Posted: 21 Nov. 2019 3 min. read

業務デジタル化の未来へ、プロセスマイニングが拓く次のステージ

仕事の効率性向上や業務改善をデジタル技術による自動化で推進する企業が増える一方で、その徹底的な実現に頭を悩ませる例も多くみられる。複数の部門・担当者が関わる複雑な業務プロセスを把握しきれないことや、従業員の負担肥大化を感じているものの、実務を知らないと無理・無駄な仕事が特定できないといった課題があるからだ。また、RPA導入により業務ごとにAI、BIツール等の活用を進めた企業が、それらの個々に最適化された自動処理を連結させ、より大胆な業務のデジタル化を志向する例も現れている。

ノートPCの傍らでスマートフォンを持ち、グラフを見る男性

これらの現状打破を推し進め、仕事を“可視化する”ツール、業務システムを“つなぐ”ツールとして、RPAの次なるデジタル化ツールブームを担うと期待されているのが「プロセスマイニングツール」だ。プロセスマイニングツールとは、端的に表現すると、システムログを利用して「業務状況の可視化」「業務改善ポイントの示唆」「業務効率化の支援」を行うツールで、欧州や北米ではすでに導入している先進企業が多く、某欧州大手製造企業では管理業務の効率化で、年間で約1000憶円のコスト削減に成功したと言われている。組織がサイロ化、仕事が属人化しがちな日本企業にはうってつけのツールであり、ブラックボックス化した業務システムや組織間の仕事の連携・順序・所要時間等を可視化することで、生産性を大幅に向上する可能性を秘めている。

プロセスマイニングツールはRPAの導入ポイントの提案や停滞業務を知らせるような支援機能の追加・充足もされつつあり、さらに、ERP、RPA等との連携を容易にするAPIなどが標準装備されているものもあり、業務デジタル化ツールのハブ・プラットフォームとしても期待されている。アジャイルな進化は目覚ましく、他システムが吐き出すログを収集して利用する機能だけでなく、PC端末での作業情報を能動的に取りに行く機能が付与されたものも開発されてきている。

さらに、プロセスマイニングツールの機能は、業務改善だけでなく、管理部門や監査部門によるリスク検知や不正監視等の業務モニタリングにおいても活用できる。たとえば、某欧州大手通信企業では、購買管理に適用し業務効率化とともに、怪しげな業務プロセス排除によるコンプライアンス向上を図っている。将来的に個別業務のデジタル化が進み、かつ、本ツールでリアルタイムのログ収集・解析を行うことができれば、内部監査等のCA(Continuous Auditing)に飛躍的に貢献する可能性を秘めている。

RPAにより加速が始まった業務デジタル化はプロセスマイニングツールにより次のステージに突入する。全社に展開し、継続的に運用していくことが肝要であり、将来的には、フロント業務から管理業務、監査業務に至るまで“改善・実施”はシステム・ツールが全て自動で担い、人は仕事の“創出・設計”に集中できる時代が到来するかもしれない。

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有川 慶子/Keiko Arikawa

有川 慶子/Keiko Arikawa

デロイト トーマツ グループ パートナー

デロイト トーマツ リスクサービス パートナー。IT系コンサルティング会社にて、会計システム開発・運用業務を経験。その後、大手監査法人グループを経てトーマツに入所。 銀行・証券等の金融機関を中心に、ITガバナンス・システムリスク管理に係る業務のアドバイザリー、評価業務に数多く従事している。 最近では、金融機関、製造業等で業務改善、RPA・AI-OCR等のデジタル化ツール導入・業務デジタル化推進案件をリードしている。