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非上場有価証券の評価損計上に係る回復見込みの判断基準

『国税速報』令和元年10月14日号

本稿では非上場有価証券の評価損計上に係る回復見込みの判断基準に関して、例を用いて解説します。

【疑問相談】法人税

非上場有価証券の評価損計上に係る回復見込みの判断基準

Question:
内国法人Pは、海外で製薬ビジネスを展開するため、100億円の出資をしてA国に研究開発子会社S(S社、純資産額100億円)を設立し、S社の発行済株式(S社株式、非上場有価証券)を100%保有することとなりました。しかしながら、S社の設立から10年経過した当事業年度終了の時点においても、S社は、研究開発事業における成果を上げることができず、財務的にも債務超過の状態が続き、S社株式の価額も零円の状態が続いていることから、内国法人Pは、金融商品会計に関する実務指針に基づき、S社株式の価額の回復見込みがあるとは認められないと判断し、また、①過去10年間を通してS社株式の価額が下落するとともに低迷し続けていること、②S社が5年にわたり債務超過の状態となっていること、及び③S社の研究開発事業について過去10年間の成果がなく、現在の市場環境が当該法人の今後の事業展開にとって有利な影響を及ぼすとは想定し得ない事情を踏まえ、将来的にその事業状況や財務状況が好転する見込みがないことから、近い将来S社株式の価額の回復は見込まれないと判断し、S社株式の帳簿価額100億円とその時の価額零円との差額100億円をS社株式の評価損として財務諸表に計上するとともに、その判断の根拠となった証拠資料を整理及び保存しました。この場合、内国法人Pが計上したS社株式の評価損100億円は、損金の額に算入することができるかご教示願います。

Answer:
添付PDFをご覧ください。

 

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