コーポレート情報
Social Impact
社会課題解決への取り組み
「Social Impact」の取り組みは、デロイト トーマツ コンサルティングが自ら「主要な行動主体」の一つとして社会課題解決を推進するものです。
当社はこれまでにも「Lead the way 明⽇への道をともに拓く。」のスローガンの下、クライアントへのサービス提供を通じて持続可能な社会の構築に貢献してきました。今後は社会全体に専門性と知見そして洞察をもって提言し行動するプロフェッショナルファームへ進化することを目指し、当社が主体となって賛同者を巻き込みつつ、社会課題の真因を追究し、解決のための仕組みを提案します。
1. 活動コンセプト
社会課題は人々の無知や悪しき志向によってのみ生まれるわけではありません。多くの社会課題が解決されない根源的な原因は、「経済合理性」との矛盾です。新興国企業のみならず先進国企業でさえも日々の収益確保に必死の事業環境において、短期的なコスト削減だけを考えたなら廃棄物投棄や労働者酷使は目的に適ってしまいます。
社会課題を生む活動が、逆にコストアップになるような仕組みができたならば、企業は利益追求のためだけだとしても社会課題を防止するでしょう。当社のSocial Impact活動は、「ESG投資」等のB/S(貸借対照表)視点のみならず、P/L(損益計算書)視点で経済合理性と社会課題解決を繋ぐルール形成を仕掛けます。
また、過去の経済活動が蓄積してしまった社会課題を解決する営みが「儲かる」活動なのであれば、既に誰かが率先してやり遂げているはずです。政府や非営利組織に頼るだけではSDGs達成が間に合わないことは自明です。当社のSocial Impact活動は、最新の技術も用いつつ、利益を創出する工程や範囲を工夫したビジネスモデルを提案し、新たな「経済合理性」による社会課題解決を目指します。
2. 取組みテーマのご紹介
児童労働の廃絶など6つの注力テーマを主軸に、多様な活動を推進しています
テーマ1: サプライチェーンにおける児童労働の撤廃
現在「児童労働」に従事する子どもは世界で約1億5,200万人といわれています。SDGsでは2025年までに児童労働をなくす目標を掲げていますが、現状のままでは達成は困難です。そして企業活動における人権の尊重が注目される中、児童労働問題への対応に関する社会的要請はますます高まっています。
私たちは、ガーナにおける「児童労働がない地域(Child Labor Free Zone)」の制度づくりを実現し、また児童労働撤廃に向けたトレーサビリティシステム実証実験を行い、現在実運用化に向けて取り組んでいます。
このような社会課題解決は、企業単独では決して成し得るものではなく、多様なステークホルダーと連携していく必要があり、デロイト トーマツは、児童労働の撤廃に向けて、コレクティブ・インパクトによる社会課題解決を推進していきます。
テーマ2: 困窮者に対する就労支援
国内の6人に1人が相対的貧困(世帯所得がその国の等価可処分所得の中央値の半分に満たない状態)に陥っているといわれています。経済的に困窮している方々は過酷な肉体労働が求められる職業や非正規雇用で働いている場合が多く、経済的自立に向けたキャリアプランや育成機会を与えられないまま「安価な労働力」として酷使されてしまう傾向にあります。
当社は困窮者に対し、経済的自立を目指すためのデジタルスキルのトレーニング(RPA等のプログラミング、デジタルマーケティング等)から企業との就労マッチングまで一気通貫の支援を実現し、経済格差の是正と産業界のDX加速に貢献します。併せて、就労困難者に対して就労機会を提供し、その個性を組織の活性化に活かすことで企業成長に繋げていく「インパクトハイヤリング」と呼ばれる雇用手法の推進にも注力していきます。
テーマ3: ジェンダーエンパワーメント
2022年に世界経済フォーラムが公表したジェンダーギャップ指数において、日本は146ヵ国中116 位と、先進国の中でも最低水準のスコアに留まっています。また、COVID-19の感染拡大により、雇い止めや低賃金に苦しみ、経済的な自立が困難になった人々が急増しました。特に非正規雇用の若年層の女性や、育児や介護等のケアワークと仕事を両立している女性の多くが、明日や将来への希望を持てなくなっています。女性の中でも特に、シングルマザーを中心とするひとり親家庭は貧困に陥りやすくなっています。
本活動では、企業の女性登用を推進する協働プラットフォームである「30% Club Japan」および一般社団法人グラミン日本とともに進める「Women Empowerment プロジェクト」を起点に、大手上場企業に加えて、金融機関、政府・自治体、メディア、大学等の多様なセクターを巻き込み、有機的につながる仕組みを構築しながらジェンダー課題の解決を目指します。
テーマ4: より持続可能な資源リサイクルシステムの構築
産業廃棄物のリサイクル素材は貴重な資源である一方、処理現場では検査員の目視かつ個人の判断で分別しているケースが多く、雑品・不純物が混入したまま低品質な状態で流通してしまっています。産業廃棄物の再資源化を促進し持続可能な社会を実現するには、リサイクル素材の品質向上が必要不可欠です。
当社は、画像処理と機械学習技術による鉄スクラップ分別作業の自動化ツールを開発し、機械メーカーやソフトウェア開発会社等と協業して業界全体への導入・普及を進めていきます。また、処理現場における分別・判定オペレーションの見直しも図ります。
テーマ5: 再生可能エネルギー主力電源時代のエネルギーインフラの再構築
太陽光発電、風力発電などの再生可能エネルギー(以下、再エネ)導入が急速に進む一方で、既存の送配電インフラは従来の火力発電等を前提とした設計になっています。再エネの大量導入においては、送配電インフラのあり方そのものを再設計していかねばなりません。
当社では、IEA(国際エネルギー機関)の解析モデルを基礎としたエネルギーシミュレーションモデルを開発し、エネルギーインフラの将来像の検討に取り組んでいます。本モデルを調査・コンサルティング等に活用するとともに、エネルギーインフラのあるべき姿に関する情報発信も積極的に行っていきます。
テーマ6: 社会課題解決の加速に向けたNPO/NGO支援
SDGs採択を契機に、行政、企業、NPO/NGO等の全セクターで社会課題解決に向けた取り組みの必要性が議論され、課題解決に取り組むアクターも増加してきました。しかしこれからは、個別の取り組みのみならず、マルチセクター連携による社会課題解決こそが、さらなるインパクト創出に不可欠であると当社は考えます。
私たちはビジネスコンサルティングファームとしての専門性と知見を活かした専属チームによるプロボノ活動(無償のコンサルティング)とデロイト トーマツ ウェルビーング財団を通じ、ソーシャルセクターから生み出される社会インパクトの最大化を後押しします。さらに、これまで培ってきたネットワークを最大限活用し、NPO/NGOの社会変革のパートナーとして産官学民を巻き込んだ社会課題解決を推進していきます。
「経済合理性のリ・デザイン」による社会課題解決の提案
〜児童労働撤廃に向けた取り組みのご紹介
児童労働撤廃の取り組みを加速させるには、「児童労働しないほうが得する」環境を企業や消費者に与えなければなりません。
つまり、「児童労働した方がコストアップしてしまう」世界にすることが目指すべきゲームチェンジの姿です。
デロイト トーマツでは、通商ルールを用いて、「児童労働がない地域(Child Labor Free Zone)で生産された製品は関税がかからない」ルールの仕掛けをNGO等と検討しており、いよいよ「経済合理性のリ・デザイン」の国際ルール形成を行動主体として動かすことが現実味を帯びています。世界的な大きな課題の一つ、児童労働に対して、貿易業界に新しい解決策を提案します。
Chld Labor Free Zone「児童労働撤廃に向けた国際ルール形成」紹介動画はこちら
Child Labor Free Zone:児童労働撤廃に向けた国際ルール形成の提案に関する取り組みのご紹介ページはこちら
「児童労働のない製品の関税をゼロにする」国際通商ルールの提案に関する取り組みのご紹介ページ
インパクト雇用で実現する人的資本経営
企業価値において、「人材」を含む無形資産の重要性は世界的に増しています。日本では今後の労働力の減少が見込まれているうえ、他の先進国と比べて人的資源への投資が少ない状況です。人材を企業価値の向上に直結させること、即ち「人的資本経営」を実現するには、これまで以上の人材への投資、および対象となる人材の範囲の拡大が求められます。インパクトハイヤリング/ソーシング(雇用機会が限定されている層を対象とした採用)はその実現に向けた効果的な手段になります。
資源・製品の持続可能な利用と循環型社会の構築に向けて
大量生産、大量消費・廃棄が前提となっている現在の社会では、資源・エネルギー、食糧需要の増大や廃棄物の増加による自然資源不足や環境汚染問題が深刻化しています。デロイト トーマツでは、持続可能な社会を目指し、独自の視点から、資源の有効活用や新たな資源循環システムの構築に向けた取り組みを行っています。
3. 上記以外の活動テーマ
上記の7つの注力テーマ以外にも、非営利団体(NPOやNGO)に対するプロボノ活動、企業におけるDiversity & Inclusionの推進、災害からの復興支援、スポーツを通じた社会づくりへの貢献など、幅広い領域において社会課題解決に向けた主体的な取り組みおよび支援活動を行っています。
4. Social Impactブロウシュアのダウンロード
デロイト トーマツ コンサルティングのSocial Impactの活動概要をご紹介するブロウシュアを、こちらからダウンロードできます。
5. Hands on Impact(ボランティア)活動の紹介
フードバンクの食品仕分けボランティア ~「もったいない」を「分かち合い」に~
居場所を求める子どもに向けた場づくり ~中高生と一緒に楽しく過ごすボランティア~
難民の背景を持つ留学生の就労支援 ~企業の垣根を超えたチームが一体となりシリア難民の内定獲得を後押し~