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HEARTBLEED:ハートブリード OpenSSL脆弱性

たった1つの脆弱性が及ぼす影響

「DT-ARLCS ニュースレター Vol.01」HEARTBLEED:ハートブリード脆弱性について解説します。

HEARTBLEED:ハートブリード

2014年4月7日、サイバーセキュリティの研究者がハートブリードバグ(CVE-2014-0160)を発表しました。

ハートブリードバグとは、暗号機能の実装等に広く利用されているOpenSSLに存在する脆弱性のことです。

OpenSSLは、SSL/TLSを実装するための標準的なライブラリであり、有名なウェブサイトの大多数で利用されています。

(3.7MB, PDF)

動作の仕組み

ハートブリードバグが存在するOpenSSLは多種多様のアプリケーションやOSに同梱されており、SSLベースのVPNといったハードウェア上のアプリケーションも影響を受けます。

攻撃者はSSL/TLSハートビート拡張の実装の欠陥悪用により、サーバ上の65,535バイトまでのメモリにアクセスができます。攻撃者はメモリに保持されている任意のデータにアクセスし情報を窃取しますが、メモリのどの部分にアクセスするかは選択できません。

そのため、窃取した情報が役に立たない場合もありますし非常に重要なデータの場合もあります。

メモリに格納されている情報にはデータの暗号化や復号に使用されるプライマリキーやセカンダリキー、その他にもメールの送受信内容やサイトにログインするためのユーザIDやパスワード、個人情報、財務情報等を攻撃者は窃取できる可能性があります。

OpenSSLのバージョン 1.0.1から1.0.2-betaに脆弱性があり、これには、2014年4月7日までにリリースされた最新のバージョン1.0.1fも含まれております。

最も古いバージョンは2012年2月22日にリリースされた1.0.1-beta1であり、このバグは2年以上にわたって存在し、パッチも提供されず攻撃が可能な状態であったということです。なお、OpenSSL 0.9.8と1.0.0 branchesには脆弱性はありません。

本研究所での検証 (攻撃コード実行例)

デロイト トーマツ サイバーセキュリティ先端研究所のテスト環境(Apache、OpenSSL)で、ログイン機能を持つ簡易プログラムを動作させ実際に検証を行いました。

本脆弱性を利用した攻撃は、1度で最大65,535バイトのデータを搾取することができます。つまり、リクエストメッセージが確保されたメモリの特定の領域65,535バイトの中にIDやパスワードなどの情報が含まれていると、「攻撃コード実行例」のように窃取されてしまいます。

対応と対策

OpenSSLは、脆弱性を修正したバージョン1.0.1gをリリースしました。組織としては次のような意思決定を行う必要があります。

  • 外部に公開しているサーバや重要なデータを保管しているサーバを最優先に、影響を受けるサーバやデバイスをすぐにアップデートする。
  • 問題が解決されるまでは脆弱なウェブサイトに接続しない。ウェブサイトのアップデートが確認できるまではウェブサービスへのログインを避け、ウェブサイトのアップデート後にパスワードを変更する。

パッチの適用後、SSL秘密鍵を失効させ再設定するかを決定する必要があります。対応に必要な時間や労力を考え、資産の重要性により優先度を設定した対応が求められます。

また、事業に重要なシステムであるため適時のアップデートが行えない場合は、WAF(Web ApplicationFirewall)やIPS(Intrusion Prevention Systems)、IDS(Intrusion Detection Systems)といった追加コントロールによる代替手段の検討が望まれます。

ハートブリードバグに関連するIDSのシグネチャ(検知ルール)※1も複数報告されており、早急な対応が望まれます。

また、PoC(Proof of Concept)※2では、脆弱性のあるOpenSSLが起動しているサイトかどうかをテストするためのツールを公開しています。利用にあたっては利用者の責任で実行する必要がありますが、自身のサイトの安全性をテストするには有効な選択肢といえます。

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