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COVID-19: デジタルビジネスで未来を拓く
テクノロジーを活用して回復をサポートし、永続的な変化を創り出す
テクノロジーリーダーは組織の未来を形作る上でかつてないほど重要な役割を負っている。危機により会社、学校、競技場、店舗、エンターテイメント施設などの物理世界がシャットダウンする中で、デジタル世界が隙間を埋めると誰もが考えている。しかし、それは現実的なのだろうか。
目次
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- 回復へのジャンプスタートとスケーラビリティの確保
- 将来への備えとレジリエンスのためのビジネスオペレーション安定化
- 「ネクストノーマル」の定義づけと長期的成長に向けた準備
- プロフェッショナル
テクノロジーリーダーは、組織のもっとも多面的な課題に直面している。顧客のデジタルチャネルへのシフト、サプライチェーンの再構成、従業員のコラボレーションに必要なキャパシティや帯域幅、リモートワークのサポートに必要なライセンスや機器など、迅速な拡張と強化を必要とする数多くの問題が一晩で積み上がった。
COVID-19ほどの世界的な危機に対処するための実証済みのロードマップは存在しないが、すべてのレベルのリーダーは対応、回復、成長の3段階を通じて行動する必要があると考える。世界中のテクノロジーリーダーがCOVID-19に相対し、従業員の安全とビジネスの継続性を確保するための重要な意思決定を迅速に行った。今後はパンデミックの進行に合わせ、次のステージに段階的に移行する必要がある。まず、企業が危機から学び、経営基盤を強化する回復段階。そして危機後の「ネクストノーマル」(新たなビジネス環境)への準備を行い、戦略を策定する成長段階へ。
回復へのジャンプスタートとスケーラビリティの確保
パンデミックの複雑性を考えると、回復段階においてはこれまでにないレベルのオーケストレーション、コミュニケーションやアーキテクチャの変更が必要になると想定される。このステージでの最初のステップは、危機の展開に合わせて発生した事象に対する暫定対応の調整をすること、あるいは誤った対処を認識し、継続的な改善活動にコミットすることとなる。
この観点でテクノロジーリーダーが取るべき行動として、以下が挙げられる。
- 従業員のエクスペリエンスを支援・向上し、コラボレーションと協創を促進する。
- 新しい業務環境をサポートするテクノロジーを確保する。
- 戦略的対応に必要なモニタリングの「コマンドセンター」を構築する。
- 未来の危機に備えるための手引書を作成する。
将来への備えとレジリエンスのためのビジネスオペレーション安定化
世界のビジネスはいずれ再開する。その際には、対応段階で適用した応急処置やパッチワークのようなソリューションでは厳重なテストに耐えられない可能性がある。緊急時はスピードが優先されたが、回復段階では長期的なレジリエンスが優先される。回復モードにある多くのテクノロジーリーダーにとっては、緊急的に導入したソリューションやプロセスの安定化と強化を図るため、デプロイ戦略の見直し、関連インフラの構築と、組織やパートナーネットワーク全体に及ぼす影響の十分な理解が必要となる。
この観点でテクノロジーリーダーが取るべき行動として、以下が挙げられる。
- デジタルイノベーションとデジタルプレゼンスを強化する。
- カスタマーサポート業務を先進化する。
- 信頼できるテクノロジーエコシステムを形成する。
- 自動化パイロットプログラムを拡大する。
- レジリエントなテクノロジーアーキテクチャを構築する。
- センシング機能を設立する。
- アジリティ確保のためにテクノロジー投資の配分を見直す。
- 資産の状況を把握する。
- 組織のメンバーを深く理解する。
「ネクストノーマル」の定義づけと長期的成長に向けた準備
回復に向かう中で、危機によってもたらされた変化から「ネクストノーマル」(新たなビジネス環境)を形成するものを予測し、将来の競争環境を見据えることが重要となる。パンデミックとその余波への対応にはさまざまな紆余曲折が予想されるが、消費者や社会の行動にはすでに大きなシフトが見られる。こういったシフトを先取りできるテクノロジーリーダーは、組織の今後の成長を支えることができるだろう。長期的には以下の3領域を優先することが推奨される。
- 人間中心デザインにフォーカスしカスタマーエクスペリエンスを再定義する。
- 物理世界とデジタル世界をつなぎ、新しい価値を提供する。
- 重要なビジネスバリューとして信頼を確立する。