Posted: 21 Jan. 2025 5 min. read

都市圏から関わる被災地支援のあり方について

Just Do It‼地域イニシアチブ(JDI)の活動紹介 Vol.5

私たちは、デロイト トーマツ グループ横断の「プロボノチーム」 です。 
2011年の東日本大震災をきっかけに、社会課題や地域課題に向き合っている個人の取り組みや団体の活動に対して、「何か力になれないか?」という想いを持った社内外の仲間たちが集まり、それぞれが持つ専門性やアイディア、ネットワークを掛け合わせ、解決に向けた具体的なアクションを起こしてきました。今回は、Just Do It‼地域イニシアチブ(以下、JDI)の活動を通した、都市圏から関わる能登地震への復興支援のあり方について考えます。

令和6年能登半島地震発災から1年が経過しました。あの日できた傷跡は未だに残っており、地域に生きる住民はさまざまな課題に直面しています。しかしながら、地域の外から関わるプレイヤーと一緒に、地域住民は復興に向けて前に進もうとしていることも事実です。

発災後、私が見た地域の力

発災当時、私は実家の2階にいました。地震後すぐ高台へ避難し、最寄りの避難所で家族と過ごしました。それ以降は、500人以上が集まる避難所で運営ボランティアを2ヶ月半行い、避難所閉鎖後は在宅の高齢者世帯を訪問したり、仮設住宅入居者への支援を行ったりしていました。地元でボランティアを行っている間、たくさんの方々が県外から支えてくださいました。全員が初めての経験で手探りの中、地域に従来根付いていたコミュニティの力で緊急期を乗り越えることができたと考えています。

「災害は、地域が抱えている課題を顕在化させる」とよく言いますが、併せて「災害によって、地域に関わる人々や地域の魅力を顕在化させる」こともあると学びました。

2024年1月3日当時撮影 全国から送られてきた飲料水と、地域住民有志のボランティア

 

デロイト トーマツに入社後、同期の紹介でJDIに参画し、能登地方の現状を伝えるべくイベント参加・企画実施を行いました。能登で盛んな祭りを知り、地域の魅力に興味を持ってもらうための外部講師をお呼びしてのオンラインイベントや、vol.1でも紹介しております矢田郷ビレッジセカンド大学のイベントに登壇させていただきました。

また、個人的には、業務外の土日を利用して月に2回程度能登へ帰り、仮設住宅入居者や中高校生を中心にコミュニティ支援活動を行っています。田植えや祭りの際には、デロイト トーマツの同期や大学の後輩を連れてボランティアに参加したこともありました。能登に来てくれた人たちは口々に「また来たい!」と言ってくれて、まだまだ能登に関わる人を増やせると実感しました。

祭りに参加してくれた筆者同期

 

東京から関わる支援のあり方

都市圏から被災地へ支援の手を絶やさないために、被災者でもあり支援者でもある自分としてできることは、以下の2つです。

1つ目は、地域への関心を繋ぎ止めること。時間が経過するにつれ、メディアの報道は少なくなり、積極的に情報をキャッチしにいかない限りは能登地方の現状を知ることは難しくなります。

そのため、イベントや情報共有等で定期的に発信を行い、被災地の現状について知ってもらう機会を作っています。

また、今後日本で同規模程度の災害が起こったら、すぐに関心は新たな被災地へ向き、能登は忘れ去られるかもしれない、ということを恐れています。いつか起こることではあるので、その恐怖と隣り合わせになりながら、被災者で自立していくことを意識した活動が求められます。被災者であり支援者である私としても、そういった目線を持ちながら活動を行っています。

2つ目は、具体的な関わり方を示すということです。関わるイメージがなければ能動的にアクションを起こせないと考えています。そのため、消費と生産の2つの観点を軸に関わり方を示すようにしています。消費については、物品購入やクラウドファンディングが挙げられます。JDIでは、メンバーが関与するプロジェクトのクラウドファンディングを社内発信することで支援を呼びかけ、現地に行かないまでも支援を行っていただけるように情報共有を行っています。また、生産については、「何かの作り手になる」という意味で捉えていただければと思います。先述のJDIイベント企画でファシリテーションをする、祭りに参加するなど、自身のリソースを生かして支援を行っていただく形の関わり方があります。その他、個人的な活動ではありますが、能登地方出身東京在住者によるネットワークや、石川県にゆかりのある飲み会ネットワークを構築しており、JDIメンバーにも参加してもらっています。

7月開催の第68回JDI会議 ゲスト:マツリズム 大原様

 

さいごに

能登地方が歩む復興の姿は、日本の地方そのものの姿になると考えています。単なる一つの地方で起きた災害と言われればそれで済むかもしれません。しかし、課題が噴出している厳しい状況の中でも能登地方で営まれてきた文化や歴史を次に繋いでいく過程は、潜在的な課題を抱える他の地方・地域にとって大きな学びとなるのではないでしょうか。「かわいそう」などの感情は一時的なものであり、長続きしません。ネガティブな部分を発信するのではなく、「能登に関わると面白い」とポジティブに思ってもらえるかどうかが重要だと考えています。そのためにも、JDI活動を通してより多くの方々に能登の今を知ってもらい、アクションに繋げていきたいと思います。

執筆者

Just Do It‼地域イニシアチブ
メンバー 谷一 浩平(デロイト トーマツ コンサルティング合同会社)
※ 執筆者の社名・肩書は執筆時のものです。

 

JDI活動に関するお問い合わせはこちらから:info_jdi@tohmatsu.co.jp

 

     

    JDI活動紹介動画

     

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    人とひとの相互の共感と信頼に基づく『Well-being(ウェルビーイング)社会』」の構築を目指す──。デロイト トーマツ グループが掲げているAspirational Goal(目指すべき社会の姿)です。Personal/ Societal/ Planetaryのそれぞれについて、Well-beingすなわち健全な状態を目指します。わたしたちは今後も継続的に、デロイト トーマツ グループの財産であるメンバーのPersonal Well-being実現のための取り組みを進め、それぞれのメンバーがSocietal well-being、Planetary Well-being実現のために、よりサステナブルな将来を構築するべく、共に取り組んでまいります。

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