ニュースリリース

「グローバル アナリティクス サーベイ」結果発表

96%がアナリティクスは今後さらに重要性を増すと認識する一方、多くの企業は導入の初期段階。

  • 96%がアナリティクスは今後さらに重要性を増すと認識する一方、多くの企業は導入の初期段階。 
  • 人的リソースとスキルが十分だと答えたのは全体の 22%で、人材不足が課題。
2013 年 10 月 3 日

有限責任監査法人トーマツ(東京都港区 CEO 兼包括代表 天野太道)は、デロイト トウシュ トーマツ リミテッドが世界の業界を代表する企業を対象に実施したアナリティクスの現状および今後の動向に関する調査結果の日本語翻訳版を公表する。本調査は、北米、英国、アジアの 100 社以上の調査回答をまとめたものである。そのうち 35 社については、シニアエグゼクティブへ核心に踏み込んだ直接のインタビューを行った。
調査によって、アナリティクスはマーケティングやファイナンスをはじめとした多くの領域で活用され、意思決定資源として浸透しつつあり、今後さらに重要性が増すことが期待されていることがわかった。また、現状は初期段階にあり、推進体制や適用領域といった観点でのベストプラクティスはこれから確立されることが見込まれる。


1. アナリティクスへの期待

回答企業の 96%は、アナリティクスは今後 3 年間で「ますます重要性を増す」または「ある程度重要性を増す」と回答しており、「重要性は低下する」とする回答は 0%であった。また、半数近く(49%)が、アナリティクス活用の最大のメリットは、アナリティクスが意思決定能力の向上に大きく寄与することだと回答している(図表 1)。
自社戦略にまだアナリティクスを活用していないと回答した企業は 2 割未満にとどまり、多くの企業が、業務運営、財務管理、顧客管理、サプライチェーン、人事管理、ビジネス機会の創出、競争力の向上を目的としてアナリティクス活用をはじめている。
さらに、アナリティクスの活用が競争上の地位向上に役立ったとする回答が過半数を占めており、多くの業界の企業がアナリティクス導入に向けた動きを活発化させていることが分かった(図表 2)。
インタビューによって明らかになったのは、アナリティクスによって競争優位を確立したとする企業においても、必ずしも最初から全社的なサポートが得られていたわけではなく、経営陣には懐疑的な見方をするメンバーが少なくなかったということである。成功を収めたほとんどの企業で共通しているのは、まず一つか二つの小さな適用事例を成功させ、効果を確かめながら着実に活用を推進していることである。
 

2. 推進体制

アナリティクス業務の責任者として最も多かったのは「事業ユニットまたは部門長」(23%)であるが、アナリティクスが重要視される組織では、経営陣が関与していることが多い。CEO・CFO・CIO・CMO といった CXO を合わせると 56%に達することは興味深い。
また、アナリティクスの推進体制が各部署等に分散している企業が 58%と過半数を超えていることから、組織のアナリティクス活用状況に応じて多様な形態が存在し、アナリティクス活用がまだ部分最適にとどまっていることを示唆している。組織形態によるところもあるが、組織全体においてデータ活用の効果を得るためには、組織内で個別に存在する活動の連携を推進するような体制構築が必要であり、体制の一元化または専門組織の設置が望ましいと考えられる。


3. 直面している課題

アナリティクス活用にあたっての主な課題としては、データ収集のためのアプローチ技術や情報システム基盤の不足を挙げる企業が多かった。一方で、日本で関心の高いプライバシーの問題が本調査では 3%にとどまることは驚くべき結果である(図表3)。
また、情報システムにおいて非構造化デー タを活用している企業が16%にとどまっていることや、利用技術が基本的なものにとどまっていると回答した企業が過半数を超えていることから、多くの企業では先進的なデータ活用にはまだ至っていないことがわかる。これは、企業内に点在するデータの収集や、品質の向上といったインフォメーション/データマネジメントの課題と直面している状況であることを示唆している。高度な技術、情報システム、および社会的な問題に自トの課題と直面している状況であることを示唆している。高度な技術、情報システム、および社会的な問題に自社が直面するのはもう少し先だと考えているのだろう。
また、自社のデータの品質が「良い」または「非常に良い」とした回答者はわずか 34%であり、データ品質の課題に直面している。多くの企業が、一貫性のないプロセスやシステム、地域・事業ユニット間の情報定義の違い、人材不足といった理由から膨大なデータと格闘している段階にあり、アナリティクスの広範な領域での適用を妨げる要因の一つとなっている。
さらに、もう一つの大きな課題は、回答者の半数近くが指摘する、企業内の人的リソースとスキルレベルの不足である。社内に十分な人的リソースとスキルを保有すると答えた企業は 22%であり、スキルを保有する人材の採用や次世代のサイエンティスト輩出促進のための活動が、今後のアナリティクスの発展には必要と考えられる。


4. 調査の概要

本調査は 2012 年 4 月から 9 月に、北米、英国、アジア(日本は含まれない)のアナリティクス担当エグゼクティブを対象に匿名で行われた。回答者は金融、テクノロジー、通信、エンターテイメント、医療、コンシューマー製品、小売、エネルギー、製造、官公庁が含まれている。100 社以上が調査に参加しており、そのうち 35 社についてはアナリティクスの先導的な提唱者であり、デロイト アナリティクス*1 のシニアアドバイザーであるトーマス・H・ダベンポート氏*2(ハーバードビジネススクール客員教授)がインタビューを行って結果をまとめている。同氏はまた、本調査の監修も務めた。


5. 日本におけるアナリティクス導入の現状と課題

上記の調査結果を踏まえ、今回の調査対象に含まれなかった日本のアナリティクスの現状に触れる。調査により、アナリティクスの活用は世界的に見て初期段階にあり、部分的な活用にとどまっていることが明らかとなった。回答者の多くは、データ収集、社内の理解浸透、推進体制の構築、人材の確保、システムの高度化といった基本的な課題と直面しているフェーズにあり、世界的に“アナリティクス時代の幕開け”といえる状況にあることが読み取れる。

一方、日本においてもビッグデータの活用、統計学の流行、データサイエンティストの育成といったアナリティクスに関連する話題が盛り上がってきているが、アナリティクスが企業のビジネスに浸透しているのはごく一部の業種やビジネス領域であり、実態としては多くの企業におけるデータ活用はまだ模索段階にある。
日本の企業が抱える課題は、今回の調査結果によって明らかになったグローバルの課題と共通している事項が多い。多くの日本企業は、内外に点在するデータの価値とその活用の可能性を気づき始めてはいるものの、具体的なアプローチが見えていない。また、たとえアプローチが明らかになったとしても、次にデータ品質の問題に直面することが多い。活用されることを意識してデータを蓄積していなかったため、データの意味づけが不明確だったり、分散するシステムに点在するデータが連携されていなかったりして、クレンジング*3 や名寄せ*4 に多くの労力を費やしているのが現状である。
成功している企業が示すように、アナリティクスの活用は小さな領域で効果を確かめながら徐々に適用範囲を拡大していくことが重要なのは間違いない。その一方で、経営戦略と一貫性のある長期的なアナリティクス戦略を策定し、エンタープライズワイドでのインフォメーションマネジメントを意識することが、アナリティクス活用の模索段階にある多くの企業が競争を勝ち抜くために重要であると考えられる。個別のテクノロジー導入や事業部主導によって部分最適に陥るのではなく、経営戦略を意識しながらトップダウンでのアナリティクス導入を推進する4ことが必要であろう。

*1 デロイト アナリティクス
デロイト アナリティクスとは、デロイトがグローバルで提供するサービスのひとつであり、デロイトのグローバルかつ豊富な事例と経験、そしてトーマツの監査・コンサルティングを通じた業界知識を活用し、インフォメーションマネジメントから戦略的アナリティクスの実行を含めた、幅広い支援を行うもの。デロイトでは、全世界で 3,000 人を超える専門家が分析業務に従事する。トーマツでは、監査法人、コンサルティング、ファイナンシャルアドバイザリー、税理士法人等の専門家が協働してアナリティクス関連サービスを提
供している。
デロイト アナリティクス Web サイト(日本): http://www.tohmatsu.com/da
デロイト アナリティクス Web サイト(英語): http://www.deloitte.com/deloitteanalytics
*2 トーマス・H・ダベンポート氏
ハーバードビジネススクール客員教授。著作『分析力を武器とする企業』が CIO Insight(米国メディア)により「最も画期的な経営書ベスト 15」に選出された他、Ziff Davis(米国出版社)は同氏を「IT 業界で最も影響力のある 100 人」のうち 4 人しかいない IT 経営の先導的な提唱者の 1 人に数えている。
*3 クレンジング
データを分析可能となるように標準的な形式に合わせて整形したり、誤ったデータを修正すること。例えば、電話番号が“03-1234-5678”と“0312345678”と入力されている場合に統一の形式に整形するなどがある。
*4 名寄せ
同一の意味を持つデータを別々のデータとして処理しないように、同一データを決定する処理。例えば、同じ意味を持つ“株式会社ABC”と“(株)ABC”と”株式会社エービーシー”を同一データとして定義したり、クレンジングした
りすること。

問い合わせ先

有限責任監査法人トーマツ
コーポレートコミュニケーション
落合 友香
03-6720-8090
press-release@tohmatsu.co.jp

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トーマツ グループについて:
トーマツグループは日本におけるデロイト トウシュ トーマツ リミテッド(英国の法令に基づく保証有限責任会社)のメンバーファームおよびそれらの関係会社(有限責任監査法人トーマツ、デロイト トーマツ コンサルティング株式会社、デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー株式会社および税理士法人トーマツを含む)の総称です。トーマツグループは日本で最大級のビジネスプロフェッショナルグループのひとつであり、各社がそれぞれの適用法令に従い、監査、税務、コンサルティング、ファイナンシャルアドバイザリー等を提供しています。また、国内約 40 都市に約 7,100名の専門家(公認会計士、税理士、コンサルタントなど)を擁し、多国籍企業や主要な日本企業をクライアントとしています。詳細はトーマツグループ Web サイト(www.tohmatsu.com)をご覧ください。

デロイトについて:
Deloitte(デロイト)は、監査、税務、コンサルティングおよびファイナンシャル アドバイザリーサービスを、さまざまな業種にわたる上場・非上場のクライアントに提供しています。全世界 150 ヵ国を超えるメンバーファームのネットワークを通じ、デロイトは、高度に複合化されたビジネスに取り組むクライアントに向けて、深い洞察に基づき、世界最高水準の陣容をもって高品質なサービスを提供しています。デロイトの約200,000 人におよぶ人材は、“standard of excellence”となることを目指しています。

Deloitte(デロイト)とは、デロイト トウシュ トーマツ リミテッド(英国の法令に基づく保証有限責任会社)およびそのネットワーク組織を構成するメンバーファームのひとつあるいは複数を指します。デロイト トウシュ トーマツ リミテッドおよび各メンバーファームはそれぞれ法的に独立した別個の組織体です。その法的な構成についての詳細は www.tohmatsu.com/deloitte/ をご覧ください。

 

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