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コーポレートガバナンス・コードの基本的な考え方の解説

会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上のために

平成27年3月5日、金融庁及び㈱東京証券取引所を共同事務局とするコーポレートガバナンス・コードの策定に関する有識者会議有識者会議(第9回)において、コーポレートガバナンス・コード原案が取りまとめられ、平成27年6月1日から我が国の証券取引所に上場する会社に適用された。ここではコーポレートガバナンス・コードについて基本的な考え方を解説する

背景と目的

背景

平成26年6月に閣議決定された「日本再興戦略改訂2014-未来への挑戦-」(以下、「日本再興戦略」という。)を受けて、ガバナンス関連の政府の施策が矢継早に多数実現されており、JPX日経インデックス400の算出開始、上場企業に独立役員である取締役を少なくとも1名以上の確保を要請する有価証券上場規程の改訂、日本版スチュワードシップ・コードの策定・公表、また改正会社法案が可決・成立し平成27年5月1日より施行された。そして、今回の解説テーマであるコーポレートガバナンス・コードの創設である。

このような一連のガバナンス関連の改正が実施されている背景には、外国人株式保有比率の上昇による海外投資家の影響がある。上場会社(全国4証券取引所)の株式保有比率は、外国法人等の比率が上昇しており過去最高の30.8%*2となっているほか、日本企業も近年多数のクロスボーダーM&Aを実施しており、海外投資家に限らず、海外のステークホルダーの関与割合が増加している。このような状況を踏まえ、日本企業においても海外に理解しやすいガバナンス構造が求められている。

 
目的

「日本再興戦略」においては、成長戦略とコーポレート・ガバナンスの強化がセットとして発信されて
おり、日本企業の「稼ぐ力」を取り戻す施策としてコーポレート・ガバナンスの強化が掲げられている。つまりコーポレートガバナンス・コードは、政府の成長戦略の一環として策定されたものであり、このコードによって経営者を縛るものではなく、企業の稼ぐ力を取り戻すための「攻めのガバナンス」を実現するものである。この点、コードの序文7においても、「本コード(原案)では、会社におけるリスクの回避・抑制や不祥事の防止といった側面を過度に強調するのではなく、むしろ健全な企業家精神の発揮を促し、会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図ることに主眼を置いている」と記載されている。

なお、コードは、会社法や金融商品取引法といった法律とは異なり法的拘束力を有するものではない。法令が最低限の規律を定めたものである「ハードロー」であるのに対し、今回のコードは一律の規制ではなく報告書等で考え方を提示する「ソフトロー」である。企業統治の在り方について定めた改正会社法に加え、コーポレート・ガバナンスの具体的内容はソフトローにより個々の企業の自己規律に委ねられる流れとなっている。

なお、PDFでは次のポイントについて解説している。

・プリンシプルベース、コンプライ・オア・エクスプレイン
・コード適用対象企業、適用開始時期
・コードの構成
・押さえておきたい13のKeyword

*1 本文の内容は、2015(平成27)年3月19日現在の状況にもとづいている
*2 平成25年度株式分布状況調査結果の概要(株式会社東京証券取引所、株式会社名古屋証券取引所、証券会員法人福岡証券取引所、証券会員法人札幌証券取引所)

(PDF, 7.5MB)
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