Posted: 23 Mar. 2020 3 min. read

今こそSDGsの観点から食品ロスについて考えよう

家庭から排出される食品ロスは全体の45%に当たる291万トンに及んでいる。自粛要請により家庭で過ごす時間が増えている今こそ、家庭から食品ロスをなくそう。

新型コロナウイルスの影響を受けた政府の自粛要請や学校休校による措置により、多くの食材や給食用牛乳が廃棄されている様子をたびたびテレビで目にするようになった。目下の感染予防を最優先しつつも、経済社会全体でSDGs(持続可能な開発目標)*1の実現に取り組むという観点に立つならば、家族との時間や在宅時間が長くなる今だからこそ、身近な社会課題として食品ロスについて考え、身近なところから取り組みを始めてみるべきではないだろうか。

SDGs(※1)とは2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標であり、17のゴールのうち、12番目の「つくる責任 つかう責任」には「2030年までに世界の食料廃棄を半減する」という目標が掲げられている。

政府は食品ロスを削減するため、2019年10月1日に「食品ロスの削減の推進に関する法律(略称:食品ロス削減推進法)」(※2)を制定し取り組みを開始した。

食品ロスとは何か?

食品ロスとは、食品廃棄物等のうち「本来、食べられるのに捨てられてしまう食品」をあらわす。「食品廃棄物等」とは、飼料等として有価で取引されるものや、脱水等による減量分を含むいわゆる再生利用の取組によるものを含んでいる。

食品廃棄物等と食品ロスの関係概念図

食品ロスの問題は、フードバリューチェーン全体を視野に入れて考える必要がある。フードバリューチェーンとは、食品の生産から製造・加工・流通・消費に至る各段階において付加価値を高めながらつなぎあわせることで構築される食を基軸とする付加価値の連鎖をいう。食品流通の各段階で生み出される付加価値は当然ながら皆がWin×Winでなければならない。なぜなら、生産から流通に至る各段階において各企業は消費者のニーズに応えつつ利益を出さなければ持続的な価値提供はできないからである。

食品ロス発生の要因・背景

生産者は、生産段階で需要を越える量を生産してしまう過剰生産の問題がある。農業である以上、天候などの自然条件に左右されるため、生産量の調整は思うようにいかない事情がある。また、厳しい出荷規格があり規格に合致したものでないと小売店に並べられないといった問題も指摘されている。本来であれば小売店に並べられなかった規格外品も食品として有効に活用すべきであるが、コストがかかるため廃棄した方が安く済むという事情もある。

また、商習慣の問題もある。小売店などが設定するメーカーからの納品期限及び店頭での販売期限は製造日から賞味期限までの期間をおおむね3等分して設定される場合が多い(いわゆる3分の1ルール)。つまり製造日から賞味期限が6カ月の場合、賞味期限から2カ月以内のものは、店頭から撤去、廃棄、一部値引き販売ということが慣習として行われているのである。

このように様々な要因が絡み合っているため、食品ロスを削減するには、フードバリューチェーン全体での構造的な問題解決が不可欠だ。しかしながら、こうした問題の多くが消費者の嗜好や品質要求などと密接に関わっていることから、私たち一人ひとりが進んで規格外品や値引き販売のものから購入するなど、意識と行動を改めることが最も重要なのだ。

日本における食品ロス量は年間643万トン(平成28年度推計)あり、毎日大型10トントラック約1,760台分を廃棄している計算となる。これらの食品ロスをこのまま続けていれば環境への負荷が増大し、資源の枯渇などを起こす可能性もある。

家庭での食事の機会が増えている今、取り組みとして買い物前に冷蔵庫の中身などを確認し、過剰に食品を購入しない、必要な食べきれる量だけ購入する、値引き商品から買う(=賞味期限間近)、学校給食で利用予定であったものを食事に取り入れる、食品ごとに冷凍などの下処理をしておく、残っている食材から使うなど、家庭での食品ロスに対する取り組みを充実させる前向きな時間であってほしい。料理が初めてのお父さんも飲み会やイベントの縮小が相次ぐいまだからこそ、社会的課題である食品ロスに目を向け、食材を買い物に行ったり、キッチンに立ったりしてはどうだろうか?

※1. SDGsとは(外部サイト)

https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/about/index.html

 

※2. 食品ロスに係る主な文献等(外部サイト)

消費者庁「食品ロスの削減の推進に関する法律」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/information/food_loss/promote/

農林水産省「「食品ロスの削減の推進に関する法律」の施行及び本年10月の食品ロス削減月間について」
https://www.maff.go.jp/j/press/shokusan/kankyoi/190924.html

環境省「「食品ロスの削減の推進に関する法律」の施行及び本年10月の食品ロス削減月間の取組について」
https://www.env.go.jp/press/107238.html

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高田 真紀/Maki Takada

高田 真紀/Maki Takada

デロイト トーマツ グループ シニアマネジャー

有限責任監査法人トーマツ リスクアドバイザリー事業本部所属。ITソリューションサービス企業等を経てデロイト トーマツ入社後、グローバルでビジネスを展開する小売業、製造業、物流業等における会計監査、内部統制監査をはじめ、内部統制構築支援、SSAE18関連サービス、 ITガバナンス関連サービス、リスクマネジメント構築支援等に従事。 現在は、監査法人の包括代表室にて新規事業の開発・事業化担当として外部機関と連携しながら主に女性活躍推進、食品ロス等に関する社会課題解決に向けた取組を進めている。 主な著書に「こんなときどうする会社の経理Q&A」 (第一法規、共著) 資格:システム監査技術者、公認情報システム監査人(CISA)、個人情報保護士