最新動向/市場予測

ヘルスケアICTに関する各国の概況と動向

EHR、PHR、遠隔医療に関して

政府の「健康・医療戦略」に掲げているとおり、医療分野におけるICT(Information and Communication Technology/情報通信技術)の積極的な利活用が推進されています。 そのような環境下において、ヘルスケアICTのEHR、PHR、遠隔医療に関して主要8ヶ国の各サービスの概要と普及状況、また最新の動向をお伝えします。

EHR (Electronic Health Record)

EHRの普及が進んでいるイギリス・デンマーク・シンガポールは共通して、国家主導でEHRシステム構築の普及を進めています。

医療機関を公的主体で運用しているイギリスでは、2020年までにNHSが管理している全ての医療サービスはデジタル化された運用が可能になることが期待されています。

一方、医療機関を民間主体で運用しているアメリカでは、HITECH法(The health information technology for Economic and Clinical Health)のもと医療機関へEHR導入のインセンティブを実施することで、急速にEHRが普及し技術が進展しています。

PHR (Personal Health Record)

PHRは、デジタルヘルスツールとして個々人の健康の管理を行えるシステムから、EHRへ接続しGP(General Practitioner/かかりつけ医)の予約や来院履歴の確認ができるシステムとなっています。

デンマークの医療データの市民ポータルサイト「sundhed.dk」やシンガポールの患者の医療記録をオンラインで確認できる「ヘルスハブ」は、EHR同様に国家主導でシステムを構築しています。「ヘルスハブ」は、患者が指定した医療提供者へ自身の医療記録へのアクセス、予約取得サービスを可能としています。これにより、医療記録管理と予約照会の時間が削減されています。

ドイツでは、2018年から運用が開始される「eHealthカード」という医師が患者の医療記録を閲覧できるシステムの導入がPHRの普及を進める施策となると考えられています。

遠隔医療

遠隔医療はテレビ電話等のシステムを利用することで、患者の来院負担の軽減、救急利用や入院率を減少させることに貢献し、医療費の削減につながると期待されています。国の遠隔医療に対するセキュリティやネットワークなどのインフラ面の構築、および、遠隔医療の適用範囲に対する保険支払制度の構築が大きな障壁となっています。

例えば、韓国では推進派の国の方針と保守派の医師会の方針が対立し、遠隔医療の普及が鈍化しています。一方、中国では人口に対する医療機関不足から国が普及促進の計画を進めており、遠隔医療に対する需要は増加傾向にあり、2023年にはアメリカの市場を抜くとも予測されています。

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