デロイト トーマツ、生成AI活用で月間約4万時間の稼働時間削減に成功、2025年にはAIエージェントの全社展開を計画 ブックマークが追加されました
生成AIの効果を最大限に引き出すためには、堅牢な基盤構築と、業務における効果的な活用が必要不可欠です。デロイト トーマツでは、生成AI導入にあたり、2023年より、CxO直下に特任チームを設立し、トップダウンで迅速な意思決定と全社的な展開を進めてきました。このアプローチにより、2024年11月時点で、グループ全体で約7,300人の社職員が生成AI社内ツールをプロフェッショナルワーク内で活用し、その稼働時間の削減は約4万時間/月*に達しました。さらに、生成AIが自律的にタスクを実行することができるAIエージェントについても、2025年より段階的に全社展開を行う計画であり、プロフェッショナルワークにおける更なる生産性向上を図っていく計画です。
*約7,300人の利用者に対して、利用者一人あたりの平均質問回数、プロンプト分析および実測から推計した平均稼働削減時間、更問を踏まえた正答率を掛け合わせて算出した推計値
生成AI導入はただツールを作ればいいというものではありません。持続的にAI変革に取り組める環境構築が不可欠です。そのためには開発・育成・定着の3つのポイントを踏まえ環境を整備しました。
まず、生成AIに関する技術検証と基盤構築において、私たちは最新技術への対応を最優先としました。CxO直下の特任チームが最新の生成AI技術を継続的に検証し、実用性の高い技術を迅速に導入しています。これにより、チャットボット型の生成AIツールや提案資料の自動作成ツールなど、4種類のツールを自社開発し、タイムリーに全社展開することが可能となりました。また、RAG(Retrieval-Augmented Generation)や負荷分散型の仕組みを整備し、社内データの活用や大量のアクセスにも対応できる堅牢な基盤を構築しました。
(関連リンク)
さらに、生成AIに精通した開発人材の育成として、エンジニア向けの専門研修プログラムを設け、最新の技術トレンドや実践的なスキルを習得させることで、組織全体の技術力向上を図っています。これにより、生成AI技術を活用した新たなプロジェクトの立ち上げや既存システムの改善においても、迅速かつ効果的な対応が可能となりました。
(関連リンク)
次に、生成AIの使いこなし推進(活用頻度、活用レベルの引き上げ)においては、約100種類以上のプロンプト集や参加必須のeラーニング、新卒・中途入社者向けの育成研修を導入しました。これらの取り組みは、論点設計、仮説立案から仮説検証、示唆出しなど、プロフェッショナルワークにおける基本的な業務プロセスに対応しており、特に若手コンサルタントの育成にも大いに役立っています。加えて、各組織内にスーパーユーザーチームを編成し、組織内での生成AI活用レベルの向上を図っています。組織固有業務のプロセスを詳細に分解し、生成AI活用を前提とした業務プロセスへの組み替えについても全社的に実施しています。
デロイト トーマツは2025年より、AIエージェントを段階的に全社展開する計画です。このAIエージェントは、プロフェッショナルワークにおける業務プロセスが組み込まれており、これまでは、課題整理、論点設計などの個々の業務プロセスごとに、各コンサルタントがプロンプトを検討・工夫し、生成AIに直接入力することでアウトプットを取得してきましたが、今後は、タスクをもとに最適なプロンプト生成、社内資料等の活用、アウトプットのレビューをAIエージェントが一貫して自動的に実行することになります。これにより生成AIによるアウトプットの品質向上と作業時間を大幅に短縮することができるようになります。
(関連リンク)
以上の取り組みにより、デロイト トーマツは生成AIのプロ集団として、その専門性と実績を確立してきました。私たちの戦略的かつ一貫したアプローチにより、デロイト トーマツ グループ内では、多くの社職員が生成AIの真価を引き出し、業務効率化と付加価値の創出を実現しています。また、その実践に基づいた経験から、クライアントのビジネスにおける社内変革についても支援いたします。
AI・生成AIに関するナレッジ・レポートなど、ビジネスに役立つ情報を発信しています。
Chief Growth Officerとして戦略・アライアンス・イノベーション・AIを含む先端技術等を統括する。また、テクノロジー・メディア・通信インダストリーのアジアパシフィックリーダーを務め、事業戦略策定、組織改革、デジタルトランスフォーメーション等のプロジェクト実績が豊富である。米国への駐在経験もあり、日系企業の支援をグローバルに行ってきた。 関連するサービス・インダストリー ・ テクノロジー・メディア・通信 ・ 電機・ハイテク >> オンラインフォームよりお問い合わせ
外資系ERPベンダーから、大手コンサルティング会社を経て現職。一貫してSCM、生産管理領域の業務/組織/システム設計に従事。グローバル需給調整プロセス、S&OPの構築プロジェクトの経験が豊富であり、グローバルかつ大規模プロジェクトのマネジメントに強みを持つ。 関連するサービス・インダストリー ・ サプライチェーンマネジメント(SCM)(ナレッジ・サービス一覧はこちら) >> オンラインフォームよりお問い合わせ