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薬価制度はどう変わっていくのか

~高額薬剤問題に端を発した薬価制度の抜本的改革の方向性~

革新的な医薬品の創出は、医療に多大な貢献を与えてきたが、一方で、財政悪化の要因にもなってきている。当該高額薬剤問題に対応するため、政府は、2016年12月に「薬価制度の抜本改革に向けた基本方針」を策定し、現在、厚生労働省で制度化に向けた具体的な議論が実施されている。本稿では、当該議論の内容を紹介するとともに、今後の薬価制度改革の方向性について考察する。

薬価制度はどう変わっていくのか

C型肝炎治療薬ソバルディや免疫チェックポイント阻害薬オプジーボの登場により、今まで治療が困難とされたC型肝炎の根治や難治の肺がん患者の生存期間が有意に延長するなど、革新的な医薬品の創出は、医療に多大な貢献を与えてきた。しかし、その一方で、革新的な医薬品は総じて高額であることから、この増加は社会医療給付費の増加を助長し、財政悪化の要因となってきている。

医療の質を更に向上すべく、真に有効な医薬品を適切に見極めて革新的な医薬品の創出を後押しするとともに、国民皆保険を維持すべく、当該高額薬剤問題に対応するため、政府は、2016年12月に、「薬価の毎年改定」や「効能追加時における薬価の年4回改定」などを盛り込んだ「薬価制度の抜本改革に向けた基本方針」を策定し、現在、厚生労働省において、制度化に向けた具体的な議論が実施されているところである。

本稿では、「薬価の毎年改定」、「効能追加時における薬価の年4回改定」、「薬価算定方式の透明化」、「費用対効果評価の導入」及び「長期収載品から後発薬へのシフト」について、厚生労働省での薬価制度の抜本的改革に向けた議論の内容を紹介する。また、筆者の厚生労働省在籍時に培った薬事業務経験を活かし、今後の薬価制度改革の方向性を考察していきたい。

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