調査レポート

保育所の多機能化、他機関連携等を含む地域における保育所等の子育て支援提供体制に関する調査研究

保育所の多機能化、他機関連携等を含む地域における保育所等の子育て支援提供体制に関する調査研究を実施した。今後の人口減少社会を見据え、地域の子育て支援提供体制における保育所の現状の役割及び今後期待される役割と課題等について把握し、また、持続可能な地域の実情に応じた保育所の多機能化・連携に係る取組事例をまとめた。

調査研究事業の背景・目的

【背景】

令和3年12月に取りまとめられた「地域における保育所・保育士等の在り方に関する検討会取りまとめ」の中で、今後の人口減少社会における良質な保育の提供維持が課題とされ、今後の保育施策の大きな柱として位置付ける必要性が示された。具体的には各地域の保育所を含む子育て資源の機能・役割分担のもとで、保育提供体制を構築する必要があるとともに、保育所の多機能化等や、保育所が他の子育て支援機関等と連携して効果的に地域支援を行うなどの事例収集と展開について検討すべきであるとされた。

 

【目的】

今後の人口減少社会を見据え、地域の子育て支援提供体制における保育所の現状の役割及び今後期待される役割と課題等について把握する。また、持続可能な地域の実情に応じた保育所の多機能化・連携に係る取組事例をまとめる。さらに、今後の人口減少地域等における良質な保育を継続的に提供していくための示唆・課題について取りまとめを行うことを目的とした。

 

調査研究事業の内容

調査A:アンケート調査

全国1,741自治体へアンケート調査を実施し、775自治体(回収率43.4%)から回答を得た。調査結果は全国市区町村の子ども子育て支援体制全体における保育所の多機能化、連携・協働体制の実態把握を行ったほか、調査Bのヒアリング選定にも活用した。

 

調査B:ヒアリング調査

8自治体及び関係団体5団体の計13団体にヒアリングを実施し、今後、多機能化や連携・協働体制を検討する市区町村の参考となるように、取組の進め方、苦労した点や課題解決策等を取りまとめた。

 

研究会の開催

有識者、自治体担当者等から構成する研究会を全三回開催し、助言を得た。

 

調査研究事業の結果

【結果】

775自治体中、保育所等の多機能化を現在実施している自治体は485自治体(64%)であった。ヒアリング調査を実施した自治体及び関係団体の多機能化・連携の取組は、①保育業務の延長で実施可能な事業、②地域の他施設・他職種の専門職と連携する事業、③施設統廃合に伴う多機能化、④まちづくり・広域連携等に係る事業に整理した。

 

【まとめ】

地域の子育て支援提供体制の構築・維持において保育所に求められる役割は、地域の実状により異なる。人口減少地域に限らず、保育所の多機能化・連携は現場からの保育ニーズ・課題の対応策や解決策として取組まれている。保育所の多機能化・連携を推進するには、関係機関間の情報連携が重要であり、庁内で情報連携を有機的に行うハブ的な機能の役割を果たす部署や担当者の配置や、保育関連部局を越えた連携も大切である。わが国が目指す「こどもまんなか社会」の実現に向けて、その地域や生活圏の中で、どのような保育所の多機能化や連携が必要になるのかを考える必要があり、目的を明確にした上で庁外資源の活用も検討しながら取組むことが期待される。

本調査研究事業に関するお問合せ先

柚木 大介|シニアマネジャー
財満 信子|マネジャー
都築 由美
那須 雄太
山田 圭之介
長島 沙織

有限責任監査法人 トーマツ
リスクアドバイザリー事業本部 ヘルスケア
E-mail : dthc_surveyinfo@tohmatsu.co.jp

※上記の部署・内容は、掲載日時点のものとなります。2023/04

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