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ERPを導入した事例:外資系企業主導のケース

コントラクトパーソネル(CP)サービス事例5

グローバル規模でのERP導入の実現には、複数の会計基準への対応、本社との調整など、多くの課題があります。デロイト トーマツ タレントプラットフォーム株式会社(DTTP)のコントラクトパーソネル(CP)サービスでERPを導入した事例を紹介します。

5. ERP導入支援

ビジネスパフォーマンスを高めるためにグローバル規模でのERP導入が行われていますが、実現までには多くの課題があります。

ここでは、外資系企業における、グローバル主導のERP導入プロジェクトの事例を紹介します。日本特有の商習慣の問題、複数の会計基準への対応、グローバル本社との調整など、多くの会社で直面する課題を克服した事例です。

5.1 Oracle EBSの導入第1フェーズにて勘定科目やコード体系の作成、日米の会計基準(US-GAAP・J-GAAP)への対応、業務プロセスの見直しとマニュアルの作成を主導

【クライアント】

外資系企業日本子会社(家電製品などの卸売業)
 

【経緯/状況】

会計システムをOracle EBSへ切り替えるプロジェクトが本社主導で実施されていたが、プロジェクトが開始された直後に経理部門のキーパーソンが退職したこともあり、日常のオペレーションに影響を与えず、ERP導入を確実に実行できる人材の確保が喫緊の課題であった。会計のみならず税務およびERPシステムにも精通し、かつ社内およびアジアパシフィック本社ともスムーズにコミュニケーションがとれる人材を希望していた。
 

【当社の対応】

US-GAAP・J-GAAPの勘定科目の紐づけで自動計上を実現

旧会計システムは、すでに10年超の使用期間を経ており、使用していない勘定科目や内容が不明の勘定科目およびコストセンターコードが多数存在していた。まずはこれらを整理し、新たな勘定科目体系、コストセンターコード体系を作成するところから着手。同社では、グループポリシーであるUS-GAAP(米国会計基準)に従って会計を行っており、かつ国内においては会社法監査のため、J-GAAP(日本会計基準)での財務諸表も作成していた。

Oracle EBSでUS-GAAPとJ-GAAPの2つの会計処理を行うため、両者で会計処理が異なる項目を洗い出し、US-GAAPからJ-GAAPへの勘定科目のマッピングを実施。これにより、基本的にはUS-GAAPで計上すればJ-GAAPへの計上が自動的に行われ、両者で差異がある処理のみ、2つの仕訳を投入すれば足りる状態とした。また、US-GAAPとJ-GAAPの会計処理の差異リスト、およびJ-GAAP会計ポリシーも作成した。
 

独自の業務システムとデータの連動にも着手

同社は、独自開発の受注管理システムを使用しており、ここからOracle EBSに売上データが正しく連携しているかのチェックを行うため、製品カテゴリー別の売上高の出力確認やUAT(User Acceptance Test)に参加し、レビューを実施。そのほか、経理部のキーパーソンの退職により一部の業務プロセスが曖昧な状態になっていたため、それらの業務プロセスを見直し、マニュアル作成および引き継ぎ作業を行った。

また、経理業務のアウトソーシングベンダーからの質問対応も実施。Oracle EBS導入の第1フェーズとしては、基本機能の導入に絞って進めてきたが、これをスケジュールどおり完了することに貢献できた。勘定科目体系およびコストセンターコード体系はシンプルになり、クライアントからは「使い勝手が向上した」という声をいただいた。引き続き、第2フェーズである上流の業務システムとのデータ連携の強化に取り組んでいくことになっている。

 

【担当した当社のプロフェッショナル】

大手メーカーにて生産管理、サプライチェーンマネジメント構築に従事。また、BIG4監査法人にて業務改善コンサル、内部統制、IFRS(国際会計基準)導入コンサルを経験。さらに外資系企業、国内ベンチャー企業などでコントローラー(経営管理)、ファイナンスマネジャーを経験後、当社に入社。税理士、米国公認会計士。

5.2 ERP導入に際し、日本特有の商習慣をグローバルで定義された新システム内で処理するため、経理プロセスの見直しと合理化を図りながら最小限のカスタマイズで実現

【クライアント】

外資系企業日本子会社(小売業)
ファイナンス部門
 

【経緯/状況】

グローバル主導のERP導入プロジェクトを、アジアパシフィック地域においては日本法人が先行して導入することとなったが、慢性的な専門性を持った人材の不足もあり、会計とシステムの両方に専門性のある人材を希望して当社に依頼があった。
 

【当社の対応】

グローバル仕様のシステムをローカライズ化して導入

グローバルと日本との要件のギャップ分析を実施し、日本特有の商慣行にもとづいた取引をグローバルで定義された新システム内で処理する方法を検討。また、グローバルで作成されたテストシナリオのローカライズを行った。Mock Test(データ移行のテスト )やSIT(システム導入のテスト)の実施、問題点のとりまとめを行い、日本の経理プロセスの見直しと合理化をしながら、グローバル仕様の新システム導入を最小限のカスタマイズで実現。

プロジェクトの期間中、日本チームメンバーの進捗をとりまとめ、米国親会社へタイムリーに進捗を報告。また、中国・香港など、これからシステムを導入するアジアパシフィック他法人とのあいだで情報を共有した。導入後は、決算業務のサポートを行ってプロジェクトを完了した。
 

【担当した当社のプロフェッショナル】

大手監査法人を経て、東証一部上場会社、外資系企業にて経理業務やマネジャーとしての経験を積む。日本の会計・税務だけでなく、IFRS(国際会計基準)やUS-GAAP(米国会計基準)にもとづく海外の子会社管理、および海外の親会社へのレポーティング、PMI(買収後の統合作業)なども扱う。数多くの会計システムのユーザーでもあり、導入プロジェクトにも関与。公認会計士。

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