Posted: 14 May 2020

人口縮減時代に持続可能な行政運営

2040年の行政運営

人口が減少していく中、地方公共団体が持続可能な行政運営を確保するためには、ICTを使いこなしていく組織づくりが欠かせない。2015年には7,728万人いた生産年齢人口が2040年には5,978万人に激減する*。一方で高齢化が進み医療・介護需要は増大する。こうした状況下、地方公共団体においては、職員数は減少していくことが想定され、その一方で業務量が増大し、行政運営が持続できないリスクを地方公共団体は負っている。一部の地方公共団体では、このリスクを民間へのアウトソーシング(事務委託)で解決しようとするケースが散見される。しかし、民間事業者ではすでに人手不足が顕在化しており、人手不足倒産や営業時間の短縮などの影響が出ている。つまり、民間でも人手不足が深刻化していくなか、中長期的にみた場合、結果的に、人に頼ることになるアウトソーシングに依存することは十分な対応とはいえない。

 

ICTを利活用した行政運営

人に頼ることなく解決するためにはどうするのか。その解決策として期待されるのがICTである。特に、最近ではAI・ロボティクスを活用した業務の自動化が注目されており、人ではなくロボティクスにアウトソーシングをするという考え方もある。また、ペーパーレスは業務量を削減するだけでなく、環境面でも重要な課題であり、タブレットや携帯型端末の活用で紙のない会議を実現しているケースも生まれてきている。さらに、契約や請求の電子化といったことも地方公共団体で導入されることになるだろう。一方で、業務量を削減するだけが行政運営におけるICTの役割ではない。人手が不足している状況下では、魅力ある職場を創出し、働き手に選ばれる組織になることが重要である。そういった観点でいえば、多様な働き方を支えるための手段としてテレワーク環境の整備も考えられる。

 

技術進化を捉える組織作り

行政運営にICTを活用していく上で忘れてはならないのは、技術は常に進化するということである。地方公共団体が策定する地域情報化計画の中には、計画期間として10年間を設定しているケースがある。しかし、10年先の技術を予見し計画を策定することは容易ではない。10年間の計画を立てるならば、高いアンテナを立て、その時々の先端技術の情報を取得し、行政運営に生かせないかを検討し続ける組織の構築に向けた計画を策定することが重要である。例えば、情報システム部門の役割を見直す必要はないだろうか。情報システムの運用を中心的な業務にしていることが多いが、今後クラウド化が進み情報システムは「構築」するものから「利用」するものへと変化する。その結果として、これまでの運用業務はなくなっていく。情報システム部門は庁内のICT利活用を推進していく組織へと役割を変えていく必要がある。当然、これまでのシステム運用のスキルだけでは十分ではなく、人材育成や企画系の人材の配置転換などが必要になるだろう。

 

コーディネータとして将来を見据えた取り組みを

2040年に向けた取り組みを今から行う必要がある。これからの日本において経済成長率は大きな上昇を期待できず、働き手も減ることで、国や地方公共団体の税収には大きな影響が生じる。こうした状況下、対応を先延ばしにすることは、施策を実行する機会を失うリスクを負うことになる。人口縮減を将来ではなく現在の課題と捉え、施策を検討することが必要である。そして、将来性の高い取り組みを行おうとする場合、行政だけの検討には限界がある。これからの行政には、外からの知見を取り入れ、多様な主体による取り組みを創出するコーディネータ機能を持つことが必要である。

*国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口」(平成29年)

※本稿は2019年10月に執筆しています

 

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執筆者

三輪 大介/Daisuke Miwa

三輪 大介/Daisuke Miwa

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