岡田武史さん、石山恒貴教授と考える越境学習 ブックマークが追加されました
デロイト トーマツ グループのメンバーに多様なボランティア等の機会を提供するImpact Monthキャンペーンは、地域社会や地球の課題に目を向け、一人ひとりが他者と協働しながら解決に取り組むことを奨励し、結果として各自のWell-beingも向上するような相乗作用を目指しています。この一環で、ボランティア等に「参加する」だけでなく「考える」機会として、「ライフキャリアを充実させるための越境学習」と題したトークイベントを開催しました。
「新たな知識や経験を得たい」 ― 昨年のImpact Month参加者にアンケートで参加理由をたずねたところ、このような回答が散見されました。そこで今年のImpact Monthでは、ボランティア活動を通した学びの要素に着目したイベントを開催、越境学習研究の第一人者である、法政大学大学院 政策創造研究科 石山恒貴教授にご登壇いただくことになりました。
また今年の夏、石山教授はFC今治高等学校 里山校を訪問され、同校の取り組みについて感銘を受けられたとのことで、同校の学園長 岡田武史さんもゲストにお迎えすることになりました。岡田さんは当グループのウェルビーイング推進フェローも担っていただいており、まさにImpact Monthに相応しい対談となりました。
Impact Monthのプログラムは、平日に参加可能なものから、週末にご家族と一緒に参加できるもの、オフィスで随時開催されているものなど、開催都市も形態も様々ですが、当イベントはDeloitte Tohmatsu Innovation Parkとオンラインのハイブリッド開催で、在籍メンバーだけでなく、入社内定者やアラムナイメンバー、デロイト トーマツ ウェルビーイング財団の支援先の関係者の方々にもご参加いただきました。また、ファシリテーターにデロイト トーマツ グループCEVO(Chief Executive Value Officer: Well-being担当執行役)でアラムナイ委員長の福島 和宏と、デロイト トーマツ グループのCSRをリードし、2023年から始まったImpact MonthのPMOの田中 祥子も加わり、イベントを進行していきました。
石山教授から、「越境とは、自らが準拠する状況(ホーム)と、その他の状況(アウェイ)の境界を往還すること。越境学習は冒険のようなもので、大事なのは上下関係のなさ×異質性(葛藤)×抽象度(もやもや)であり、越境学習を通して、個人の価値観(パーパス)を明確化する。副業やボランティア、プロボノ、勉強会や異業種交流会も越境である」といった内容の講義をいただいた後、岡田さんと対談を展開いただきました。
(石山教授)楽しみながら巻き込んで冒険し、エラー&ラーンを繰り返すことが越境学習。その意味で、感情が共有できる共助のコミュニティであるFC今治高等学校里山校はまさしく越境学習の場と考えています。
(岡田さん)冒険はすごく大事です。今はドバイで洪水が起き、サハラ砂漠に湖ができる時代。そんな時の答えは先生もAIも持っていないから自分でやってみるしかない。これまで教育は失敗しないことを教えてきたが、そうではなく、自分がどうしたいのか、どうしたらいいと思うのか、大人は何ができるか、を繰り返し問うことで主体性を育む。これを高校のテーマにしています。
(石山教授)越境は冒険、人生そのものが探究。ありたい自分にはたどり着かないと思うけど、自分がどうありたいか、何になりたいか、自分って何かを考える旅のようなものです。
(岡田さん)探究も越境学習も、プログラムがあるものではなく、まずは一歩踏み出してやってみるようなものではないか。走りながらこうしてみよう、と挑戦していくのが探究で、それこそ越境学習と思っています。
Q:越境学習において優先させるなら、業務と関連ある分野がいいのか、別分野がいいのか
A(石山教授):必ず聞かれる質問ですが、越境学習でコスパやタイパは考える必要はなく、どっちでもOKです。やりやすいやり方で、始めればいいと思います。
Q:自分のキャリアを充実させるために、どんなことに気を付ける必要があるか?
A(石山教授):フォアキャスティングとバックキャスティングの考え方がありますが、偶然を生かして色々なことにチャレンジしていきながら越境していくといろんなことがうまくいく。まずは一歩始めてみてはいかがでしょう!
Q:子供が幸せに生きていくために大人は何ができるか
A(岡田さん):我々の世代が作ってきた社会が破綻しようとしているが、次世代に希望を残さなければいけない。衣食住を保証し、感情を共有できる共助のコミュニティが必要なのでは、と思っています。
Q:シニア層も越境学習は可能か
A(石山教授)シニア層でも越境をすると人は輝くことができ、コミュニティの中で自分に何ができそうか、の実感が得られやすい。年齢にこだわらずに、フラットに共助のコミュニティに入るとよいです。
Q:明日何かやってみようと思っても実際にできる人は少ないと思う。そういう人を一歩押し出す一言をください
A(石山教授):知り合いの人に連れて行ってもらって何か越境するのが一番簡単かもしれません。まずは最初の一歩を踏み出してください!
A(岡田さん):昔は生きていくだけで山あり谷ありだったが、今は平らな道もあるから自分で山を作らなくてはいけない。プレッシャーや困難を乗り越えていかなくては成長できない。夢は簡単に見つからない。それでもまずは何でもいいからやってみることが大事です。永平寺を訪れた時に掛け軸に“淵黙雷声”と書いてあった。悟りとは何かを考えるのではなく、一歩踏み出して悟りに近づきなさい、ということ。なんでもいいから始めたら次が出てきます。
当日はデロイト トーマツ グループのメンバーやアラムナイなど関係者が200名以上参加し、事後アンケートでは回答者の98%が満足と回答しました。参加者からは、「考え続け、学び続け、行動し続けることが人生を豊かにするのだと感じました」、「デロイトが掲げるパーパスはもちろん『人は誰でも固定概念にとらわれるが、それを打破するために異質性を取り込むことが大事』というメッセージ等、DEIをはじめとする組織戦略にも通ずる点が多かった」、「年齢関係なく、これらも様々な挑戦をしていきたいと感じた」といった感想が寄せられました。実際に今回のイベントを聞いて、ほとんどのメンバーが越境学習への興味関心や意欲が高まった、と回答しました。
また、当日は母子生活支援施設で暮らす子どもたちに向けたグリーティングカード作りも同時に開催し、岡田さんや石山教授も一緒に作成してくださいました。
FC今治高等学校 里山校のたくましい子どもたちに負けないように、わたしたち大人もどんどん越境して学び続けていきたいと思います。
質問にもあったように、はじめの一歩を踏み出すことはなかなか難しいことです。だからこそImpact month キャンペーンのような、グループメンバーの背中を押して一歩踏み出してもらえるような越境機会を、今後も創出していきます。
(企画:デロイト トーマツ グループ CSR/Brand, Strategy & Planningチーム)