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原価企画・原価管理制度再構築
原価管理は、事業の収益力および競争力向上に直結する、製造業における経営管理の根幹を成すものです。しかし、製品・生産ラインの多様化や、急激な海外進出に伴い、正しい製品原価の把握や原価低減の促進が難しくなっています。そのため、調達・生産・設計等の業務改善を含め、本社および国内外の各拠点における原価管理体制を見直し、原価管理を核としたグローバル経営管理体制の最適化に向けた取り組みが必要です。
原価企画・原価管理の改善に向けた取り組み
正確な製品原価の把握は、プライシングや事業戦略の基礎となります。また、原価を適正水準に押さえ込み、競争力を維持・向上させるためには、原価低減活動を継続的に計画・実行する必要があります。しかし、その必要性は認識しながら、十分な体制がとれていない企業も多く、自社の達成目標と現行課題に応じた取り組みが必要になります。
1正確な製品別原価の把握
正確な製品別原価を計算するには、費用をできるだけ実態に即して各製品に賦課する必要があります。しかし、画一的・簡便的な配賦基準を用いていたり、配賦基準値(例えば標準作業時間など)の精度が悪く、製品に配賦される間接費が実態と乖離しているケースが見受けられます。
2原価低減活動の運用
原価低減活動を効率的に進めるためには、原価情報を見える化し、改善すべき点を定量的に共有する必要があります。しかし、経理部門では原価差異分析を行っているものの、調達部門や生産部門など実際に改善を行う組織に、情報がタイムリーに共有されていないことも多いです。また、原価管理や原価低減に関する従業員の意識の低さがボトルネックになっている可能性もあります。
3企画原価の作り込みと達成状況管理
製品の収益性の適正に保つためには、原価企画段階で目標原価や販売価格の設定が厳格に行われる必要があります。そのためには、製品企画(企画・開発・設計)、製造(調達・生産)、販売(マーケティング・営業)の各部門で数値目標を含む共通認識を持ち、一体となって原価企画を推進することが必要です。
こうした複数部門を統制していくには、原価企画情報に関する統合的な情報管理の仕組みの構築と、原価企画統括部門を主体とした組織的な原価意識・統制機能の向上を図るべきです。また、量産段階で企画原価が維持・改善されているかフォローアップできていない状況も多く見られるため、現行生産能力を前提とした標準原価管理とともに、本来達成すべき利益水準を前提とした企画原価管理が重要になります。
4グローバル原価管理
原価低減は、本社内だけでなく、グループ全体(グローバル全体)での原価構造を把握し、グループ全体での体系立った推進が望まれます。しかし、新興国など経営管理体制が十分に構築されていない拠点もある可能性があり、いかに実現性のある標準的な原価管理基準を設計・展開するか、費用対効果の高い情報管理のインフラをいかに構築するかがポイントです。
デロイト トーマツ グループのアプローチ
原価企画・原価管理について、全ての会社に同じ制度・仕組みを導入することはできません。業態や生産ラインの状況によって管理の要点は異なり、また現状の原価管理制度や情報管理状況によっても(短期的に)実現できる内容は異なってきます。デロイト トーマツ グループでは、こうした各社の状況を把握したうえで、短期的・中期的な観点から、会社にとって最適な構想策定と導入プランの策定・実行を支援します。
プロジェクト・アプローチ例
• 構想策定
経営管理目的・現行管理状況を把握したうえで、制度・業務プロセス・IT・組織体制・人員といった多面的観点で構想策定を行います。
• 導入準備・トレーニング
新制度の実現可能性を高めるため、新制度による製品別原価の試算や関係者のトレーニングを実施し、必要に応じて制度・業務プロセスおよびシステム要件の手直しを行います。
• 導入
情報システム構築のほか、既存データのクリーニング、業務マニュアルの整備、継続的な関係者への説明会・トレーニング等の様々な作業を遅滞なく実施する必要があります。そのため、全体の品質管理や進捗管理を行うプロジェクト管理も重要な作業になります。
• グループ展開
グループ展開が必要な場合、各拠点で適用可能な標準的制度の設計や、費用対効果の高い共通インフラの検討を行います。本社統括のもと、各拠点で検討・導入を進めるための、グループレベルの推進体制構築が必要です。
デロイト トーマツ グループの価値
• 多様な業種での原価管理領域の改革実績と、経営管理やSCMなどとの関連性を踏まえたプロジェクト推進ノウハウの活用。
• 経理部門や情報システム部門に加え、調達・設計・生産部門等を巻き込み、ビジョンと実現性をもった形で現場に展開、定着させる実行力。
• グローバル展開に対し、日本と現地の混合体制で支援し、 日本本社からのコントロール性と、現地での効率的運営の双方の観点でサポート。
• クロスファンクショナルなテーマへの対応をワンファームで実施することによる、各機能間の効率的な連携によるサポートが可能。
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