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Canadian tax alert

2014-2015 オンタリオ州予算案ハイライト

May 1, 2014

5月1日の午後、財務大臣のチャールズ・スーザは、2014年度の予算を提示しました。
同州の10年プランに含まれている今後の取り組みとして、都市交通整備を含むインフラの設備投資、雇用創出、年金プログラムの義務化が挙げられています。以下は、予算に含まれる税ハイライトの概要です。

財政/今期経済の展望

  • 2013年度 (2014年 3月期) の州財政赤字は113億ドルで、当初予算案での予想よりも4億ドル下回りました。
  • 2014年度の財政赤字は125億ドルと予測され、2015年度は89億ドル、2016年度は53億ドルとなることが計画されています。
  • オンタリオ州政府は2017年度には均衡予算にする意思を表明しました。
  • 2013年度の失業率は7.5%で、適度な雇用の確保を達成しました。
  • 雇用率は2014年度には1.1%、2015年度から2017年度にかけては平均1.5%上昇することが見込まれており、2017年度には失業率を6.2%まで引き下げる計画です。
  • 2014年度の実質GDP成長率は2.1%と予測しており、2015年度、2016年度にはそれぞれ2.5%の成長を予測しています。

オンタリオ退職年金制度

  • カナダの退職後所得システムの十分性に関して表明された懸念について検討が行われ、オンタリオ州政府は新たに強制加入が義務付けられる州年金制度、オンタリオ退職年金制度the Ontario Retirement Pension Plan (ORPP) を発表しました。
  • ORPPは2017年度に導入される見込みであり、雇用主及び従業員に段階的に導入されます。最初は、大企業から導入が開始され、年金への積立率は2年間で段階的に分けて導入されます。
  • カナダ年金制度(CPP)とは異なるものの、ORPPはCPPの主な特徴を参考にして設計されており、連邦政府と合意が得られた場合は将来CPPと統合される可能性もあります。

ORPPの主な内容は以下の通りです。

  • 最高9万ドルまでの収入に対して、労使それぞれ均等に1.9%を限度として拠出することが求められます。(これは、CPPの最高収入金額が増加したことと歩調を合わせるものです)
  • これは、年 金の 所 得代替率(退職前所得に対する年金受給額の比率)を収入の15%(収入額による)にする意図があります。
  • すでに同様の企業年金制度に加入している従業員は、ORPPへの加入が要求されない見込みです。
  • これは将来のコンサルテーションの対象となりますが、CPPの場合と同様におそらく3,500ドルが拠出を免除される最低収入額となる見込みです。
  • 長寿リスクと運用リスクをともに考慮したうえで、予測可能な運用収入を見込みます。
  • 給付金はインフレーション率により補正されます。
  • 給付金は拠出した金額に基づき支給されます。

オンタリオ州政府は、自営業者が十分な退職貯蓄を確保するための最適な支援方法は何かを含む、ORPPの問題点につき公に協議する意思を表明しました。

事業に関する措置

  • 小規模事業者への優遇措置として、カナダ居住者支配の私的法人(Canadian-controlled private corporations (CCPCs))の場合、50万ドルまでの事業所得に対しては4.5%の優遇税率が適用できましたが、前年度の課税資本が10百万ドルを上回るCCPCsから適用が制限され、課税資本が15百万ドルを超えるCCPCsは対象外とする提案がなされています。この措置は2014年5月1日より後に終了する税務事業年度から適用となり、2014年5月1日を含む税務事業年度においては比例配分により適用されます。
  • 州政府は、研究開発(R&D)に対する税制支援を再構築するために複数の選択肢を検討しており、例えばR&D投資の増加に対する税額控除を強化する一方、R&D投資の減少に対する税額控除は小さくするといった方法が検討されています。州政府は利害関係者との協議を実施する予定です。
  • 就業トレーニング税額控除-実習トレーニング税額控除及び協同教育税額控除-について、大企業に関しては法人税支払額を控除限度額とすることが検討されています。
  • 雇用主に対する健康保険税の免除について、従来はオンタリオ州の従業員への年間給与総支給額が40万ドルまでは免除されていましたが、45万ドルに拡大することが提案されています。
  • オンタリオ州の企業に対し、過度な租税回避取引を州法人税を管轄する連邦歳入省に報告するよう求めた規制が導入される予定です
  • 過度な国際的租税回避行為の対策として、州政府は専属保険及びオフショア投資銀行に対し、政府の施策と同様の措置を導入する計画です。

2013年12月31日より後に終了する税務事業年度より適用される、税率・課税最低額に関するハイライトは以下のとおりです。

  • 最高所得課税率13.16%が課せられる最低所得枠が、514,090ドルから 220,000ドルに引き下げられます。
  • 150,000ドルから220, 000 ドルの所得に対し、12.16%の新税率が適用されます。
  • この税率改正による経済のインフレ補正は行われません。
  • 200ドルを超える慈善寄付に対する税額控除は11.16%のまま変更はありません。
  • オンタリオ州政府は、2013年度に変更された連邦配当税額控除(DTC)を踏まえて、納税者の税額控除の公平性を確保するために、オンタリオ付加税の対象か否かに限らず、オンタリオDTCに関する付加税計算を変更する法案を導入します。

その他の措置

  • 2014年度より、航空機燃料税が1リットルにつき1セント増加される予定です。
  • 2014年5月2日午前12時1分より、タバコ税がタバコ1本に対し12.350セントから13.975セントへ増加されることが提案されています。
  • オンタリオ州政府は、段階的税率で課税される不動産及び信託に対する課税を変更するという連邦の提案を見直しています。

詳細につきましては、財務省のウェブサイトをご参照ください。

This publication is produced by Deloitte LLP as an information service to clients and friends of the firm, and is not intended to substitute for competent professional advice. No action should be initiated without consulting your professional advisors. Your use of this document is at your own risk. 

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