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消費税インボイス制度と改正電子帳簿保存法を通じたデジタル化の推進

求められる制度対応と経理・税務領域のデジタル化の視点

令和5年10月より施行される適格請求書等保存方式(消費税インボイス制度)に向けて、煩雑になることが想定される事業者の業務負担軽減と効率化が求められています。また、令和4年1月に施行をされた電子帳簿保存法の改正においても、2年間の宥恕措置があるとはいえ、電子取引の電子保存義務化が求められるなど、経理・税務領域におけるデジタル活用の視点が重要です。

「経済社会の構造変化を踏まえた令和時代の税制のあり方」(税制調査会 2019年9月)以降、コロナ禍の状況も踏まえ、デジタル化が非常に重要なテーマになっています

近年の少子高齢化の進展、グローバル化といった社会構造の変化、さらにコロナ禍を経験し、ビジネスの不確実性が一層高まる中、デジタルの適用が企業の競争力を確保するためのキーワードとなりつつあります。

この流れは経理・税務業務についても例外ではなく、2019年9月の税制調査会では、デジタル化時代における納税環境の整備に向けて、電子帳簿保存制度の見直し等により、企業経営のICT化を後押しし、生産性の向上を促すことが重要であると示され、令和2年度以降企業のデジタル化を推進するための改正が行われています。

図1 令和の時代の税制の対応方針概要

令和の時代の税制の対応方針概要
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消費税インボイス制度対応と電子帳簿保存法の改正対応は法制度に基づくルール制定、業務設計、システム対応、管理態勢の構築の観点で、包括的な検討が必要です

経理業務・税務業務領域では、直近で2023年10月から開始される消費税インボイス制度(適格請求書等保存方式)への対応と、2022年度税制改正により2年間の宥恕措置が決定した電子帳簿保存法の電子取引に係る対応があります。

いずれの制度も、求められる要件を満たすための業務・システムの見直しが必要となりますが、これまでの制度と比べ、取引の内訳の詳細な記載や消費税申告用の数値計算、複雑な会計処理等、現場の業務負荷が高まる可能性があるため、デジタルツールを活用した現場での負担軽減のための仕組みづくりが重要となります。

例えば、消費税インボイス制度をきっかけに、請求書の保存方式を見直して、電子帳簿保存法に準拠した電子保存を行うことで、紙・電子媒体といった様々な形式の請求書に関する管理業務を削減したり、ワークフローを導入することで請求書と会計仕訳伝票内容の承認を同時に行って業務の効率化を図るなどの選択肢が広がります。

図2 購買プロセスにおけるデジタル活用例

購買プロセスにおけるデジタル活用例
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消費税インボイス制度対応と電子帳簿保存法の改正対応を業務のデジタル化のメリットを享受する機会にしましょう

消費税インボイス制度や電子帳簿保存法対応に関連した業務プロセスの見直しをきっかけに、デジタルツールを活用することは、法制度対応以上のメリットを享受できる可能性があります。

例えば、電子インボイスやワークフローシステムの採用をきっかけに、請求書だけでなく、社内で利用する他の帳票も電子文書化することにより、紙代の削減等の定量効果だけでなく、業務リスク低減等の定性効果も享受できる可能性が広がります。

また、電子帳簿保存法に絡め、見積書、請求書、領収書、注文書、契約書等外部との取引においてペーパレス化への取り組みを行うことはより一層デジタル化を推進することが想定されます。

デロイト トーマツでは各企業の現状をとりまく環境を把握しながら、会計・税務・内部統制・デジタルツールに精通した各専門家と連携し、包括的な視点で制度対応に伴う業務プロセスの見直しやデジタル化に向けた最適なソリューションの導入をワンストップで支援します。

図3 ペーパレス化による効果例

ペーパレス化による効果例
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