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【ウェビナー開催レポート】Get ready for POST COVID-19

ライフサイエンス企業が危機の先に目指すべき姿とは

POST COVID-19の世界における医療・ヘルスケアの「New Normal」とはどのようなものか?ライフサイエンス企業には、単に未曽有の危機として受け身で凌ぐのではなく、変化を機会として捉え、能動的に新たなパラダイムを生み出す気概が求められている。その契機とすべく、デロイト トーマツ グループでは「ライフサイエンス企業が危機の先に目指すべき姿」をテーマとした全8回のウェビナーシリーズを実施した。

全8回のウェビナーを振り返って

はじめに

2020年6月より、ライフサイエンス企業がPOST COVID-19の世界で目指すべき姿をテーマに全8回のウェビナーを実施した。ウェビナーでは、研究開発からサプライチェーン、営業マーケティングといったバリューチェーンでの切り口に加え、リモート環境が進む中で重要さが増すサイバーセキュリティやコンプライアンス、危機下での成長を支えるM&Aなど、各回でテーマを定め、デロイト トーマツ グループの専門家が見解を語り、参加者との意見交換を行った。

本稿は、参加頂けなかった方にも全体の振り返りと各回における概要を共有することで、各企業における変革の一助となることを企図している。
(内容に関するお問い合わせ先 : こちら

COVID-19以前に描いていた未来

ウェビナーで議論された将来像とライフサイエンス企業に求められる備えについて、参加者からは、「新たな気づきが得られた」「今後の方向性が見えた」といった声が聞かれた一方で、「予想の範囲内」「既知の情報」だったという声も聞かれた。

この理由は明確で、COVID-19が我々の経験する初めての危機・変化では無いからである。以前より、テクノロジーの進展によって非連続な変化が加速することを我々は(そして、多くのライフサイエンス企業の方々も)予想しており、デジタルとデータの融合により、医療・ヘルスケアの世界が大きく変化することは明確であった。即ち、COVID-19は想定していた将来の実現を数段早めただけであったとも言えよう。
 

Future of Health : 非連続な変化の加速(創造的破壊の加速)
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特に、近年低下する一方であった製薬企業の研究開発生産性はCOVID-19と同様の強大なインパクトを業界にもたらしており、COVID-19に関わらず抜本的な変革を業界に迫っていた。
 

変化を機会とするためにすべきこと

実際に、我々が対峙するライフサイエンス企業の経営層からは「COVID-19により求められる変化は、『将来の姿』として想定していた範囲」という声が多く聞かれた。とはいえ、「将来のこと」として捉えていた世界が、目の前で対応すべき課題となったことの経営へのインパクトは大きい。

我々がいま取り組むべきは、今までの成功体験による経営を廃し、新たな勝ち方を模索・構築することに他ならない。これは大きな機会とも言える。緩やかに変化が訪れることで変化を見逃してしまう可能性があったが、COVID-19により、分かりやすく変革の必要性を認識することができる。

以降で紹介する各セッションの概要を通じて、生じている変化や対応の必要性・要点の片鱗をつかんで頂けるものと考えている。

本稿をご覧頂いている皆様には、是非自らが変革の起点として、自社・業界・社会の変化を実現して欲しい。

我々は何をすべきか?
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デロイト トーマツ コンサルティング合同会社
パートナー 柳本 岳史

【第1回】Zero MR時代における新たなコマーシャルモデル(2020年6月16日(火))

デロイト トーマツ コンサルティング合同会社
シニアマネジャー 濱口 航

  • コマーシャル機能の本質は、顧客の課題意識やニーズを捉え(Capture)、解決のための情報・メッセージを提供する(Deliver)こと
  • COVID-19により特にCaptureが難しくなり、製薬企業から顧客の状態が見えなくなってしまったが、むしろデジタルチャネルにより1人1人の医師がどの情報に触れたのか、次にどのような情報を欲するかを予測・管理することも可能となった
  • MRの物理的接触がゼロであっても戦える状態を整えたうえで、差別化のための決め手としてヒトチャネルの規模や位置づけを再定義することが求められる

【第2回】COVID-19を梃子にした開発のバーチャル化(2020年6月19日(金))

デロイト トーマツ コンサルティング合同会社
シニアマネジャー 大川 康宏

  • 臨床開発のミッションは、承認申請のエビデンス構築に留まらず、開発の超早期化及び循環型VCのPrototype構築に拡張する
  • デジタルイノベーション推進上の社会課題として、「データ産業利用に関する国民とのコンセンサス形成」、「個社が個々に提供するデジタルソリューションの統合/規格の標準化」、「国家レベルでのデータ管理主体の明確化」が挙げられる
  • よって、成果を高めるためには「行政や業界と共創する領域」と「企業間で競争する領域」を識別しつつ、有機的に連動する概念としてそれぞれの取り組みを構想することが肝要となる

【第3回】COVID-19 により加速するデジタル環境下でのM&A (2020年6月24日(水))

デロイト トーマツ コンサルティング合同会社
アソシエイトディレクター 富野 賢治

  • 足下では投資活動がやや停滞しているものの、多くの投資家は、コロナ禍による消費者の行動変容や医療業界のデジタル化を投資の好機と捉えている
  • 事業会社にとっても、高い技術を有するスタートアップと適正価額で新たな事業構築等を志向する「攻め」のM&A・アライアンス戦略実施の好機と言える
  • そのためには、単発ではなく継続的且つ連続的なディールを整合的に実施し、事業化に向けた取組を事業部に寄り添いながら、長期間にわたり実施・支援できる組織が必要となる

【第4回】複雑性が増す世界におけるサプライチェーン (2020年6月26日(金))

デロイト トーマツ コンサルティング合同会社
シニアマネジャー 磯上 孝博
 

  • 輸送手段への影響(Air)や通関などの物流に留まらず、仕入先の経営や原料価格などの調達、従業員の罹患による生産停止など、サプライチェーン横断で広くリスクが認識されている
  • GxPや品質担保、安定供給の観点からサプライチェーンの大幅な見直しには困難が伴うが、主な国内製薬企業の1/4が見直しの可能性を示唆している
  • サプライチェーンにおいてもデジタル化はCOVID-19対応に有効。リスクを可視化し、最適化することができる

【第5回】ラストワンマイル~Social distancing により医療提供体制はどのように変わるか? (2020年6月30日(火))

デロイト トーマツ コンサルティング合同会社
シニアマネジャー上西 洋一

  • COVID-19は、医療提供体制のオンライン化(オンライン診療/服薬指導)を加速するための“実証機会”を与えた
  • 結果、普及に向けては「法規制」「医療機関受容度」「患者意向」であることが明らかになったが、特に後者は大きく高まったと言える
  • オンライン化の定着は、患者の医療アクセスが高まり、患者フローの改善にも繋がりうるため、ライフサイエンス企業としても医療機関やオンラインシステムベンダーを巻き込んだ積極的な関与が求められる

【第6回】リモートワーク・リモート医療により高まるサイバーリスク (2020年7月3日(金))

デロイト トーマツ サイバー合同会社
パートナー 桐原 祐一郎

  • COVID-19は働き方を半強制的にリモート化するとともに、医療サービスのオンライン化を加速させ、同時にサイバーリスクを増大させた
  • dX時代、COVID-19時代においてはサイバーリスクをコントロール(守りのサイバー)し、サイバー空間を有効に活用(攻めのサイバー)した企業が勝者となりえる
  • そのためのカギは、事業戦略・dX戦略とアライメントが取れ、かつリスクアペタイトを加味したサイバー戦略の立案が不可欠である

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【第7回】企業とステークホルダーとの接点の変化によりコンプライアンスはどう変わるか? (2020年7月7日(火))

有限責任監査法人 トーマツ
パートナー 仁木 宏一・松本 拓也

  • リモートワークは、気の緩みや帰属意識の希薄化を促しやすく、コンプライアンスリスクの増加に繋がる
  • また、プロモーションをはじめとする各種活動は、情報の流れを変え、既存の「網」をすり抜けることもあり、同様にリスクの高まりに繋がる
  • 一方で、デジタルチャネルによるリモート化は情報をキャプチャしやすくなり、違反の早期把握や早期対応を可能とするため、結果としてコンプライアンスを高めることにも寄与する

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【第8回】総括 -危機を機会と変えるために業界が取り組むべきこと (2020年7月10日(金))

デロイト トーマツ コンサルティング合同会社
パートナー 柳本 岳史

冒頭の「全8回のウェビナーを振り返って」の項を参照。
 

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