サービス

エキスパートデューデリジェンス(エキスパートDD)(バイサイド)

エキスパートデューデリジェンスとは、環境、建物、IT、人事等の各種専門家による調査・分析サービスです。デロイト トーマツ グループでは、高度な専門知識と豊富な実績にもとづきエキスパートデューデリジェンスサービスを提供しています。また、会計・税務やビジネスデューデリジェンスを含めワンストップサービスを提供しており、各専門家が一体となることで効果的かつ効率的なサービスの提供が可能です。

環境デューデリジェンス(環境DD)

環境デューデリジェンスの意義と目的

環境デューデリジェンスでは、対象会社の不動産等を環境面から多角的に調査・分析します。対象会社の事業活動などによって環境へ悪影響が及ぼされ、環境リスクが顕在化した場合には、それによって企業価値や不動産価値の低下につながる可能性があります。そのため、適切な環境デューデリジェンスにより問題点の有無を確認し、環境リスクを明らかにすることが重要です。

 

主要な分析項目と手続き

環境デューデリジェンスの主な分析対象

環境デューデリジェンスの主な分析項目としては、土壌・地下水汚染の可能性、有害物質、廃棄物の管理、アスベスト含有材の有無、PCB廃棄物の有無、排水、排ガスの管理、オゾン層破壊物質などがあります。

特に汚染があった場合に対策費用が多大となる可能性がある土壌汚染リスクを分析することが重要な位置を占めています。

 

環境デューデリジェンスの調査・分析のポイント

通常、環境デューデリジェンスは「フェーズ1」と呼ばれる方法で行います。

フェーズ1では、旧地図(地形図、住宅地図)、航空写真や登記簿謄本などにより過去の使用履歴を調査し、さらに現地調査や関係者へのヒアリング、各種資料から現在の状況を確認し、対象会社の環境リスクを分析します。

フェーズ1で大きな問題となりそうな土壌汚染等の疑いがあれば、フェーズ2として、実際に土壌試料をサンプリングし、化学分析を行って汚染の有無を確認します。汚染が確認されれば、さらにその影響範囲を把握するための詳細調査を行うこともあり、汚染対策方法の検討や汚染対策費の試算等を行って環境リスクを明らかにしていきます。
 

デロイト トーマツ グループでは、対象会社の工場、倉庫、物流施設、商業施設、事務所ビル、共同住宅といった様々な不動産等の環境リスクについて、豊富な実績に基づき分析し、他のDDチームと一体となってワンストップで最適なサービスを提供します。

建物デューデリジェンス(建物DD)

建物デューデリジェンスの意義と目的

建物デューデリジェンスでは、対象となる建物の状況を、技術的見地から、第三者の中立的立場で調査します。そして、この調査報告書がエンジニアリング・レポート(ER)です。

建物デューデリジェンスにより、建物の潜在的なリスクを明らかにし、定量化することは、キャッシュフローに影響を及ぼすリスクを把握するうえで重要です。

 

主要な分析項目と手続き

建物デューデリジェンスにおける具体的な調査項目は、以下の通りです。

・遵法性調査:対象となる敷地・建物の建築基準関係規定への適合性について、法的に必要な手続きの実施状況を調査します。また、現地調査により建物の使用状況を確認し、法違反・不適合の可能性を指摘します。

・建物劣化診断:建物の利用・劣化状況等を書類等調査と現地調査により確認し、今後の修繕更新計画の策定に使用します。

・修繕更新費用算出:劣化診断の結果を踏まえて、建物が一般的な機能を維持し安全に稼動するための費用として、緊急を要する修繕更新費用、短期修繕更新費用、中長期修繕更新費用を算出します。

・再調達価格算出:建築・設備を含む対象建物を現時点において再び建設すると仮定した際に、現時点で建設に必要な一般的な費用の総額(=再調達価格)を算出します。再調達価格は地震リスク評価や保険料の算出などに使用されます。

・建物環境リスク評価:アスベスト、PCB、フロン、その他有害物質等の環境への影響、建物自体が環境に与える影響を調査します。

・地震リスク評価:地震リスク評価の指標であるPMLを算出し、対象建物の地震による経済的損失を予測します。

 

デロイト トーマツ グループでは、多様な建物の評価実績を持つ経験豊富な専門家が、複雑化するニーズに対して他のDDチームと一体となってワンストップで最適なサービスを提供します。

ITデューデリジェンス(情報システムDD)

ITデューデリジェンスの意義と目的

ITデューデリジェンスとは、対象会社の保有する情報システムやその運用体制等の調査・分析を実施し、統合リスクやディールを決裂させる可能性を調査・分析するプロセスを指します。ITデューデリジェンスを通じ、想定外のIT費用発生の可能性や、対象会社のITガバナンス上の問題点などのリスクを明確にしておくことが、適正な買収価格の試算や買収後のシナジー等を検討するうえで重要となります。

 

主要な分析項目と手続き

ITデューデリジェンスの主要な分析対象および典型的な調査ポイントは、下記に記載するとおりです。

 

(1) IT戦略・IT投資計画、ITコスト
今後の大規模なIT投資計画や、計画済のIT投資案件の進捗状況の調査

(2) IT組織
M&A実行後のITサービス提供に必要な要員の確保状況や、保守・運用等が特定の担当者、業者に依存(ベンダーロック)状況の調査

(3) アプリケーション・インフラ
M&A実行後、現在のITサービスの継続性、売却側企業からの情報アクセス制限(システム分離作業など)の程度の調査
(4) IT契約
中途解約のペナルティ条項の有無の調査

これらを明確にすることで、M&A実行に伴うIT関連リスクの極小化を目指します。

 

デロイト トーマツ グループでは、グローバル化・複雑化するITデューデリジェンスのニーズに対して、他のDDチームと一体となってワンストップで最適なサービスを提供します。

HRデューデリジェンス(人事DD)

HRデューデリジェンスの意義と目的

HRデューデリジェンスは、対象となる人材マネジメントにおいて、(1)ディールキラー、(2)バリュエーション項目、および、(3)その他のリスク項目の調査・分析を目的とします。

HRデューデリジェンスの必要性は、ディールの難易度と相関があり、ディールの難易度が高いほど必要性が高い関係にあります。例えば、案件ストラクチャーで言えば、カーブアウトを伴う事業買収や合併は難易度が高いと言えますし、国内案件よりはクロスボーダー、特に、新興国の場合に難易度が高いといえます。

 

主要な分析項目と手続き

HRデューデリジェンスの検討対象
検討対象は、通常は、広義の人材マネジメント、すなわち、ガバナンス体制(経営幹部、各部門の責任や権限)、基幹人事制度(等級、評価、報酬・福利厚生制度)、人材フロー(採用、育成、リテンション、退出)、および、労使・労働組合関係や労働条件等、さらに、人員構成や人件費にまで及びます。一方、事業買収のようなケースではこれらに加えて人事機能(例えば、給与計算業務、人事企画業務)が追加されることになります。

 

デロイト トーマツ グループのHRデューデリジェンスの枠組み
HRデューデリジェンスには「リスク抽出型」と「現状分析型」が存在します。リスク抽出型は、案件ストラクチャーを問わず実施するもので、ディールキラー(例えば、紛糾した労使関係)、バリュエーション項目(例えば、M&Aにより発生し得る一時金)、その他リスク項目の調査・分析を対象とします。一方、現状分析型は、上記HRデューデリジェンスの検討対象の現状を調査するものです。これは、案件ストラクチャーとの関係で注力すべき項目が変わり、例えば、事業買収の場合にはスタンド・アローン問題(例えば、追加的に必要となる人事機能)への注力が重要となります。

 

デロイト トーマツ グループでは、M&A人事チームという専門チームによるHRデューデリジェンスサービスを他のDDチームと一体となってワンストップで提供します。

年金デューデリジェンス(年金DD)

年金デューデリジェンスの意義と目的

年金デューデリジェンスでは、(1)債務評価の妥当性の検討、(2)潜在的リスクの把握、(3)ディールの影響分析を主な目的としています。

国内では会計基準の改正による債務評価の自由度の増加により、評価方法の検証の必要性が高まっており、クロスボーダーでは特に海外の年金制度およびリスクの正確な理解が欠かせません。さらにカーブアウトでは、年金債務、資産の引継ぎ方法などによって債務の評価が大きく変わってきます。買収価格に多額のインパクトを与える領域であり、また売り手との複雑な交渉が必要になる場合もあります。

主要な分析項目と手続き

(1) 債務評価の妥当性の検討
年金規約やアクチュアリーレポート等を入手し、計算前提を含む退職給付債務評価の妥当性、評価対象に含まれない給付の有無、カーブアウトにおける適正な評価を調査、検討します。
(2) 潜在的リスクの把握
財務諸表上には現れないリスクが買収後に顕在化することがあります。特にクロスボーダーの場合には、年金制度が国によって大きく異なるため、日本では想像しえないことが起こることがあります。海外の年金制度を正確に知ることと、そこに潜むリスクや日本の年金制度との違いを理解しておく必要があります。
(3) ディールの影響分析
カーブアウト後の年金債務、資産の引継ぎ方法や、買収後の現実的で最適な制度統合方法などを見据えたバリュエーションが必要になる場合があります。買収後、制度統合等により債務、費用あるいはキャッシュフローが大きく増加することもあるため、PMIも見据えた分析を行うことが極めて重要になります。

デロイト トーマツ グループでは、アクチュアリー(年金数理人)、公認会計士、バイリンガルスタッフや、ロンドン、NYでの年金実務経験のあるメンバーが、他のDDチームと一体となってワンストップで対応します。