ニュースリリース

日・米・欧 M&Aにおけるベストプラクティスに関する調査結果を発表

M&Aが成功した要因は、日米欧とも8割以上が「買い手と売り手の効果的なコミュニケーション」

  • M&Aが成功した要因は、日米欧とも8割以上が「買い手と売り手の効果的なコミュニケーション」 
  • 買収のポイントは日米欧で「デューデリジェンスのさらなる重視」がトップ。3地域とも4割以上。
  • PMI計画の遅れが取引全体にマイナスの影響があったとする回答率は日本のみ二桁(13%)
2013年5月22日

デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー株式会社(東京都千代田区 代表取締役社長 新田 正実)は、マージャーマーケット(英国ロンドン CEO Hamilton Matthews)と共同で、M&A におけるベストプラクティスを明らかにするため、日本、米国、欧州の M&A 担当者に対する聞き取り調査を実施した。寄せられた回答から、ディールを成功させるために必要な要素、M&A 取引の全過程を通じて効果的だった手法、今後の M&A における改善点に関する調査を行い、その結果をまとめた。この調査は 2012 年 12 月~2013 年 1 月に、日本、米国、欧州の計 60 名の M&A 担当者に聞き取りを実施した結果に基づくものである。
 

1. コミュニケーションによる買い手と売り手の信頼関係の構築が不可欠

日米欧の回答者は、買い手と売り手間の信頼関係と共通理解がディールの成功に欠かせないという点で意見が一致している。日本(87%)、米国(93%)、欧州(80%)の回答者が、直近のM&Aを成功させた要因を「効果的なコミュニケーション」と答えている(全文PDF-「図表1:直近のM&Aを成功させた要因」をご参照ください)。現在の競争の激しいマーケットにおいて、対象会社の発掘からディール完了までの過程は一層困難となっている。
対象会社と事前に良好な関係を築くことが、M&AとPMI(Post Merger Integration、合併・買収後の統合)の成功の鍵と言える。とりわけ、クロスボーダー取引においては、コミュニケーションを重視することは、買い手と売り手間に信頼関係が形成され、経営統合が円滑に進み、ミスコニュニケーションが生じる余地を削減できると考えられる。
また、日本(54%)、米国(73%)、欧州(47%)の回答者が、買収前に「シニアマネジメント同士のコミュニケーションに長時間かけ、密接な関係を築く」としている。意思決定者がコミュニケーションを図ることで、意思決定に要する時間が短縮されることとなり、ディールを速やかに次の段階へと進めることができる。当事者間のコミュニケーションは、ディール中のミスコミュニケーションの発生や矛盾が軽減されるだけでなく、取得後の企業に共通のビジョンを形成することにもつながる。
 

2. デューデリジェンスを重視

デューデリジェンスは、ディールの対象となる資産を明確にするとともに、対象会社が抱える潜在的な問題点や矛盾を明らかにする重要な作業と言える。直面したデューデリジェンスの問題として、日米欧の回答者とも、対象会社のコンプライアンス問題(法令遵守)との回答が最多となった(各47%、60%、67%/複数回答)。さらに、ほとんどの回答者はこの問題を克服するために現地の弁護士に相談していると回答した。また、「正確な財務・事業データの入手」について、その可否や入手できた場合でも必要とする情報不足が障害となりうると述べ、日本(40%)、米国(40%)、欧州(60%)が問題であると述べている(全文PDF-「図表2: M&Aで直面した重要なデューデリジェンスの問題」をご参照ください)。
また、次回のディールでは日本(40%)、米国(40%)、欧州(53%)の回答者がデューデリジェンスをより重視すると答えている(全文PDF-「図表3:次回のディールで重視すべき点 」をご参照ください)。回答者の中には、「デューデリジェンスが取引価格の維持、取得権利の確保、また請負義務の明瞭化につながる」、「デューデリジェンスがM&Aプロセスの最も重要な部分であり、最大の注意を払うべき作業であると認識した」との意見があった。
 

3. PMI実施のタイミングが重要

PMIはディールの成功を左右する重大な局面であり、この段階におけるベストプラクティスとM&Aに関する総合的な対応能力が求められる。
PMI計画を始めた段階について、日本、米国、欧州いずれも4割以上が「契約交渉が終了する前の段階」と回答した。同時に、46%の日本の回答者は「クロージングから契約締結までの間」とし、ディールの最終段階まで待つとしている(全文PDF-「図表4:直近のM&A取引でPMI計画を開始した段階」をご参照ください)」をご参照ください)。これは、日本の回答者には、PMI計画を開始するタイミングを早めることによってプロセスに遅れや悪影響が生じるのを未然に防ごうとする担当者がいる一方で、交渉が決裂した場合の無駄を省こうとする意図を持つ者がいることがうかがえる。
さらに、日本の特徴として「PMIの進行が遅れ、M&A取引にマイナスの影響があった」との回答率(13%)が米国(0%)、欧州(3%)より高いことが挙げられる。ディールから最大の価値を引き出すためには、PMI計画をいつ開始するかの決定が決め手と言えるだろう。
また、PMIの問題として、米国では「文化とマネジメントの相違」が最も高い回答率(73%)となった一方、日本の回答者では「内部統制の問題」が最多の割合(80%)となった(複数回答)。なお、欧州では、この2点ともに5割の回答者が問題として挙げている。「規制上の問題」は、日本(40%)、米国(53%)、欧州(37%)で、全体的に高い割合となった。
 

4. 専門チームがM&Aを担当

日本(40%)、米国(67%)、欧州(33%)の回答者が、専門的な作業チームがM&Aを担当するとしている。回答者の中には、「特にクロスボーダー買収案件や、さまざまな分野のエグゼクティブやマネジャーとの関与がある案件においては、専門チームは不可欠である」との意見があった。また、日本の回答者の4割が「シニアエグゼクティブと主要な意思決定者」が日常のM&A取引を担当するとしており、日本企業の意思決定に変化がみられるとしつつも、従来からの集約型の要素も強いと言える。
また、米国のみ「外部アドバイザー」にM&Aの支援を求めたとの回答があった(全文PDF-「図表5:M&A取引プロセスを支援する日常業務の担当者 」をご参照ください)。

5. 調査概要

デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー株式会社が、マージャーマーケット(独立したM&Aに関するインテリジェンス・ツール)と共同で、2012年12月~2013年1月に、日本15名、米国15名、欧州(イギリス、ドイツ、フランス、オランダ、スイス)30名の計60名のM&A担当者を対象に聞き取り調査を実施した。

対象ディールは以下のとおり。

  •  取引金額が5百万米ドルを超えるディール
  •  取引金額が公表されていない場合は5百万米ドルを超えると推定されたディールおよび対象会社の売上高が1千万米ドルを超えるディール
  •  クローズおよび進行中のディール
  •  原則、独立した二者当事者間で企業の支配権が移転されるディール
  •  譲渡される株式が30%(アジア太平洋地域では10%)未満である場合には、取引金額が1億米ドルを超えるディールに限定
     

参考:M&A取引を取り巻く環境
M&Aディールは、堅調な勢いが続いており、今後も増加基調で推移する可能性は高い。また、競争も激化しており、その手法も複雑なものとなっている。増加するクロスボーダー取引に伴い、国や地域をまたぎ新たな文化的違いで生じるさまざまな課題も浮き彫りになってきている。マージャーマーケットの調査によれば、日本企業によるアウトバウンド取引は2011年から2012年の一年間に、件数で23%増、取引金額で52%増となっている。
こうした動きを背景に、国内外で一層複雑化する案件を実行する日本企業にとっては、最大の投資効果を達成するベストプラクティスを用いることが特に重要な課題となっている。日本企業が成熟した市場で積極的に、かつ巨額なM&A取引を実施するようになった現在、その重要性は一層高まっていると言える。
 

*調査に関する詳細な資料をご希望の方はこのニュースリリースの連絡先までお問い合わせください。 

問い合わせ先

デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー 株式会社
広報
03-6213-1180
dtfa.koho@tohmatsu.co.jp
 

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