Posted: 06 Mar. 2020 3 min. read

コワーキングスペースで大企業が働く意義。その背景にある“変化”とは

フリーランスやスタートアップ企業が手軽に活用できるオフィスとして近年増加してきた「コワーキングスペース」だが、昨今は大企業の従業員の利用も増加し、新たな働く場として、大企業の変革のきっかけにもなり始めている。

コワーキングスペースで大企業が働く意義。その背景にある“変化”とは

コワーキングスペースとは、シェアオフィスにも似ているが、その名の通り「コワーキング=共同で働く」という点を特長としており、企業間の交流が特に意識されている。大企業では新規事業部門の従業員が利用することが多く、その目的は異業種交流をしてオープンイノベーションを起こすことにある。

オープンイノベーションというと、社内と社外のアイデアや技術を組み合わせて、新しい価値を創造するために、共同研究やインキュベーションプログラム、CVC(コーポレートベンチャーキャピタル)によるスタートアップへの投資等が進められることが多い。それらに加えて、コワーキングスペースをきっかけとしたオープンイノベーションも進められつつあり、実際にコワ―キングスペースの空間で大企業とスタートアップがつながり、スタートアップの技術を活かした、今までにない新商品を生み出したケースもある。

コワーキングスペースを活用することのメリットとしては、スピードの速さがある。コワーキングスペースに集まってきている人は、何か新しいことを実現したいという志があるので、お互いの思いを共有しやすく、事業化へのプロセスが従来よりもスピーディーに進むのである。
 

大企業がイノベーションのためにコワーキングスペースを活用する背景には企業内での変化も挙げられる。それは、企業と働く個々人との関係性が変化し、企業の役割が「個を活かす」ことにシフトしていることである。

人口減少下における企業にとっては、働く個々人のパフォーマンス向上が一層重要になり、個の力や意欲を高めることは企業の優先アジェンダになる。同時に、個々人の価値観も変わり、フリーランス、副業・兼業といった働き方が多様化している。個人同士が新たなネットワークや異なるアイデアと触れ合う創発こそが、組織の成長の原動力になる時代になっている。

企業の中には、実はアイデアを持っている人や、イノベーションの情熱や能力を持っている人が結構いるが、日本では既存の出来上がった事業や組織が強すぎるがゆえに変革の妨げとなる。そんな中でコワーキングスペースを活用し、企業と個人の既存の関係性を残しつつも旧来の縛りをより柔軟にすることで、外部の異なるものと混じり合いを促し新しいものをつくっていくスタイルは、日本らしい変革のひとつのやりかたと言える。

今後の企業の役割は、組織間の垣根を低くしてより外部と交わり、更に個の創発力を高め、アイデアを持つ個人を後押しする役割にシフトしてゆくだろう。

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松江 英夫/Hideo Matsue

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