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決算早期化の事例:業務改善により経理部門の深夜残業を削減

コントラクトパーソネル(CP)サービス事例3

決算早期化は、デロイト トーマツ タレントプラットフォーム株式会社(DTTP)のコントラクトパーソネル(CP)サービスでご依頼いただく事案です。業務を分析し、無駄を省いて標準化することで、決算早期化を実現できた事例をご紹介します。

3. 決算早期化

コントラクトパーソネル(CP)サービスにおいて、決算早期化は複数のクライアントよりご依頼いただく事案です。

以下の事例はいずれも残業が常態化してしまっている組織のもので、両社ともにマネジャーが退職、業務が動かなくなっている状態でした。非効率な業務が多く、業務を分析し、無駄を省いて業務を標準化するという基本的なことを丁寧に実行していくことで、決算早期化を実現できた事例です。

3.1 残業が常態化している経理部門の業務改善を実施し、業務効率化を進め、決算早期化を実現

【クライアント】

米国上場企業日本子会社(情報通信業)
管理本部 Accounting & Tax
 

【経緯/状況】

残業が常態化している組織で、アカウントマネジャーが突然退職。親会社に対する月次レポートの提出が困難になった。業務マニュアルもなく社内に業務を実施できる知識のある人材もいない状況であり、月次レポートをタイムリーに完成させるための業務改善と決算早期化を依頼された。
 

【当社の対応】

手入力作業を排除し、残業を減らす

月次レポート業務については、日本の会計ソフトで作成した財務諸表を米国のパッケージへ変更する必要があったが、手入力の必要な作業も多く時間がかかり、チーム内では残業が常態化していた。そこで、手入力をしていたフォームを改良してダウンロードしたデータを利用できるようにし、入力ミスがあった場合はフラグを立てるようにした。

さらに、複雑なExcelのシートを簡略化し、手入力をなるべく排除するようなフォーマットに作り替えた。また、アカウントマネジャーが退職したことで、語学力不足や会計業務のスキル不足などにより親会社との意思疎通がうまく図れておらず、不要なレポート作成も発生していたため、親会社とミーティングを重ねて業務の簡略化を行った。
 

決算早期化のためにレポーティングシステムを導入

決算早期化に向けAccrual Accountingに対する事業部側の理解と協力が必要であったため、数値提出の必要性を説明しつつ、事業部側が提出しやすいフォーマットへ改変。親会社が使用しているReconciliationやSOXのレポーティングシステムを導入し、透明化を図った。さらに、事業部側のマネジメントに対しても会計や税務に関するコンプライアンスの意識を高めてもらえるように説明会を実施した。

以上のような業務の見直しを通じて作業効率を高め、数値のつながりも明確化したため、担当する各人の業務の理解が深まった。また、経理業務全般をマニュアル化したことにより、知識の共有化が図れたため、新しいメンバーの参加も容易になり、その結果、チームメンバーのモチベーションも高まり、常態化していた残業も減少することとなった。
 

【担当した当社のプロフェッショナル】

監査法人、税理士法人を経て、クライアント常駐型のサービスを行うコンサルティング会社にて日系企業から外資系まで多数のプロジェクトを経験。税理士。

3.2 職務代行者として経理部マネジャーの役割を果たすとともに、業務改善と業務標準化を実施

【クライアント】

欧州上場企業日本子会社(化学工業)
経理部
 

【経緯/状況】

親会社に対する月次決算締めとレポート締めの日程が厳しく、経理部員は毎月月初に深夜労働を余儀なくされていた。残業過多で離職率も高く、チームのモチベーションが維持しにくい状況であった。そのような折に経理部マネジャーが退職し、マネジャー職務の代行に加えて、月次決算の早期化も併せて改善をしたいという依頼があった。

【当社の対応】

月次決算の遅延原因を解消

マネジャーとしての日常業務を遂行しながら現状業務の分析を実施し、月次決算のボトルネックになっている複数のポイントについて、改善に向け次の対応を行った。

まず、経理業務のマニュアル整備と業務標準化による属人化の解消を実施。これにより、一人が病欠したり業務の遅れがあったりしたときに、周囲のサポートによりリカバリーができる体制となった。

次に、経理部と予算部門の事前情報共有を実施。経理部が予算を事前に把握しておくことで、実際の処理の準備と心構えができるようになった。また、予算部門からの質問はその都度受けるのではなく、質問・回答フォーマットを作り、タイミングを決めて一括して質問を受けることで、月次決算過程での業務の効率化を図った。
 

社内の申請書や提出物のルールを見直し、遅れの原因を排除

仕入部門への事前経理サポートを実施した。これまでは、仕入部門で毎月数字を合わせることに四苦八苦し、売上原価と棚卸資産が確定せず、その締切スケジュールを大幅に超過し、月初になってから経理部門のリソースを多大に割いている状態だった。これを改善すべく、経理部員の持つノウハウを月中から仕入部門に注入し、仕入部門の数字合わせの迅速化と締切順守を推進。これにより、経理部員は月初に経理が本来やらなければならない月次決算対応に集中できるようになった。そして全社に対しては、申請書や提出物のルールを見直し、締切順守協力の依頼などを行い、月次決算が遅れる原因を極力排除した。

これらの施策を講じたことにより、改善に着手して数カ月のあいだに、深夜まで続く月初の月次決算締め対応は徐々に緩和され、毎月の深夜残業もなくなったことで経理部員の負担が軽減。ある小さな子供がいる部員からは、「残業等で心身ともに大きな負担がかかっていたものがやわらいだ」とのフィードバックをいただいた。月次決算とレポートの締めも、余裕を持って達成できる状態となり、大変感謝された。
 

【担当した当社のプロフェッショナル】

経理財務を専門とするが、それ以外の業務管理、総務・人事・労務、法律、IT、経営企画等と、管理部門のほとんどの分野の業務経験を持つ。事業会社ではコントローラー、経営企画室長、管理本部長、CFOとして活躍し、課題解決・改善・改革業務を得意とする。経営学修士。

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