ニュースリリース

CFO Signalsサーベイ 経済環境とデジタル技術

今後1年間の経済環境で、注目される動きは働き方改革や欧米等の政治発のリスク、デジタル技術は期待が大きいものの、利用の方向性と効果についてはまだ未知数の「黎明期」

デロイト トーマツ グループは、企業経営の参謀として様々な課題に直面するCFO(Chief Financial Officer: 財務担当役員)を支え、ファイナンス組織の能力向上への寄与を目的に多岐にわたる活動を行っています。CFO Signalsサーベイはその一環であり、今回の調査では企業を取り巻く経済環境とデジタル技術のCFOとCFO組織(経理・財務ほか)への影響を聞きました。

2017年5月12日 

デロイト トーマツ グループ(東京都港区、CEO 小川陽一郎)は、CFOプログラムにおいて、企業経営の参謀として様々な課題に直面するCFO(Chief Financial Officer: 財務担当役員)を支え、ファイナンス組織の能力向上への寄与を目的に多岐にわたる活動を行っています。CFO Signalsサーベイはその一環であり、今回の調査では企業を取り巻く経済環境とデジタル技術のCFOとCFO組織(経理・財務ほか)への影響を聞きました。(回答企業数38社 企業規模は下記を参照ください)

<問い合わせ先>
デロイト トーマツ合同会社
ブランドコミュニケーション 菊池
Tel: 03-6720-8920
Email: press-release@tohmatsu.co.jp
 

1.今後1年間の経済環境

今後1年間の業績の展望は、グラフ1のように、収益が「a.大きく増大する見込みである」と「b. いくらか増大する見込みである」という回答割合が合わせて69%となり、前回と同様に高水準を維持しました。更に、収益の減少を見込む企業(「d. いくらか減少する見込みである」および「e. 大きく減少する見込みである」)が前回の11%から5%に低下しており、業績悪化を見込むCFOが減少しています。

グラフ1
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営業利益でも同様の傾向が確認できます。「大きく増大する見込みである」と「いくらか増大する見込みである」を合わせた増益を見込む回答が71%となり、減益を見込む先が11%にまで低下しています。2016Q4(2016年12月期)に明確化した増収増益の動きが足元でも継続していることがわかります。

今後1年間の事業展開を見る上で注目される日本経済の動き(グラフ2)は「a. 景気回復の明確化」(50%)が最大の回答数となったほか、「c. 働き方改革を含む、構造改革の若干の進展」も34%の回答を集め、日本経済の景気循環や構造改革への関心が高いことがわかります。過去の調査ではCFOから構造改革について慎重な見方が示されることが多かった点を踏まえると、足元の働き方改革には一定の期待が示されていると解釈することができます。また、「f. 財政健全化にかかる安倍政権のコミットメントの低下」(13%)や「g. 安倍政権の不安定化」(13%)の回答割合がそれほど高くなく、安倍政権の政策運営に対してCFOは一定の評価をしているようにうかがえます。もっとも、「b. 米国トランプ政権との軋轢の可能性」(50%)が最大の回答数となった点には留意が必要です。CFOの視点からみれば、日米両国間の関係、とりわけ、貿易面での衝突リスクが不安視されていると考えられます。

グラフ2
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欧米経済での注目点は、引き続き米国トランプ政権の動きです。「米国トランプ政権による保護主義路線の明確化」(74%)と「米国トランプ政権の外交政策の変化」(55%)等に回答が集まりました。他にCFOの注目を集めたのは、「欧州各国における政治イベントの動き」(71%)です。こうした「政治リスク」への関心が上位を占める中で、比較的、資産価格の過熱リスクや金融政策運営への関心は低くなっています。例えば、米国については、「米国株式やリスク性資産の過熱感の高まり」と「米国における急テンポな政策金利引き上げの可能性」がそれぞれ21%と18%の回答割合にとどまったほか、欧州に関する、資産バブルリスク、ギリシャリスク、ECBの金融政策スタンスに係る選択肢の回答がいずれもゼロとなりました。CFOの視点からみると、現下の欧米経済は、景気や金融市場の過熱感よりも、政治発のリスクに注意を払うべき局面と映っているようです。


中国・エマージング経済の動きでも、最も注目を集めたのは「北朝鮮リスクの高まり」(66%)であり、これに原油価格の安定化」(55%)が続きます。北朝鮮リスクは予測が難しいだけに、CFOにとって最大の関心事項になっているものと思われます。他方、原油価格が安定化し、エマージング諸国の実体経済が総じて回復していることは、CFOにとって安心材料になっているものと推察されます。

 

 

2.デジタル技術のCFOとCFO組織への影響

今回の調査では、デジタル技術の影響と利用については総じて期待は大きいものの、利用の方向性と効果についてはまだ未知数であり、導入の計画はあるがまだ現実のものにはなってはいないという「黎明期」としての特徴が明確に示されました。

AIやロボティクス、クラウドコンピューティングやビッグデータ解析といったデジタル技術の急速な進展が、CFOとCFO組織(経理・財務ほか)に与える影響は、「特段の影響はない」という回答がそれぞれ8%(CFO)、13%(CFO組織)とわずかであり、大多数のCFOが自分自身と配下の組織に何らかの影響があると考えているようです。

デジタル技術全般に期待が集まっており、グラフ3のように、金融業界に関係するものとの印象が強いブロックチェーンを除いて、他の4つの選択肢に回答がほぼ同等に分散しています。一方、これらのデジタル技術の実際の利用状況、およびこれからの見通しについては、「社内でかなり使われている」との回答があったのは、唯一クラウドコンピューティングプラットフォームのみで、その他の技術は「一部で使い始めている」または「計画はあるが具体的にはまだ使われていない」との回答にとどまっています。

デジタル技術への投資効果への期待は、「顧客動向や、顧客情報、マーケット動向など「顧客」分析をより高度化したい」(47%)という回答が最も多く、次いで「経理・決算上の判断、投資判断など、経営上の判断により確実性と信頼度を高めることに利用したい」(45%)となりました。自部門の課題として常に上位にあげられる「投資効果や収益予測を行う高度で複雑なモデルを作成し、将来予測・資産が安易にできることを期待したい」(24%)という選択肢に回答が集まらなかったことから、これらはデジタル技術にあまり期待していないようで、今後さらに技術の利用方法の研究が進むことが期待されます。

米国での同種の調査 では、「顧客に関する分析」に対する回答数が最も多かった点は一致していますが、日本では11%の期待でしかない、「グラフやチャートを多用した見やすくわかりやすい分析レポートが迅速に手間をかけずに作れることを期待したい」が、米国では上位になっています。データを手作業で集め会議の都度時間を費やして資料を作る、といったことはどこの会社でも“課題”と耳にしますが、それがレポーティング機能の発達で解消に向かう課題であることは意外と注目されていないようです。

グラフ3
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本調査の詳しい内容はこちらからご覧ください。

 

 

回答企業の内訳

アンケートの対象企業である上場日本企業を中心とした38社

■売上高

1000億円未満 5.3%
1,000億円以上~5,000億円未満 36.8%
5,000億円以上~1兆円未満 15.8%
1兆円以上~5兆円未満 36.8%
5兆円以上 5.3%

 

■調査日・調査方法

本年4月3日~4月14日に、Webサイト及び調査票送付により実施

デロイト トーマツ グループは日本におけるデロイト トウシュ トーマツ リミテッド(英国の法令に基づく保証有限責任会社)のメンバーファームおよびそのグループ法人(有限責任監査法人トーマツ、デロイト トーマツ コンサルティング合同会社、デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社、デロイト トーマツ税理士法人およびDT弁護士法人を含む)の総称です。デロイト トーマツ グループは日本で最大級のビジネスプロフェッショナルグループのひとつであり、各法人がそれぞれの適用法令に従い、監査、税務、法務、コンサルティング、ファイナンシャルアドバイザリー等を提供しています。また、国内約40都市に約9,400名の専門家(公認会計士、税理士、弁護士、コンサルタントなど)を擁し、多国籍企業や主要な日本企業をクライアントとしています。詳細はデロイト トーマツ グループWebサイト(www.deloitte.com/jp)をご覧ください。

Deloitte(デロイト)は、監査、コンサルティング、ファイナンシャルアドバイザリーサービス、リスクアドバイザリー、税務およびこれらに関連するサービスを、さまざまな業種にわたる上場・非上場のクライアントに提供しています。全世界150を超える国・地域のメンバーファームのネットワークを通じ、デロイトは、高度に複合化されたビジネスに取り組むクライアントに向けて、深い洞察に基づき、世界最高水準の陣容をもって高品質なサービスをFortune Global 500® の8割の企業に提供しています。“Making an impact that matters”を自らの使命とするデロイトの約245,000名の専門家については、FacebookLinkedInTwitterもご覧ください。

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