Posted: 12 Jun. 2020 3 min. read

コロナ禍における日本の消費者の特性と、それを活かした経済活動再開への道筋とは

新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大による外出自粛期間において私たちの生活は大きく変わった。5月25日に緊急事態宣言は解除されたが、消費行動は今までの状態にすぐに戻る訳ではない。

ショッピングバッグをたくさん持つ女性

今回のコロナ禍において、デロイト グローバルが定期的に実施している消費者意識「デロイト グローバル消費者実態・意識調査」を見てみると、興味深い結果が出ている。本調査は、世界17ヶ国・各1,000名の消費者を対象に隔週で実施したもので、緊急事態宣言解除直後の5月26日~30日に実施した最新の調査では、「店舗での買い物や外食、飛行機での移動が安全と思う人」の割合が、日本は米国や世界平均に比べて低い。つまり、外出を不安視し、慎重にとらえている人が日本には多い。

この背景には、日本人の「安全・安心」に対する意識の高さがあると思われる。安全・安心の意識が高いことは、今回の外出自粛期間において感染拡大を抑えるうえで有益に働いた要因の一つでもあり、日本人の長所の一つでもある。一方で、経済活動においては、逆にこの安全・安心意識がネックになり、消費が抑制されて経済回復のブレーキになりうるという負の側面もある。日本の特性はある意味で「諸刃」に働く側面がある。

今後の再感染防止と経済活動の両立を考えた際には、日本の安全意識の高さや慎重さは、2次感染をはじめ再感染を防ぐためには必要不可欠で継続して持ち続けるべきだ。

その前提に立つならば、経済活動を回復させるには、消費者の安全意識に対応するために、事業者や企業側といった供給側が今までのやり方を変えるという供給側の変革が求められる。具体的には、“非三密ニーズ”を満たすことを標準にすべての事業の見直し・再構築が必要である。

例えば、既に中国や米国の物流業界では自動運転やドローンの技術を活用した「コンタクトレス配送」が実用化されている。また、密閉空間での感染防止の技術として、室内の空気の流れをコントロールする空調機器や、指をかざすだけで操作できる非接触型の操作パネルも出始めている。今後はこれを標準にしてゆくことが求められる。

更に将来的には、あらゆる産業分野で“非三密”に対応できるソリューション化を起点に新たな需要を作り出し、最高水準の安全性を強みに国際競争力を高める方向を目指すべきである。

日本特有の安全意識の高さを持ち続けながら、経済活動も再開させる「日本らしい両立」を目指していきたい。

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松江 英夫/Hideo Matsue

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