Brexit Newsletter (UK)-vol.18

最新動向/市場予測

Deloitte UK 日系企業サービスグループ 『Brexit Newsletter (UK) - vol.20』

Brexitのプロセスを特徴づける「不確実性」(2016年11月8日)

英国の高等法院は、EU離脱の手続きを開始するためには政府は議会の承認を得なければならないという判決を下したが、英政府は2017年3月末までにリスボン条約第50条に基づく通知を行う計画に変更はないと表明した。

Brexitに関する最近の動き ※詳細資料(PDF)より一部抜粋

英国の高等法院は、EU離脱の手続きを開始するためには政府は議会の承認を得なければならないという判決を下したが、英政府は2017年3月末までにリスボン条約第50条に基づく通知を行う計画に変更はないと表明した。

以下は、Deloitte UKのチーフエコノミストの私見を含む、政治・経済の動向である。

  • これまでのところ、英国の成長に対するBrexitの影響は殆ど見受けられない。国民投票以降に公表された経済活動のデータの殆どは、予測よりもよい結果となっている。英国の経済成長率は、国民投票直後にわずかに鈍化したものの、大幅ではなく、多くの人が懸念していたほどではなかった。
  • 先週、イングランド銀行は2016年と2017年の経済成長予測を上方修正した。2017年およびそれ以降の英国の成長速度は、他のほぼすべての予測と同様に大きく減速すると引き続き見ているが、4か月前に広まっていた、マイナスの経済成長が続き2017年には景気後退局面を迎えるという話はほぼ聞かれなくなった。今後のBrexitの影響による減速は、6月末に予想されたほどには脅威ではないと見られている。
  • Brexitに関する真の問題は2017年または2018年における経済への影響ではない。EU離脱に関する取り決めがビジネス環境や英国の長期的な成長率にどのような影響を与えることになるかが真の問題である。
  • 最近の英国経済の回復は、長期的な予測はもちろん、短期的な予測でさえも困難であることを実証している。英国の有力な独立系シンクタンクであるNational Institute of Economic and Social Research(NIESR)は8月、第3四半期の英国経済成長率はBrexitの投票結果を受けてマイナス0.2%と予測していたが、結果はプラス0.5%となり、実績データ公表の10週間前に発表された予測値と0.7ポイントの誤差が生じただけでなく、マイナスではなくプラスという点でも異なっていた。

この一週間のBrexitおよび欧州の政治経済に関する主な動きは以下の通りである。

  •  イングランド銀行は、Brexitの国民投票後の個人消費が予測よりも好調だったとして、今年と来年の英国の成長見通しを上方修正した。
  • 購買担当者データによると、英国経済の8割を占めるサービス部門は、10月に予想以上の速さで拡大した。
  • 急激な英ポンド安を受け、イングランド銀行は英国のインフレ率見通しを引き上げた。現在の1%台という水準から、2018年には2.75%前後まで上昇すると予測している。
  • その他の機関もインフレ率予測を引き上げている。NIESRは、インフレ率が来年4%まで上昇する可能性があり、個人消費が大幅に減少する恐れがあるとしている。

 

(PDF, 884KB)

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