Posted: 01 Jul. 2020 2 min. read

Withコロナの時代で重要となるバーチャルの役割と可能性とは

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、私たちのリアルな生活は行動制限を受け、制限解除後においてもコロナ前のように通勤、買い物、エンターテイメントの享受はできなくなった。

一方で、リアルな人の移動が制限されるがゆえに、バーチャル上の活動が増えたという面もある。オンラインショッピングの利用回数が増え、初めてオンライン飲み会をした人も多かった。中には、オンラインゲーム上で友人とのコミュニケーションを重ねた人もいるだろう。

そんな中、渋谷区公認の配信プラットフォーム「バーチャル渋谷」が5月にオープンした。

スクランブル交差点等の実際の街並みがバーチャル上に再現されており、スマートフォンやPC、VRデバイスからバーチャル渋谷に入り、アバターで自由に動き回ったり、イベントに参加したりすることができる。

リアルな渋谷を訪れなくても、自宅や海外からでもバーチャル上で渋谷のカルチャーを体感できるというものだ。

今後、Withコロナの時代においては、このようなリアルとバーチャルを掛け合わせた“ハイブリッド”な取り組みは至る所で増えていく。

バーチャルの持つ役割と可能性:「代替 ≦ 拡張」

そこで改めて考えたいのがバーチャルの持つ役割と可能性だ。私が注目している視点は、「代替 ≦ 拡張」だ。

「代替」とは、これまでリアルでやっていた活動をバーチャルに置き換えることで、例えばオンラインショッピング、オンライン会議、オンライン診療などがある。

 

一方で、「拡張」は、本来リアルが提供してきた価値を、「想像する世界」の体験を実現することで、更に拡げることである。

プロ野球を例に考えてみると、“VR”によってピッチャーがリアルな試合で投げたボールを自分が打って対決することができるかもしれない。また、“VR”で試合中にベンチの中に入って試合運びを一緒に体験するということが実現できるかもしれない。

これまで想像でしかなかった夢のような世界を体験できる可能性がある。

 

エンターテイメントの分野で言えば、音楽ライブのオンライン配信において、ただ一方向的に視聴するだけではなく、アバターとして参加し、隣の観客と一緒に盛り上がって声援をアーティストに届けるという仕組みはどうか。更には、音楽ライブの上演時間だけでなく、チケット予約~ライブ後に家に帰るまでのカスタマージャーニーを全てバーチャル上で実現し、ライブまでのワクワク感やライブ後の高揚感までバーチャル上で体感できると面白いのではないだろうか。

 

このように、リアル×バーチャルは無限の可能性があるので、5Gの浸透とともに新たな体験が生まれることを期待する。

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松江 英夫/Hideo Matsue

松江 英夫/Hideo Matsue

デロイト トーマツ グループ 執行役 CETL(Chief Executive Thought Leader)、デロイト トーマツ インスティテュート(DTI)代表

デロイト トーマツ合同会社 デロイト トーマツ コンサルティング合同会社 パートナー 中央大学ビジネススクール 客員教授 事業構想大学院大学 客員教授 経済同友会 幹事 国際戦略経営研究学会 常任理事 フジテレビ系列 報道番組「Live News α」コメンテーター(金曜日) 経済産業省 「成長志向型の資源自律経済デザイン研究会」 委員 経営戦略及び組織変革、経済政策が専門、産官学メディアにおいて多様な経験を有する。 (主な著書) 「「脱・自前」の日本成長戦略」(新潮社・新潮新書 2022年5月) 『両極化時代のデジタル経営—共著:ポストコロナを生き抜くビジネスの未来図』(ダイヤモンド社.2020年) 「自己変革の経営戦略」(ダイヤモンド社.2015年) 「ポストM&A成功戦略」(ダイヤモンド社.2008年) 「クロスボーダーM&A成功戦略」(ダイヤモンド社 2012年: 共著) など多数。 (職歴) 1995年4月 トーマツ コンサルティング株式会社(現デロイト トーマツ コンサルティング合同会社)入社 2004年4月 同社 業務執行社員(パートナー)就任 2018年6月 デロイト トーマツ グループ CSO 就任 2018年10月 デロイト トーマツ インスティテュート(DTI)代表 就任(現任) 2022年6月 デロイト トーマツ グループ CETL 就任(現任) 2012年4月 中央大学ビジネススクール客員教授就任(現任) 2015年4月 事業構想大学院大学客員教授就任(現任) 2021年1月 特定非営利活動法人アイ・エス・エル(ISL) ファカルティ就任(現任) 2018年10月 フジテレビ「Live News α」 コメンテーター(現任) (公歴) 2022年10月 経済産業省 「成長志向型の資源自律経済デザイン研究会」 委員就任(現任) 2020年12月 経済産業省 「スマートかつ強靱な地域経済社会の実現に向けた研究会」委員就任 2018年1月 経済産業省 「我が国企業による海外M&A研究会」委員就任 2019年5月 経済同友会幹事(現任) 2022年10月 国際経営戦略学会 常任理事(現任)