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危機対応力(レジリエンス)を備えたビジネスリーダーに求められる耐久力とは

成長への道のりに影響を与え続けるリーダーシップとは

デロイト グローバルCEO Punit Renjenによる、リーダーの責務に関する自身の考えや、リーダー一人ひとりが自問すべき重要な論点を示した「The perseverance of resilient leadership」の日本語翻訳版です。

これから先の長い道のり

数か月前、私たちは、COVID-19の大流行を経て、組織が新たなビジネス環境に導かれる「成長段階」が到来することを想像していました。しかしながら、現在、リーダーが対処すべき責務は、人種的不平等、気候変動、および経済の不確実性を原因とする同時発生的課題によって、より一層複雑化しています。 「成長段階」への回帰の道のりは、私たちの多くが当初想像し、期待していたよりも困難を伴い、長期にわたると考えられます。

COVID-19の第一波と繰り返される感染の波は、世界の多くの地域を悩ませ続けています。デロイトの最新の調査によると、全世界の企業の76%と多くの国・地域が依然として危機への「対応段階」または「回復段階」にあります。2020年7月下旬発行の隔週版 Deloitte State of the Consumer Tracker は、対照的な「2つの世界」について報告しました。インド、チリ、中国、オーストラリア、スペイン、米国など、5大陸の9か国で消費者の不安が高まりを見せる一方で、他の9か国(そのうちの7か国はヨーロッパ内)では消費者心理に改善の傾向が示されたのです。 各国における流行状況と対応は国毎に異なるため、全世界統一の戦略や投資優先順位を決定することは困難です。そのため多国籍企業が対処すべき課題は一層複雑なものになります。

「成長段階」に入った企業や国・地域においても、今後の見通しは世界全体と密接不可分に関連していることから、すべての人々が共に長い道のりを一緒に歩んでいく必要があることを認識せざるを得ない状況です。

しかし、それぞれの組織や企業の将来が予め運命づけられている訳ではありません。こうした状況の下でレジリエントな(危機対応力を備えた)ビジネスリーダーが果たすべき最も重要な役割は、ビジネスの持続可能性を担保するために必要な人々や組織を支えることです。まず何よりも「従業員」を支えることが重要です。彼らの多くは疲弊しており、かつてないほどのストレスを経験しています。そして、次はすべてのステークホルダーに価値を創造し続けるために「組織」を支えることです。さらに、複数の実存的脅威に直面している「社会」を支えることが重要です。そして最後に、これらと同様に重要なのは、私たちリーダー一人ひとりが、今後の長い道のりを前進し続けるために、「推進力」を維持することです。

以下において、私はデロイトグローバルCEOとして、これら4つのリーダーの責務に関する私自身の考えや、リーダー一人ひとりが自問すべき重要な論点を示したいと思います。今後の長い旅の道のりを共に歩むビジネスリーダーの皆さんにとって、ご参考になれば幸いです。

 

原文「The perseverance of resilient leadership」はこちら

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