デロイト トーマツ グループでは、季節の折に多肉植物の寄せ植えを社内で販売しています。その多肉植物の寄せ植えは、デロイト トーマツ コンサルティング合同会社所属の障がいのあるメンバーが、すべて手作りで制作しています。
毎年クリスマスの時期には社内で多肉植物の販売会を実施しますが(昨年の多肉植物販売会のレポートもご参照ください)、今年はCOVID-19の影響によりイントラ上で販売を行い、寄せ植えは後日購入者へ郵送するという対応をとりました。COVID-19感染予防対策徹底のため制作数も限られる中で、今年も短い期間で見事完売。社内ではそれほどの人気商品です。
多肉植物の寄せ植えは、サンプルを作るところから始まります。これまで作った寄せ植えを参考にして、ノートにカラフルなイラストを描いて文字を書き込み、手に取った人がよろこんでくれるような完成像をしっかりイメージします。素材となる多肉植物の素材選びや、オーナメントの飾りつけも全て制作スタッフ自身で行います。
イメージができたら、寄せ植え用に用意した小さな鉢の土を平らにし、ピンセットで一本ずつ苗を植えていきます。鉢土の表面に小さな穴をあけて苗を植え、そのすきまをふさぐという作業を十数本分繰り返します。そして苗を植え終わったら綿棒で上から、目の高さで、下からの3回、寄せ植え全体をきれいに掃除し、完成です。寄せ植えの鉢は手のひらにおさまるほど小さく、ここに十数本の苗をびっしりと植え、さらに綿棒で掃除するのは集中力と細やかさのいる作業。これはまさに職人技。寄せ植えの制作にあたるスタッフは、その腕を磨くための努力を惜しみません。
これら作業に必要な道具も、制作スタッフの創意工夫がこらされています。たとえば、土を平らにするのに必要な作業台も、スタッフが発案しました。小さな鉢を手で持っていてはぐらついてしまうので、テーブルにおいて自然な姿勢で土をならすことのできるようにしたのです。
また、制作の役に立つ補助用具も、障がいのあるスタッフの特性にあわせて用意。作業に熱中しすぎて疲れてしまわないよう、時計を使って時間管理しますが、その時計もさまざまです。デジタル時計なら即座に読めるというスタッフもいれば、アナログ時計の方が分かりやすいというスタッフもいます。どちらかだけを準備するのではなく、それぞれに適した時計をすべて設置しています。
多肉植物づくりは、誰にでもできる簡単な作業ではありません。熟練するには時間がかかり、そしてどんなに熟達しても失敗がつきものです。それでもめげず、ひたむきに作業に向き合う心が、「職人」には求められます。その心がなければ、障がいの有無にかかわらず、「職人」となることは難しいのではないでしょうか。多肉植物を制作しているスタッフは、みな向上心をもって仕事にとりくみ、立派な「職人」に育ちました。
さらに、彼らが体調を崩さないよう気を配りながら支えつづける指導スタッフの存在、それから彼らの手仕事を楽しみに待っているデロイト トーマツ グループの社職員の存在も欠かすことができません。
彼らはみな、「これを手に取ってくれた人がよろこんでくれるのが楽しみです」「自分がつくった寄せ植えを待っていてくれる人がいてうれしい」と言っています。同様に寄せ植えを手にする人たちも、「毎年これが手に入るのを楽しみにしている」「本当にすばらしい手仕事には感動した」と感想を口にします。
彼らのつくる手のひらサイズの小宇宙。その小宇宙をやさしく包み込む、みんなの心が織りなす大きな宇宙の存在。これこそが、障がいのあるメンバーが「職人」に育つ大きな理由なのかもしれません。
WorldClassは、教育(Education)、スキル開発(Skills)、機会創出(Opportunity)の 3分野で、2030年までに全世界で累計5千万人の人々に対してポジティブなインパクトを及ぼすことを目指すDeloitteのグローバルな取り組みです。この一環として、デロイト トーマツ グループにおいても、2030年までに200万人の人々に対してインパクトを及ぼすことを目標に掲げ、取り組みを推進していきます。デロイト トーマツ グループは、障がい者雇用やダイバーシティの推進に積極的に取り組んでいます。