Posted: 22 Sep. 2022 3 min. read

AIとともに創造する、日本のアニメの未来

日本のアニメはAIに代替される?

Midjourney*1やStable Diffusion*2など、AIで画像を生成するサービスが話題となっている。日本のアニメが得意としている美少女キャラクターやメカニックなども、おおむね自動生成できるこれらのサービス。その登場と普及スピードをみると、おそらく遠くない将来、AIによるアニメの自動生成も実現するだろう。そのとき日本のアニメクリエーターは、Twitter上の表現を借りれば「廃業」となるのであろうか。

筆者はそうは悲観していない。なぜなら、日本のアニメの楽しさはAIのアルゴリズムによって、そう簡単に表現されるものではないからである。

 

日本のアニメの「ねじれ」や「ひねり」は、AIにはなかなか真似できない

日本のアニメは独特の文化をもっている。それは「ねじれ」や「ひねり」をきかせた世界観だ。単に「萌える」や「カッコイイ」だけでなく、「ありえないけど現実世界にあってもおかしくはない」という奇妙な世界観を説得力たっぷりに描いた作品が、これまで人気を博してきた。

 

たとえば『鬼滅の刃』*3や『呪術廻戦』*4など、化物と人間の境界を人間ドラマと絡めた作品が爆発的にヒットしたのは、読者の記憶にも新しいだろう。最近の例でいえば、映画『ONE PIECE FILM RED』*5は、海賊という昔ながらの文化と現代のテクノロジーを思わせるキャラクターを組み合わせたストーリーで、メガヒットを記録している。あるいはTVアニメ『リコリス・リコイル』*6の、美少女アニメの枠を超えてリアリティを感じさせる現代社会の描写も、アニメファンの間では評価が高い。

 

こうした「ねじれ」や「ひねり」の妙味は、AIのアルゴリズムではなかなか出すことができない。というのも、AIの得意とするところは「複数あるパラメータの最適な組み合わせを実現すること」であり、「最適かどうかはわからないが、なぜかおもしろく感じる組み合わせを出すこと」ではないからだ。

 

AIと人間の協働は、日本のアニメ業界の重要課題である

そうはいっても、描写のスピードや正確さでは、もしかしたら人間はAIの自動生成にかなわないかもしれない。だとすれば、日本のアニメ業界は真剣にAIと向き合う必要があるだろう。少なくとも、人間にしかできない「世界観づくり」と、AIがサポートできる「制作作業」を、今から棚卸して腑分けしておくことは重要ではないだろうか。

 

人間が考える「ひねり」と「ねじれ」をきかせた世界観の楽しさ。AIによる正確ですばやい制作作業。その両方が組み合わさった日本のアニメの登場を、筆者はいちアニメファンとして、心から楽しみにしている。

公式サイトへのリンク

*1 Midjourney
https://www.midjourney.com/home/

*2 Stable Diffusion Launch Announcement(Stability.ai)
https://stability.ai/blog/stable-diffusion-announcement

*3 アニメ「鬼滅の刃」公式ポータルサイト
https://kimetsu.com/anime/

*4 TVアニメ「呪術廻戦」公式サイト
https://jujutsukaisen.jp/

*5 「ONE PIECE FILM RED」公式サイト
https://www.onepiece-film.jp/

*6 オリジナルTVアニメーション「リコリス・リコイル」公式サイト
https://lycoris-recoil.com/


(リンクはいずれも2022年9月21日に確認)

プロフェッショナル

天野 広樹/Hiroki Amano

天野 広樹/Hiroki Amano

デロイト トーマツ グループ スタッフ

デロイト トーマツ コーポレート ソリューション合同会社 Clients & Industries / Brand Marketing Digital Media Team所属。公式Webサイト管理運用業務のほか、障がい者雇用理解促進の社内啓発活動にも取り組む。プライベートではアニメファン歴20年以上で、その知識量と情熱は部署内で誰にも引けを取らないと自負しており、関連する社内オフ会イベントなどにも積極的に参加している。