「児童労働のない製品の関税をゼロにする」国際通商ルールの提案 ブックマークが追加されました
コーポレート情報
「児童労働のない製品の関税をゼロにする」国際通商ルールの提案
経済合理性のリ・デザインの一環として
Child Labor Free Zone:児童労働撤廃に向けた国際ルール形成に向けた紹介動画
はじめに
国連のSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)では、2025年までにあらゆる形態の児童労働を撤廃することが掲げられています(ターゲット8.7)。しかしながら世界の子どもの10人に1人が児童労働に就いている(ILO, 2017年)現状では、SDGsの目標達成は極めて困難な状況にあります。
児童労働を飛躍的に減少させるためには、「企業が児童労働を用いれば用いるほどコストアップもしくは売上ダウンになる世界」をつくり、企業の経済合理性をリ・デザインすることが大きな一手となりえます。その実現に貢献しうるツールこそが、通商協定です。
「児童労働がない地域(Child Labor Free Zone:CLFZ)」の認証制度を設立し、「CLFZで生産された製品は関税がかからない」国際通商ルールを策定することを提案します。児童労働を用いない方が企業がより利益を得る仕組みを構築して「児童労働がない製品」の優先的な調達を促進し、児童労働撤廃への動きを大きく加速させるのです。
社会のための関税無税化は既にIT製品や医薬品に関して適用されており、十分に実現可能性があります。(例:1997年発効の情報技術協定)またガーナでは2020年3月に雇用労働関係省のもとで「児童労働のない地域(Child Labor Free Zone)」の認証制度が設立されました。
国別の認証制度に留まらず国際通商ルールも策定し、児童労働を使用しない製品の関税を撤廃することで、児童労働の飛躍的な減少に繋げることを提案します。
「児童労働によらない産品の貿易に関する協定の枠組み(案)」の構成
第一条 目的 |
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本協定案のポイント
(1) 認証制度による品質の担保
児童労働のない地域(CLFZ)の認証制度を定めます。認定を受けた特定の認証機関により、統一的な基準に則って地域を認証します。
(2) 通商ルールに沿った手続き
関税撤廃の適用を受けるため、企業は輸出入の際に製品がCLFZ産原料を用いていること等を証明します。通関手続きは、自由貿易協定等でみられる「原産地規則」に基づく手続きに倣う形で定めます。
(3) 不正防止の仕組み
非CLFZ産の製品に対しても関税の恩恵受けようと情報操作を試みる事業者への牽制として、通商の特恵関税制度にも定められる「検認」の仕組みや虚偽があった場合の罰則を定めます。
(4) 開発途上国への経済協力の促進
開発途上国における児童労働撤廃に向けた経済協力を行うことを宣言します。関税削減によるマクロ的な企業行動変革だけでなく、ミクロ的な草の根の児童労働防止活動を加速させることで開発途上国に健全な変化をもたらすことが期待されます。
SDGsの達成のためには既存のルールを飛び越えた大胆な発想で社会の仕組み自体を変えていくようなアプローチが必要とされています。児童労働の解決のための一手として、本協定の提案に関する闊達な議論が世界で行われることを期待しています。本協定案へのご意見をお待ちしております。
児童労働の現状とACE×Deloitteの取り組み
現在、世界では1億5200万人の子ども(世界の子どもの10人に1人)が児童労働に従事していると言われています。
国際機関やNPO等の取り組みによりその数は徐々に減少していますが、現状のペースではSDGsが掲げる目標「2025年までに児童労働ゼロ」の達成は非常に困難と見込まれます。
児童労働の撤廃と予防に取り組む認定NPO法人ACEは、ガーナにおいて「児童労働のない地域(Child Labor Free Zone)」制度の設立を推進しています。
「Child Labor Free Zone」とは、教育環境などが整備され、児童労働が起きないエコシステムが構築された地域を指します。こうした地域を政府が認定する制度を作り、それを国全体に広げることで、児童労働を無くしていくことを目指しています。
当社はACEと連携して上記取り組みを推進するとともに、ガーナでの制度確立後は国際ルールを通じて「Child Labor Free Zone」を広く普及させ、最終的には当該地域での産品について「関税ゼロ化(関税撤廃)」を実現することを目指しています。
「児童労働がない地域」での産品に経済的インセンティブを与えることによって、「児童労働を用いない企業の方が『儲かる』」好循環を作り出すことが狙いです。
説明資料のダウンロード
本協定案についてより詳細に解説した資料を、ブロウシュアとして用意しました。
「ダウンロード」ボタンより入手することが可能です。
連絡先:
Mail: socialimpact@tohmatsu.co.jp