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有価証券貸付と責任投資戦略は両立するのか?

公的研究と学術研究の概要

Performance magazine issue39より

Datalendの統計によると、2021年の世界の有価証券貸付市場で、貸し手は92.8億米ドルの収益を上げています。これは2020年の76.6億米ドルから21.2%、2019年の86.6億米ドルからは7.2%の増加であり、2021年の貸付総額は2018年以来最高額となりました。

環境、社会、ガバナンス(ESG)の課題と大幅なパフォーマンス向上の関連性がいっそう高まり、ESG関連規制がますます厳格化されている今、ESG課題を適切に管理することがファンドマネージャーにとって非常に重要です。責任投資アプローチへの国際的な関心の高まりに後押しされ、規制当局と業界のステークホルダーもこの課題への関与を深めています。

資産運用業界全体と投資家が責任投資とサステナビリティに注目する中で、ESG投資と相容れないという見方から、有価証券貸付には厳しい監視の目が向けられています。そもそも、有価証券貸付は長期的なサステナビリティの取り組みと株主のコミットメントにどの程度影響を与えるのでしょうか。本稿では、有価証券貸付を取り巻く環境、および有価証券貸付とサステナブルファイナンスの両立性についての公的研究と学術研究の見解を要約していきます。

 

要点

  • 有価証券貸付は、成熟した金融市場に不可欠な要素です。
  • 現在のところ、有価証券貸付がサステナブル投資戦略を妨げる可能性があるという証拠は示されていません。
  • ISRラベル基準では、必要なサステナブル基準を満たして実施される有価証券貸付は禁止されていません。
  • 責任投資基準を確実に遵守するためにベストプラクティスを取り入れることで、有価証券貸付取引の安全性を確保する市場参加者は少なくありません。

 

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