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2014-2015 ブリティッシュ・コロンビア州予算案ハイライト

February 18, 2014

予算案ハイライト

2014年2月18日、ブリティッシュ・コロンビア州(以下、BC州)財務大臣から、2014年予算(Balanced Budget 2014)が公表された。BC州経済の堅調な成長が予測されるものの、本予算においては優先分野を除いて歳出抑制に重点的に取り組む内容となっている。また BC州での各家庭の生活向上、雇用創出及び経済成長の活性化を目的として、4億1千5百万ドルの追加予算が計上された。

予算で示された主要な税制の概要は、以下の通りである。

  • LNG税の導入。BC州内のLNG設備における天然ガス液化事業から生じた所得に対して、二段階方式で課税
  • 2014年4月1日以降、タバコ税を1カートンあたり3.2ドル引上げ
  • 初めて家を保有する納税者に対する不動産譲渡税法(Property Transfer Tax)における免除枠下限の引上げ
     

財政及び経済の見通し

本日公表された本年度予算では、均衡予算の実現を掲げた前年度予算の公約が改めて強調され、2014‐2015年会計年度に1億8千4百万ドルの黒字が見込まれ、翌年度は2億6百万ドル、そして3年後には4億5千1百万ドルに達する見込みが示された。財政計画には、不測の費用やLNG開発を含む優先事案に備えた予備費も含まれている。本予算において、公共部門の人件費負担のために省庁へ割り当てられた追加予算はない。将来の交渉により追加支出が必要な場合、決議 (Contingencies vote allocation) より予備費から賄われることとなる。 また本予算には、BC州の信用格付 (トリプルA) を維持するために重要な財政赤字解消と債務縮小のための施策が含まれている。

年間歳出額は、2.6%増加すると見込まれる年間平均歳入額に対し、平均2.2%の増加が計画されている。本予算には、多くの税制上の措置が含まれており、納税者に1億8千1百万ドルの利益をもたらすものと見込まれている。経済成長率は、2014年からの各3年間において、それぞれ2.0% (2014年)、2.3% (2015年)、2.5% (2016年)と予測されており、昨年度予算における成長率見込み2.2% (2014年)及び2.5% (2015年) に沿って進んでいる。

計画されている歳入増加2.6%は、雇用創出と年間15万ドル超の所得を稼得する個人に対する2.1%の一時的な税率引上げによる税収と合わせて、法人利益、個人所得、雇用創出、住宅着工件数、消費支出の増加に伴う税収増加を前提としている。この一時的な税制措置は、2014年及び2015年の2年限定である。

昨年、輸出及び製造業は、BC州外からの堅調な需要により改善を示した。BC州の雇用ペースは、引き続き改善することが見込まれている。BC州経済にとっては、国内経済活動の鈍化、米国経済回復の弱さ、アジアからの財・サービスに対する需要鈍化、カナダドルの変動、継続するEU債務問題における不安定さが、懸念事項となる。

事業者に関する措置

  • BC州の研究開発費税額控除制度 (BC’s Scientific Research and Experimental Development Tax Credit) を2017年9月1日まで3年間延長する。この税額控除はBC州内で適格な研究開発活動を行なっている適格納税者が申請可能である。
  • 映画に関する税制優遇制度に関して、2014年2月19日以後に製作を開始する場合に適用される遠隔地域税制優遇措置 (Distant Location Tax Credit) をビクトリア首都圏区域 (Capital Region District) まで拡大する。
  • 信用組合 (credit union) の所得の一部に認められていた低減税率優遇措置を排除する。この優遇措置は、2016年から5年間で段階的に廃止される。なお、連邦税率優遇措置は2013年から5年間で段階的に廃止されている。

 

個人に関する措置

  • 2013年予算 で導入された幼児税制優遇制度 (BC Early Childhood Tax Benefit) において、2015年4月から6歳未満の幼児を持つ家庭に対し、幼児一人当たり最高一月55ドルが支給される。所得が10万ドル未満の家庭は、最高額の給付を得ることができ、所得10万ドル以上の家庭から段階的に削減され、所得15万ドル以上で適用除外となる。

  • 2013年予算で導入されたBC Training and Education Savings Grant (2007年1月1日以降に生まれた児童を対象とする補助金1,200ドル) に関し、財務大臣は2013年度終了時までに支給開始するため、連邦政府との連携を確認した。企業負担のマッチング拠出や追加拠出は必要とされない。補助金受給のためには、登録学資プラン(Registered Educational Saving Plan)口座を開設し、児童が7歳になるまでに申請を行うことが必要である
  • 鉱山事業におけるフロースルー株式制度 (Mining Flow-Through Share Tax Credit) は2014年度終了時まで延長される。

売上税

  • 専らビジネス以外の使用を目的として、新規の居住者がBC州に有形の個人財産(tangible personal property)を持ち込むか、もしくは発送する場合に適用される州売上税 (Provincial Sales Tax, 以下PST)の免除規定は、従来、BC州の居住者となった日から6ヶ月以内にBC州内に持ち込まれた資産が対象とされていたが、1年以内に拡大される。
  • 炭素税徴収の促進のため、取締役にベンダーを徴収者として指名する権限を付与する。この指名は最長4年間遡及して適用される。遡及して適用される徴収者指名制度に対する罰則が明確にされたことに伴い、徴収者を指名する以前の燃料販売に対しても、当該ベンダーへ罰則を課すことができることとなる。
  • 宿泊施設の事業者が一律料金で食事やサービスを含んだパッケージ販売のみをしている場合、その提供するサービスや事業者のタイプに関わらず、売上税の対象となる宿泊費用は、当該事業者が受取る対価総額の15% か、一日当たり100ドルのいずれか小さい方とする。
  • PSTに関する多くの説明がなされている。財務大臣は、PST Bulletins を再公表しており、各々の公示の最終部分にサマリーが付されている。

LNG 税

政府は今秋、新たに二段階方式による課税を含むLNG税法案の審議を行う予定である。この新たな課税と2013年度に復活した7%のPST課税は、BC州のLNG設備に数十億ドル規模の投資を検討している事業者にとって、考慮すべき重要なコストとなる。今秋に予定されている審議において確認し、確定を必要とする部分がまだ残されているものの、多くの事項が公表された。以下は、そのサマリーである。

  • BC州にあるLNG設備を用いた天然ガス液化事業で生じた最終段階の生産所得に対し、LNGプラントの 単位で課税される。
  • 生産所得には、輸出か国内販売かに関わらず、LNG販売収入、LNG設備の使用に係る使用料及び報酬、 LNG設備で天然ガスを加工するための輸送料金が含まれる。
  • LNG税の一段階目の課税 (Tier 1 tax) は、最高税率1.5%による課税である。LNG生産収入が操業コスト を超過した時点、すなわち純利益が生じた時点で課税対象となる。
  • Tier 1 tax は二段階目の課税 (Tier 2 tax) から控除される。
  • Tier 2 tax は、最高税率7%による課税である。事業者の設備投資勘定 (Capital investment account) が純 利益で完全に回収された時点で課税対象となる。
  • 提供された補足情報によると、Tier 1 及びTier 2 taxは共に、個々の設備ごとに計算される。
  • 設備投資勘定 (Capital investment account) には、LNG設備を建設し、使用可能な状態にするまでのコス トが含まれる。設備には、ガス精製、液化システム、貯蔵タンク、海洋ローディングシステム、その他サ ポートのための機器設備が含まれる。

財務大臣のスピーチの中で、以下のような、未だ検討中の複雑な要素が多く残されていることが述べられた。

  • LNGプラントの資本コストとして何を含み、何を除くべきか。
  • 資本コストの増加を認めるべきか否か。
  • 種々考えられる枠組みを考慮して、非独立企業間の取引における天然ガス原価、LNG売上額、使用料、 加工費用の決定に移転価格を使用することについて。

多くの主要な検討事項は、今秋の法案審議において決定され、正式に発表される見込みである。政府は、BC州の競争優位性を維持しながら、天然ガス液化事業から生じた付加価値の公正な分け前をBC州が受け取ることができる様、引き続き、グローバル経済及びマーケット状況を分析することとしている。政府は、今秋には新税制の主な枠組みを公表し、2015年の春には当該税制の行政管理と執行の詳細を審議することを計画している。

最後に、質疑応答において財務大臣は、賛成派、政府、その他の利害関係者における投資意思決定は、変化を続ける世界市場を考慮すると複雑で難しい問題であることを認めつつ、2020年までにBC州に3つのLNG設備を保有するという政府目標を再確認した。
 

LNG税の指針

BC州政府は、4つの指針に基づき、LNG税を提案した。

  1. BC州への適切な分配: BC州住民は、この再生不能な天然ガスの費消から適正な利益を享受すべきこと。
  2. 競争優位性ある自治体: 税制全般を通して、LNG投資環境が類似する自治体やBC州に類似している特徴 (例えば、熟練労働者、市場への近接性、ガス埋蔵量、低気温) との比較において、競争優位性を保持して いること。
  3. 予測可能性: プロジェクト当事者に対し、最終意思決定の前に財政に係る政府方針が明確に説明されるこ と。
  4. 支持者に対する均等な機会の提供: 支持者が全て同一の枠組みにいること。
     

潜在的投資家に対する法人所得税の影響

BC州でビジネスをする企業は、連邦所得税及び州所得税合計26%の税率を課される。LNG生産者は、更に追加で最大7%の税負担が見込まれる。また、Tier 1 taxの性質上、LNG生産者は、法人所得税が発生する程の利益がない場合でも、LNG税を負担することもある。

現行連邦・州制度下では、法人所得税は特別に認められる場合を除き控除は適用されない。そのため、連邦政府が軽減措置を設けない限り、提案されているLNG税は控除対象とならない。なお、連邦政府は、LNG生産設備の加速度償却を認め、さらなる支援を提供することができる (現行制度上は、定率法による償却で8%と低率)。

この度のLNG税は、大規模先行設備投資と高度な不確実性に直面する潜在投資家にとって、原油価格にリンクしている現在のLNG契約に係るプレミアムの低減が期待される中、昨年のPST制度復活に続き、インパクトを与えるものである。
 

競合国との比較

BC州政府は、オーストラリアや米国といった主要な競合地域における税制、特にBC州で提案されたLNG税に関連した検証を行い、それら主要地域における枠組みとの比較において競争優位性があると結論付けた。 

その他の租税措置

  • 2014年4月1日から、タバコ税は、1カートンあたり、44.6ドルから47.8ドルに引き上げられ、ファインカットタバコの税率は、グラムあたり22.3セントから23.9セントに引き上げられる。
  • 2014年2月19日以降、初めて家を保有する納税者に対する不動産譲渡税法(Property Transfer Tax)における免除枠の下限が、42万5千ドルから47万5千ドルに引き上げられる。不動産価値が47万5千ドルから50万ドルの範囲にある場合、部分的な免除が適用される。初めて家を保有する納税者は、最大7千5百ドルの不動産譲渡税の軽減が可能となる。
  • 住宅所有者助成金の段階的廃止の基準は、2014年度課税年度において129万5千ドルから110万ドルに引き下げられる。この水準では、93.8%の住宅所有者が助成金の満額を受取ることができる。昨年の水準における満額の助成金受給資格者は95%である。
  • 2015年1月1日から、メディカル・サービス・プラン (MSP) の保険料が4%引き上げられる。なお、保険料引上げが、プレミアムアシスタンス対象者に影響を及ぼさないよう見直しを行う。
  • ある固定資産に地役権 (easement) が設定された場合、固定資産税猶予制度 (Property Tax Deferment Program) においては、適格住宅保有者は、最低持分要件を満たせば、自宅が売却されるか、新たな保有者へ移転されるか、または遺産の一部となるまで、固定資産税が猶予される。
  • あるユニバーシティの所有不動産が、そのユニバーシティ系列のカレッジへリースされた場合、その不動産がカレッジの活動目的のために所有されている限り、固定資産税は免除される。この固定資産の免除は必要に応じて2014年課税事業年度より遡及的に適用される。

詳細につきましては、財務省のウェブサイトをご参照下さい。

This publication is produced by Deloitte LLP as an information service to clients and friends of the firm, and is not intended to substitute for competent professional advice. No action should be initiated without consulting your professional advisors. Your use of this document is at your own risk. 

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