カーボンニュートラル社会への移行に向けて

「Just Transition」を具現化するために
グループ総力を挙げて現実解を導き出す

PROFESSIONAL

  • 馬渕祥平 デロイト トーマツ インスティテュート モニターデロイト シニアマネジャー

デロイト トーマツ グループが「2050年カーボンニュートラル社会」に向けて動きを加速化させている。関係するすべてのステークホルダーと連携しながら具体的な施策・アクションの数々を推し進める。取り組みの根幹をなす視座やフレームワークについて、デロイト トーマツ インスティテュートの創設・運営に携わってきた馬渕祥平氏に聞いた。

グループ最先端の知見を活かしきる

―脱炭素化に向けた社会の動きが加速しています。

デロイト トーマツ インスティテュート モニターデロイト シニアマネジャー 馬渕祥平氏

 SDGsが象徴するように、サステナビリティが企業経営の中核的なテーマとなる中で、私たちはいち早く企業のCSV(Creating Shared Value)戦略など社会課題解決の支援に力を注いできました。2018年に「デロイト トーマツ インスティテュート」を設立し、グループシナジーを拡大してきたのもその一環です。最近では日本でも脱炭素化に向けた動きが活発化し「2050年カーボンニュートラル実現」がスローガンになっています。こうした潮流を踏まえ2020年12月には、グループCEO直轄の取り組みとして「Climate Sustainability イニシアチブ」を立ち上げました。デロイト トーマツが先陣を切って取り組んできた脱炭素化への働きかけをさらに加速化しているところです。

―具体的な働きかけについて教えてください。

 大きく2つあります。1つは、「WorldClimate」と呼ばれるデロイトの全世界的なコミットメントです。2030年までに自らの事業活動に由来する温室効果ガス排出量を実質ゼロにすることを目指しています。そのためにオフィスビルで使用する電気は100%再生エネルギー由来とし、出張由来の排出量を2019年比で50%削減します。全員必須のEラーニングをリリースし意識改革を促します。さらには、社会のあらゆるステークホルダーと深いかかわりを持つデロイト トーマツならではの気候変動への対処として「エコシステムへの寄与」を掲げています。

 このエコシステムへの寄与を最大化すべく、2つ目の働きかけとしてグループの強みを活かしたフレームワークの構築を行い実践に移しています。

―どのようなフレームワークなのでしょうか。

 キーコンセプトは、「Just Transition(公正な移行)」の具現化です。「誰一人取り残さない」というSDGsのトップスローガンを踏まえた際、かかわりのあるすべてのステークホルダーが脱炭素化における自らの役割を全うできるよう協調連携を促していくことが、カタリストである私たちには求められており、また私たちにしかできないことだと考えています。

 Just Transitionの具現化には、「Assure(信頼性の保証)」「Rule Make(業界・規制対応)」「Transform(変革推進の支援)」の3つの要素が不可欠です。いずれも監査・保証業務、リスクアドバイザリー、コンサルティング、ファイナンシャルアドバイザリー、税務・法務といったデロイト トーマツの幅広いビジネスと密接にかかわっており、だからこそグループ横断の知見が活かされます。

 カーボンニュートラル社会を実現する際、「活動・技術」「環境(社会・市場)」「価値観」という3つの次元での移行が必要です。グループ内の最先端の知見を基に、これらの達成に向けて世界が求めるスピード感で現実解を織り込んだ仕組みづくりにすることが肝要です。

脱炭素化へのフレームワーク

―現実解への仕組みづくりについて詳しく聞かせてください。

 何ごとも〝絵に描いた餅〟にさせないのが、私たちの使命です。具体的な行動まで織り込んだ脱炭素化へのフレームワークを形づくり、その全体像を我々の間で「ペンタゴン」と呼んでいる図案で示しています(下図)。

 ペンタゴンは3つのレイヤーで構成されており、中心となる第1レイヤーが前述のキーコンセプト部分です。外側に向かって第2レイヤーは主となる5つのステークホルダーを示し、第3レイヤーには私たちの支援の枠組み(オファリング・ディメンション)として5つを類型化しています。

―このフレームワークは現在、どのように機能していますか。

 各ビジネスの最前線から結集したエキスパート100名程度がコアメンバーとなり、大きな視座に立って社会の進む方向性や課題への解決策、さらに、デロイト トーマツならではの貢献方法について日々議論を重ねています。2021年1月に立ち上げた洋上風力発電の国内導入拡大に向けた事業支援専門家チームは象徴例で、政策立案からM&A、ファイナンス、会計監査、税務など多様な専門家を擁し、政府や自治体、民間企業として、多くのステークホルダーの事業参画を支援しようとしています。

―デロイト トーマツの脱炭素化の支援に対する姿勢を最後に聞かせてください。

 ステークホルダーがすべきことは社会の潮流や状況に応じて変化しますが、変わり続けるものに価値を提供することが大切だと考えています。戦略構想から実現まで一貫して支援できることはグループの強みであり、全メンバーが総力を挙げて現実解を導き出すことにこだわり続けます。




日経MOOK『グリーン・トランスフォーメーション戦略』(日本経済新聞出版)より転載。

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