事例紹介

スマートシティファイナンス確立に向けた課題整理・提言

スマートシティ官民連携プラットフォーム「財政面からの持続性確保」分科会を主宰

スマートシティの構築維持を支える資金をいかに確保していくかは官民双方の大きな課題(社会課題)となっている。デロイト トーマツは民間企業17団体・自治体4団体と勉強会を立ち上げ、官民が直面する課題の整理と分析、対応する公共政策や民間側のソリューションに関する提言のための活動をリードしている。

スマートシティにおける資金確保の課題

スマートシティの特徴として下記が挙げられる。

  • その意味する概念や範囲が抽象的。
  • これまでの産業構造では連携の必要が無かった異なる産業に属する企業間の連携や官民連携が必要になるが、それらのプレーヤー間では資金に対する捉え方が大きく異なる
  • 純粋な民間ビジネスもしくは公共財政支出、いずれかのみでは持続的な資金循環が成立しにくい
  • スマートシティに解決が期待される社会的課題の相違等の要因により、諸外国におけるファイナンスの態様をそのまま取り入れることができない。

結果として、事業継続のための資金確保が困難であるという課題は勿論のこと、その解決の大前提としてスマートシティのファイナンス面での持続性を検討するための理論的なフレームワーク自体が確立されていないという課題が生じていた。

デロイト トーマツのアプローチ

そこでデロイト トーマツは、内閣府、総務省、経済産業省、国土交通省が設立したスマートシティ官民連携プラットフォームにおいて「財政面からの持続性確保」分科会を提案・主宰し、ファイナンスの論点整理と政策提言のための活動をリードしている。民間企業17団体・自治体4団体が参画し、2019年12月から活動を行っている。

分科会では、現時点は理論的フレームワークを構築発展していくための初期フェーズに該当すると捉えた検討を行った。すなわち、今後サービス分野別や時系列に沿った議論の詳細化を行うことを見据え、まずはその全ての共通の土台となる部分の理論構築を目指した。

そのために、具体的には次のような活動を行った。

  1. 各団体に個別インタビューを行い、各団体の目線(特に、事業の時間軸や収益性の捉え方)の理解と各目線から見た課題の棚卸しを行った
  2. 全ての団体にとって共通的な関心事項が「公共セクターの果たすべき役割」であることを明らかにし、①スマートシティと公共財の関係性 ②我が国公共セクターの現状 の2つのファクトを軸に、平素な形で「公共セクターの果たすべき役割」とその理由を整理した
  3. 上記を前提に、必要となるであろう政策の仮説出しを行った

本取り組みを通じて目指す姿

分科会の活動成果は、官民の課題認識と新たな政策や制度を通じた解決の方向性について、成果報告書として取りまとめることに加え、スマートシティ官民連携プラットフォームの参画企業全体に向けたオンラインセミナーでその知見を共有・議論を行った。
今後は、スマートシティのファイナンスに関する適切な論点整理が社会的に共有され、スマートシティの社会実装に繋がる官民双方の取り組みが適切な方向に促進されることを目指し、新たな政策や制度の提言の具体化を進めていく。


関連リンク
スマートシティ官民連携プラットフォーム (mlit.go.jp)

お問合せ

スマートシティに関するお問い合わせは以下のメールアドレスにご連絡ください。

デロイト トーマツ グループ Future of Cities
jpdtfutureofcities@tohmatsu.co.jp

お役に立ちましたか?