Posted: 12 Sep. 2019 3 min. read

アフリカ開発会議(TICAD)を振り返る(後編)

アフリカ進出時の要諦

今回のTICADにはアフリカ諸国より大統領クラスの要人が多数参加し、日本とアフリカのハイレベルな友好関係が築けた。民間企業の参加も多く、会場となったパシフィコで日本企業がアフリカに対して提案するソリューションについて多くの意見交換が行われたことは、日本企業がビジネスを展開する上でも大きな糧になった。

こうした機会をきっかけにアフリカでのビジネスを検討する企業は増えると思われるが、事業展開で成功するために留意すべき点としてポイントを三点挙げたい。

一点目は、アフリカの市場を理解すべき、という点だ。日本ではしばしば「アフリカには潜在的な市場がない」「リスクが高い」、「貧しい」といった考えが先立つ。しかし実際にはアフリカに市場が形成されつつある(例えば自動車産業では、南アフリカ共和国で年間約60万台の自動車を製造し、35万台を輸出している)。進出する前に、市場の規模感、競合の状況、規制等について正しく理解することは不可欠である。

二点目は進出の形態を考えるべき、という点だ。現地企業とパートナーシップを結ぶのか、もしくは現地企業を買収するのか、はたまた自前で現地法人を作るのか、検討しなくてはいけない。

三点目は地域戦略だ。アフリカ全体の人口は約13億人と規模が大きいが、国数も45か国と多い。1ヶ国単位の人口は決して多くなく、市場が分散している。そのため、進出時はエリア単位で戦略を立てる必要がある。まず1ヶ国に拠点をつくり、周辺の国々をどのように攻めていくかを検討しなければならない。

アフリカの健全な発展のために日本企業が貢献できることは多い。平均年齢が20歳前後と若者が多い中で雇用の創出への期待は大きい。現地に自動車や家電の工場を建て、労働集約型の産業をつくることで雇用が生まれる。また、人材トレーニングやカイゼンなど日本の得意分野も活かせるはずだ。

 

今回のTICADを契機にアフリカに進出する日本企業が増えることを期待する。

 

 

関連するサービス

▼南アフリカでの日系企業サービス
https://www2.deloitte.com/jp/ja/pages/international-business-support/solutions/gbs/southafrica.html

 

関連するリンク

▼アフリカ発展のための4つの課題 巨大市場は「チャンス」となるか?(外部サイト)
https://fq.yahoo.co.jp/Africa/2.html

 

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ジェームス・クリア/James Kuria

ジェームス・クリア/James Kuria

デロイト トーマツ グループ シニアマネジャー

デロイト トーマツ コンサルティング合同会社  シニアマネジャー ケニア出身。中央大学ビジネススクールMBA。米国資本の大手半導体会社の半導体製造プロセスエンジニア、日本国内の大手飲料メーカーの生産プロジェクトマネジャー、日本の総合化学メーカーでの新興国ビジネス開拓を経験後、デロイト トーマツ コンサルティングに入社。 日本企業のアフリカ進出・事業拡大戦略に多く携わり、アフリカ政府機関や現地有力企業とも緊密な関係を構築。 著書に「最後の市場アフリカ」(日本実業出版社 共著)