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事業活動収支計算書の見方(その1)
消費収支計算書が名前を変えて事業活動収支計算書へ
学校法人会計基準の大きな改正点は、従来の消費収支計算書が事業活動収支計算書へ名称変更し、区分別に収支差額等が表示されることであり、今後重視されるのは「教育活動収支差額」である。
1.はじめに
学校法人会計基準(以下「基準」)が平成25年4月に改正され、大学・短大等の文部科学大臣所轄法人はこの平成27年度から適用される。(知事所轄法人は28年度から)大きな改正点としては、従来の消費収支計算書が名前を変えて事業活動収支計算書となり、区分別に収支差額等が表示されることである。本稿ではこれから複数回にわたり事業活動収支計算書の見方について解説する。
2.教育活動収支差額
学校法人本来の活動である教育研究活動における収支差額を示すのが教育活動収支差額である。教育研究活動に必要な人件費、教育研究経費及び管理経費が教育研究活動によって得られた事業活動収入によって回収されていることを示す教育活動収支差額が、収支の状況を把握する上で今後重視されていくものと思われる。
日本私立学校振興・共済事業団による平成25年度版「今日の私学財政」大学・短期大学編に基づき平成24年度の教育活動収支差額を試算すると次の表のとおりである。
なお、本来は特別収支に計上される施設設備寄付金、施設設備補助金、過年度修正額、退職給与引当金特別繰入額の金額は「今日の私学財政」から把握することはできないため教育活動収支に含めて計算している。
これを見ると、大学法人(医歯系除く)全体では、135,874百万円のプラスの教育活動収支差額を計上しており、これは教育活動収入の4%に相当する。個々の法人では状況は様々であるが、医歯系を除く大学法人全体では、教育研究活動においてそれなりの水準で黒字が確保されていると考えられる。ただし、特別収入に属する施設設備寄付金、施設設備補助金が教育活動収入に含まれているため、改正後の基準を厳密に適用すると教育活動収支差額はこれより減少することに留意が必要である。
<参考>平成24年度教育活動収支差額
出所 平成25年度版「今日の私学財政」大学・短期大学編123ページ 大学法人(医歯系を除く)5カ年連続消費収支計算書 収益事業収入および施設設備利用料が同じく140ページ 大学法人(医歯系除く)5カ年連続資金収支計算書