調査レポート

ワークスタイル変革実態調査2022~アフターコロナのニューノーマル策定に向けて~

本調査は、2013年からデロイト トーマツが隔年で実施してきた「働き方改革の実態(ワークスタイル実態)調査」を引き継ぐ調査である。今回は、過去2年間の新型コロナウイルス感染拡大を経たワークスタイル変革の取り組みやその効果に関する前回調査からの変化、および、リモートワークやDX(デジタルトランスフォーメーション)、新たなマネジメントスタイルや人材育成に関する企業の検討・実施状況と労働者側の意向について調査、分析した。

働き方改革の各目的に対し効果を実感している割合は半数のみ

ワークスタイル変革を実施/計画中と回答した企業は9割を越え、企業にとって必須の取り組みとなっている。

図1: ワークスタイル変革の取り組み状況
※クリックまたはタップして拡大表示できます

その目的は前回調査に比べて多岐にわたり、「従業員満足度向上」や「多様な人材の維持獲得、D&I促進」のみならず、DXの推進、コミュニケーションの活性化など、環境変化により早急な対応が必要となった「仕事のあり方に関する変革」や、付加価値向上、イノベーションの創出といった「生産性向上」といった主体的で本質的な目的を挙げる企業も増加している。

図2: ワークスタイル変革の目的
※クリックまたはタップして拡大表示できます

その具体的な取り組みとしては、働く場所や時間、そのためのシステムやデジタルツールの導入といった労働環境の整備や、組織風土改革などの意識面の改革を検討・取り組む企業が前回に比べて増加している。また、会議ルールの見直し、コミュニケーションの高頻度化、マネジメントスタイルの改善といった従来からの仕事のあり方・業務の進め方を見直す動きもあり、新型コロナウイルス感染拡大により新たなワークスタイルの変革が加速度的に進んでいることがうかがえる。

図3: ワークスタイル変革の実施・検討施策
※クリックまたはタップして拡大表示できます

こういったワークスタイル変革全般について85%の企業が何らかの効果を感じており、うち「効果が感じられる」と回答している企業(先行企業)は19%を占める。

図4: ワークスタイル変革の全体的な効果実感
※クリックまたはタップして拡大表示できます

ワークスタイル変革のニーズや評価において、企業者と労働者間のギャップが生じている

前述のように、ワークスタイル変革の取り組みは今や企業において必須となっているが、そのニーズや評価には企業と労働者間でのギャップが生じている。例えば、ワークスタイル変革における「従業員満足度向上」の取り組みについて、企業は7割近く(69%)がその取組効果を実感している一方、労働者側は35%と、企業側の評価に対し、従業員はよりシビアな傾向がうかがえる。

図5: ワークスタイル変革による「満足度向上」の効果実感
※クリックまたはタップして拡大表示できます

また、働き方改革の代表的な取り組みの一つである「長時間労働の是正」については多くの企業が着手している一方で、労働者側がその効果を十分実感するには至っていない。

図6: 「長時間労働是正」の検討・実施率と効果実感
※クリックまたはタップして拡大表示できます

労働者の「デジタルリテラシー向上」ニーズに対し、企業の取り組みは追い付いていない状況

この2年間の社会変化により、企業におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進の検討や取り組みも加速化しており、労働者側においても、「デジタルリテラシーの向上」に対する意識は高く、6割以上がその重要性やスキルアップへの意向を示している。

図7: 労働者における「デジタルリテラシーの向上」意識
※クリックまたはタップして拡大表示できます

一方、デジタルリテラシーの底上げ(基本的なデジタルスキルについての研修実施)に取り組む企業は4割(38%)、デジタル人材を育成するための体制やキャリアパス構築ができている企業は2割程度(それぞれ23%)にとどまり、全社的なデジタルリテラシー向上・キャリア開発のためのインフラ提供は十分とは言えない。

図8: 企業におけるデジタルリテラシー向上・キャリア開発の取り組み
※クリックまたはタップして拡大表示できます

先行企業に見る今後のワークスタイルのあるべき姿とは?

ワークスタイル変革の先行企業(全体効果で「効果を感じている」と回答している企業:図4参照)について分析した結果、いくつかの特徴がみられた。


1. 「生産性向上」でも一定の効果を感じている

先行企業は全体に比べ、各目的別の効果が総じて高く、「生産性向上」についても半数以上が一定の効果を感じている。

図9: ワークスタイル変革の目的別効果(効果が感じられる+部分的にではあるが効果が感じられるの合計)
※クリックまたはタップして拡大表示できます

2. アフターコロナもリモートベース/ハイブリッドなワークスタイルを継続

全体傾向としては、アフターコロナにおいては出社頻度を増やす、または、原則出社に戻す企業が増える一方、先行企業は現状もリモートワーク主体/ハイブリッドのスタイルが大半で、今後もそのスタイルを継続する傾向がみられる。

図10: リモートワーク/出社の現在と今後
※クリックまたはタップして拡大表示できます

3. アウトプットベースのマネジメントスタイルが進んでいる

前述のように、リモート/ハイブリッドを主としている先行企業では、アウトプットベースの管理や評価、労働環境に左右されない巻き込み方の確立、短サイクルのフィードバックの検討・実施が進んでおり、New normalな状況でも生産性を高める業務遂行を推進している企業が目立つ。

図11: マネジメントに関する取り組み検討・実施率
※クリックまたはタップして拡大表示できます

4. 全社的なデジタルリテラシーの底上げが浸透している

デジタルリテラシー向上・キャリア開発に関する取り組みは多くの企業において現状道半ばとなっている一方、先行企業では70%が基本的なデジタルスキルの底上げにも精力的に取り組んでおり、さらに、デジタル人材のキャリアパス構築の検討・実施が進んでいる。

図12: デジタルリテラシー向上・キャリア開発の取り組み(先行企業比較)
※クリックまたはタップして拡大表示できます

5. 社内に閉じない人材流動化の検討・実施が進んでいる

先行企業では、66%が副業・兼業を検討・導入し、また55%がギグワーカーやフリーランサーといった社内の雇用に依らないリソースの活用(代替的労働力)を通したリソースの再配分を検討・実施している。

このように、先行企業では、育成を目的とした副業や兼業の活用や、個別に切り出された仕事に対して外部や拡張労働力を活用するといったタレントエコシステムが確立されはじめている傾向がうかがえる。

図13: タレントエコシステム(人材流動化)の現状と今後
※クリックまたはタップして拡大表示できます

総論

新型コロナウイルス感染拡大を受け、前回調査から労働環境や意識面でのワークスタイルの変革は加速度的に進んだ。一方で、DX進展に伴い創出された時間や人材リソースを生産性向上や成長事業へのシフトにつなげる動きはまだ道半ばとなっている。

持続的な企業価値向上に向け「人的資本経営」の重要性が高まる中、今後、企業は、労働環境の整備にとどまらず、人材という「資本」の価値を高めるための全社的なリスキリングの加速や、社内外のリソースを柔軟に確保・活用するエコシステムの構築の検討が求められるだろう。

 

解説者紹介:

デロイト トーマツ コンサルティング合同会社
シニアマネジャー 小出 翔
マネジャー 小林 光
シニアコンサルタント 杉原 匠

デロイト トーマツ コーポレート ソリューション合同会社
マネジャー 大畑 静美

※所属・役職は執筆時点の情報です。

調査概要

 

企業

労働者

調査形式

Webアンケート方式

Webアンケート方式

有効回答数

321社

1,007名

・従業員数1000人以上の組織に勤務する全国の20~60代男女

・雇用動向調査の1000人以上企業における一般社員の性・年代 構成比に合わせて割付

調査時期

2022年1月14日~2月28日

2022年1月24日~2月14日

お役に立ちましたか?