開草案(ED)を公表(デロイト トーマツのWebサイト-※1)し、今般IFRS第16号の最終修正を公表した。
 

変更点

「セール・アンド・リースバックにおけるリース負債」(IFRS第16号の修正)は、売手である借手が、保持している使用権に関連する利得または損失の金額を認識しない方法で、リースバックから生じるリース負債を事後測定することを要求する。新しい要求事項は、売手である借手が、リースの部分的または完全な終了に関連するいかなる利得または損失も純損益に認識することを妨げない。

2020年11月のEDは、売手である借手が、リースバックから生じる使用権資産及びリース負債をリース開始日における予想リース料の現在価値を用いて当初測定することを提案したが、最終修正は、リースバックから生じるリース負債に対する具体的な測定の要求事項を定めていない。

また、本修正は、修正した設例を1つと新しい設例を1つ含んでいる。
 

発効日及び経過措置

本修正は、2024年1月1日以後開始する事業年度に発効する。早期適用は認められる。売手である借手は、IFRS第16号の適用開始日(C2項)以後締結されたセール・アンド・リースバック取引に対して、本修正をIAS第8号「会計方針、会計上の見積りの変更及び誤謬」に従って遡及的に適用する。
 

反対意見

ボード・メンバー1名が、最終修正の公表に反対票を投じた。当該ボード・メンバーは、セール・アンド・リースバック取引は、取引についての利得または損失の全額を直ちに認識することにより会計処理しなければならないと考えている。このアプローチは、IFRS第16号におけるセール・アンド・リースバック取引を全体的に再検討することをIASBに要求することとなり、IASBは反対することを決定した。
 

さらなる情報

以下をクリックしてください:

IASBのプレスリリースの日本語訳(ASBJのWebサイト)

• IAS Plusのプロジェクト・ページIFRS第16号―セール・アンド・リースバックにおけるリース負債(IAS Plus-英語版)

 

※1》「IASBが、セール・アンド・リースバックにおけるリース負債の測定を明確化するためのIFRS第16号「リース」の修正を提案」(デロイト トーマツのWebサイト)

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