AI活用の新時代に、ビジネスパーソンに求められる素養 ブックマークが追加されました
今日のビジネスシーンで、日々耳にするAI(人工知能)。AIは便利な技術ですが、リスクが伴うことも忘れてはなりません。これからのAI時代では、各ビジネスパーソンが業務で使用するAIの可能性と限界を知り、適切なリスク対策を行うことが求められます。AIを最大限活用するためにも、これからのAI時代を生き抜くための準備をすることが肝要です。
今日のビジネスシーンでAI(人工知能)の名を耳にしない日はありません。AIはデータからその特徴を学び、未知のデータに対する予測や判定を行うことができる技術です。AIは、データが存在する領域―金融、製造、流通、医療など、あらゆる分野で利用可能で新たな機会をもたらします。
AIは便利な技術であるものの、リスクが伴うことも忘れてはなりません。自動運転AIの運転ミスや採用AIの差別的判断、プライバシー侵害など、AIの活用に伴うリスクは多岐に渡り、影響範囲が非常に広いことが特徴です。さらに、これらのリスクに立ち向かうための法規制等のルールは未だ発展途上にあります。自動運転車が事故を起こした場合、その責任は誰にあるのか?AIによる採用選考がバイアスを持っていたら?企業はこれらの課題を前もって考慮し、AIのリスクへの対策である「AIガバナンス」を講じることで、信頼できるAIの利活用を促進しなければなりません。
AIのリスクは技術進化や社会動向等に応じ変化します。技術進化の点で特に注目すべきは、生成AIの躍進です。生成AIは、これまでのAIのように単にデータから予測や判定を行うだけではなく、新しいコンテンツやアイデアを創出する能力を持っています。加えて、専門的なスキルや知識がなくても言葉によってコントロールが可能なため、使い手を選びません。どこでも・誰でも・簡単に利用できるという「汎用性」の特徴により、あらゆる人が、自身の仕事や生活に応じた用途を見出し、自ら使い方を工夫してAIを効果的に活用できるようになったのです。これらの特徴からビジネスに生成AIを導入するプロセスも大きく変わります。これまでのAI開発では、AIのエンジニアや専門家が中心となって用途の検討からAIモデルの構築、評価や改善までを行っていました。しかし、生成AIは利用者である社員一人ひとりがこれらのプロセスを実行することになります。つまり、AIの適切な使用からリスクの管理まで、それぞれのビジネスパーソンが担うという、大きな変化が訪れることを意味します。
このように、ビジネスパーソンのAIに対する向き合い方が大幅に変わる中で、遠くない将来、各ビジネスパーソンが自らの業務で使用するAIの可能性と限界を知り、適切なリスク対策を行うことを求められてくるでしょう。言い換えれば、AIの利活用のポイントを理解することは、多様な領域で必要なビジネススキルとして大いに注目されてくると考えられます。まずは、足元のビジネスや仕事でのAIの活用を探索し、その能力を最大限引き出すためにも、AIのリスクの理解を深めると同時に管理能力を高め、これからのAI時代を生き抜くための準備をすることが肝要です。
私たちが執筆・翻訳した書籍「信頼できるAIへのアプローチ: AI活用で踏まえておきたい9つのチェックポイント」は、ビジネスパーソンが直面するであろう問題へのガイドブックとなり得るものです。本書籍は、架空の企業を通じてリアルな事例を挙げ、AIのリスクとその対策を分かりやすく解説しています。多様なAIのリスクへの理解や対策方法を検討する上で是非ご活用ください。
書籍紹介ページへはこちらから:
「信頼できるAIへのアプローチ: AI活用で踏まえておきたい9つのチェックポイント」
山本 優樹/Yamamoto, Yuki
デロイト トーマツ グループ シニアマネジャー