Posted: 08 Mar. 2021 3 min. read

Butterfly Effectを起こすための「Choose to Challenge」

【後編】ジェンダー平等の実現に向けて~International Women’s Day~

女性自身のButterfly Effect

よりしなやかで強い組織を目指してインクルーシブな環境を実現するためには、前編で述べたようなアンコンシャスバイアス(無意識の偏見)を防止する仕組みの構築は大前提として、個々人の意識と行動変革も欠かせない。自身や周囲の言動が、バイアスの影響から不平等や差別を生むものになっていないか、注意深く確認し、行動を変えていく必要がある。小さなアクションでも、私たち一人ひとりが変化に向けた行動を起こせば、周囲に少なからず影響を与え、波及効果をもたらす。

デロイト グローバル全体でも、この一人ひとりのアクションの重要性に着目し、今年のIWDのテーマを【The Butterfly Effect】と設定した。ひとりひとりの小さな行動や発言が「誰か」の人生やキャリアに大きく影響を与える、というコンセプトでストーリーを集約し、レポートも発行している。それぞれのアクションによりButterfly Effectを起こし、世界中で大きなムーブメントをつくっていこうと呼びかけるキャンペーンだ。

男性からのButterfly Effect

実は、デロイト トーマツ グループでは、以前からButterfly Effectへのムーブメントが現場発信で起きている。このムーブメントは、ある一人の男性メンバーが、娘の誕生を機に妻と家事と育児を公平に分担し、仕事との両立に奮闘したことから声をあげて始まった。男性の立場から社内でのジェンダー課題を提起し、男性の行動変革の重要性を訴えかけるもので、特に男性中心社会で築かれてきた排他的で非公式な組織構造、いわゆる「オールド・ボーイズ・ネットワーク(*1)」が生み出す問題への指摘は、多くの男性に気付きを与え、反響を巻き起こしている。

前述の男性メンバーは、家事と育児への関わりからワークライフバランスの実現の難しさを実感する当事者となったことで、女性の活躍を阻む社会構造に気付いた。そして、娘達が大人になるまでに、こうした状況を解消したいという思いに駆られて、足元から行動を起こし、啓蒙を続けているのだ。この男性メンバーのように、身近にいる大切な存在に目を向け、次世代にこのままの世界を渡していけるだろうか?と考えたときには、男性も一気に当事者感が増すだろう。

元来、ジェンダー平等の取り組みは女性による女性のためのものと捉えられてきたが、男性も当事者意識を持ち、女性が直面する不平等や差別を指摘することは、推進を一気に加速できる可能性を持つ。実際のところ、アンコンシャスバイアスによる「らしさ」に縛られているのは女性だけではなく、「男性らしさ」に生きづらさを感じている男性も多いようだ。例えば、ワークライフバランスを重視したいという志向があったとしても、それを表明すると、評価に悪影響を与える、キャリアを諦めたと捉えられる、と恐れる男性の声も多く聞く。

(*1) オールド・ボーイズ・ネットワーク:伝統的に男性中心社会であった企業コミュニティにおいて、組織内で培われてきた独特の文化や雰囲気、しきたりを明文化することなく、マジョリティである男性メンバーの間で暗黙のうちに築かれ、共有、伝承する、排他的で非公式な人間関係や組織構造のこと

一人ひとりのChoose to Challenge

ジェンダー課題の解決は、男女共にバイアスから解放され、それぞれが生き方やキャリアを自由に考え選ぶことのできる未来に繋がっていく。そのために、男女が一丸となってこの課題に立ち向かうことは、非常に重要な意義があるのだ。

したがって、International Women’s Dayは女性による女性のための記念日ではない。真のジェンダー平等の実現に向け、私たち一人ひとりが当事者として、課題に向き合う日なのである。

ジェンダー差などを感じることなく、それぞれの個性を存分に発揮できる世界の実現に向けて、私たちは何ができるだろうか?私たちの行動は、どのようなButterfly Effectを起こせるだろうか?

自分自身や大切な存在が生きる「今」の不平等を是正するために、そして、次世代により良い世界のバトンを渡すために、責務を果たすべき当事者として、課題解決に向けた声をあげ、アクションを起こそう。一人ひとりのChoose to Challengeが、ジェンダー平等を含めた、サステナブルな社会を実現する。

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執筆者

Diversity, Equity & Inclusion チーム

Diversity, Equity & Inclusion チーム

デロイト トーマツ グループ

「Diversity, Equity, & Inclusion(DEI)」を自社と顧客の成長を牽引し、社会変革へつなげていくための重要経営戦略の一つとして位置付けているデロイト トーマツ グループにおいて、様々な「違い」を強みとするための施策を、経営層と一体となり幅広く立案・実行しているプロフェッショナルチーム。インクルーシブな職場環境の醸成はもちろん、社会全体のインクルージョン推進強化に向けて様々な取り組みや発信を実行。 関連するリンク デロイト トーマツ グループのDiversity, Equity & Inclusion