ニュースリリース

女性活躍推進の要諦「トランジションマップ」を発表

7,402名の大規模調査から見えた女性活躍推進のメカニズムと具体的な方法論

人材育成研究の専門家、中原 淳氏(東京大学 大学総合教育研究センター 准教授/NPO法人Educe Technologies 副代表理事)との共同調査研究プロジェクト「女性の働くを科学する」の成果として、女性活躍を長期的視点で推進するために企業の人事部および管理職が気をつけるべきポイントをまとめた「トランジションマップ」を発表しました。

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2017年5月18日

トーマツ イノベーション株式会社、人材育成研究の専門家で 多くの企業や公共領域での 共同研究実績のある中原淳氏(東京大学 大学総合教育研究センター 准教授/NPO法人Educe Technologies 副代表理事)との共同調査研究プロジェクト「女性の働くを科学する」の成果として、女性活躍を長期的視点で推進するために企業の人事部および管理職が気をつけるべきポイントを女性社員のステージごとにまとめた「トランジションマップ」(図1)を発表しました。このマップには女性が働き続けたいと思う職場の特徴や昇進時に男女で異なる課題などが記載されており、人事部はこれをもとに社内が適切な状況にあるかを確認し施策を実施することが、現場の管理職は女性社員の能力を引き出す職場マネジメントが可能となります。

なお、マップは当社のWebサイト https://www.ti.tohmatsu.co.jp/npro/2017/ に掲載しています。

問い合わせ先
トーマツ イノベーション株式会社
03-5222-5111
ti-info@tohmatsu.co.jp

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女性活躍は女性個人の資質や努力だけに求めても推進されない

政府が進める女性活躍推進は、女性の管理職比率などを目標数値として掲げ、目標達成に向けては時間外労働を削減し生産性向上を図る「働き方改革」を目玉の施策としています。一方で、企業の人事担当者を対象とした調査*では、女性活躍が進まない理由として「採用の時点で女性が少ない」(52.2%)、「現時点では、必要な知識や経験、判断力などを有する女性がいない」(45.6%)、「女性のほとんどが役職者になるまでに退職する」(33.3%)、「能力などの要件を満たしても女性本人が希望しない」(19.6%)といった項目が回答の上位で、「時間外労働が多い、又は深夜業がある職場が多い」という回答はわずかに8.5%と、政府の方針と企業の認識には大きなギャップがあります。企業が女性の労働問題を「女性個人の資質や努力だけに求めている」と見受けられる中で、ただやみくもに労働時間を削減するようなことがあれば、女性活躍推進が滞るばかりか、様々なところでほころびが出るとも考えられます。

*「男女正社員のキャリアと両立支援に関する調査」(2013年、独立行政法人労働政策研究・研修機構)、パーセンテージは300人以上の企業

そこで当プロジェクトでは、女性活躍推進のために企業(人事部)や職場(管理職)が具体的にどのように働き方を改革すればよいのか、いつ誰にどのような支援が必要なのかを明らかにすることを目的に、以下の2段構えで調査を実施しました。

  1. 働く男女のキャリア調査
    女性が長く働くことのできる「職場環境」には何が必要かを明らかにする
  2. 職場の働き方調査
    子育て中の女性の「仕事と家庭の両立」にはどのような「支援」が必要かを明らかにする

これら2つの調査を通して、働く男女が昇進に伴う役割移行によってどんな挑戦課題に直面し悪戦苦闘しているのかを可視化したものがトランジションマップです。人事部による人材マネジメント、管理職による職場マネジメントのヒントが詰まっており、研修の中で空欄を埋めながら理解を深めるといった利用が想定されます。

 

職場の働き方調査から見えた「働き方の見直し方」

~成果を出すワーキングマザーの管理職は長時間労働ではなく助け合いの職場を評価~

女性社員の中でも、自分でコントロールできる時間が少なく、弱い立場にあるワーキングマザーにフォーカスを当て、ワーキングマザー本人、上司となる管理職、同僚である一般社員、配偶者・パートナーという4つの層を対象に合計2,000名に対して調査を実施しました。調査で得られたサマリは以下の通りです。

  1. 成果を出すワーキングマザーは「頑張る」けど、「頼る」
    成果を出しているワーキングマザーの働き方として、「自ら頑張る」と「他人を頼る」の両方のモードがある。「自ら頑張るモード」については3~4割程度のワーキングマザーが実践していると回答するものの、周囲からはそう見えていない一面もある。「他人を頼るモード」は実践できているワーキングマザーは1割程度と少ない。
  2. 成果を出すワーキングマザーの管理職は職場を動かし、ママを動かす
    ワーキングマザーの成果につながる管理職の行動としては、長時間労働ではなく職場の助け合いを評価し、職場の負荷を可視化するといった職場の動かし方と、ワーキングマザーに責任ある仕事を任せることが挙げられる。責任ある仕事を任せることに関しては半数の管理職ができているが、職場を動かすことについては管理職の自己認識とワーキングマザーからの評価にギャップがあり、管理職による更なるアクションが期待される。

 

【職場の働き方調査 調査結果詳細】 働きたいが、仕事と育児の両立は難しいワーキングマザー

今の会社での就業継続意向を聞いた ところ、ワーキングマザー(71%)は男性社員(49%)や女性社員(49%、ワーキングマザー含む)よりも働き続けたい意欲が高いことが分かりました。しかし、仕事と育児の両立については多くのワーキングマザーが悩んでおり、「上手く両立できている」と考えているワーキングマザーは36.8%にとどまりました。(図2)

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成果を出すワーキングマザーは「頑張る」けど、「頼る」

仕事と育児の両立に奮闘しながらも成果を出しているワーキングマザーの働き方(成果につながる働き方)として、「適切な人に仕事を頼んでいる」「時間ないでの仕事の効率を高める努力をしている」「職場の仲間に協力してもらえるよう積極的に働きかけている」など、「他人を頼る」と「自ら頑張る」の両方のモードがあることが分かりました。(図3)

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これらの働き方について、「仕事の効率を高める努力をしている」(38.6%)、「できる限り仕事を前倒しにしている」(27.2%)と、「自ら頑張るモード」は3~4割のワーキングマザーが実践していると回答していますが、管理職や一般社員からはそう見えていない(「あてはまる」という回答が少ない)一面もあり、職場内のコミュニケーションも含め改善の余地があるといえます。(図4)

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一方で、「他人に頼るモード」については、実践しているワーキングマザーは少数派(「仕事の負荷状況や得意な仕事を探し、適切な人に仕事を任せている」(8.6%)、「職場の仲間に協力してもらえるように働きかけている」(10.0%))で、こちらは周囲の協力が必須となることから、管理職による職場づくり・環境整備も必要といえます。(図5)
なお、睡眠時間を削ることは成果にマイナスの効果がある*ことも分かりました。

*ワーキングマザーの成果を従属変数に、睡眠時間を独立変数とした場合、階層的重回帰分析の結果によると、影響度はβ=-.104

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成果を出すワーキングマザーの管理職は職場を動かし、ママを動かす

ワーキングマザーの成果につながる管理職の行動について調べたところ、「職場のメンバーの助け合いを評価する」「責任ある仕事を任せる」「職場の負荷の見える化」といった項目が挙げられることが分かりました。一方で、ワーキングマザーにキャリアの行き詰まりを感じさせたり、見通しのなさを感じさせる管理職の行動の上位はいずれも「長時間労働の評価」でした。

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ワーキングマザーの成果を支える行動について、「助け合いを評価している」(51.8%)、「責任ある仕事を任せている」(50.0%)、「職場の負荷を見える化している」(37.8%)と、4~5割の管理職が実践していると回答しています。「責任ある仕事を任せる」については、ワーキングマザーの回答も46.6%と管理職とほぼ同じ割合になり、「できている」という評価と考えられますが、助け合いを評価したり負荷を見える化したりと、職場を動かすことについてはワーキングマザーからの評価が低く(順に36.4%、23.4%)、管理職による更なるアクションが期待されます。(図7)

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ただ、仕事に充実感を持っているワーキングマザーの職場は「メンバーの手助けをする」「目標達成の雰囲気がある」「競争意識をもっている」といった特徴があり、ワーキングマザーの活躍できる職場は男女問わず理想的なチームとも考えれるため、女性活躍推進に限らず管理職が取り組むべき課題といえます。(図8)

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働く男女のキャリア調査から見えた「職場ぐるみで働き方見直し」の必要性

2016年9月から12月にわたって、当社が提供する研修の受講者を中心に5,402名に対して実施した調査のサマリは以下の通りです。(詳細は「女性活躍推進のメカニズムを解明する調査結果を発表」(2017年3月3日ニュースリリース)を参照ください)

  1. 多くの企業には男性中心の職場文化が存在する
  2. 役割移行期には女性特有のリアリティショックが存在する
  3. 女性が昇進を受け入れるときは男性とは異なる理由が存在する

【調査概要】

調査対象者

企業に勤める管理職・リーダー・実務担当者
 ・リーダー:部下を1名以上持つが、評価権限は有していない人
 ・管理職:評価権限を有している部下を1名以上持つ人

回答者数

管理職  :男性 1,575 / 女性 369 / 合計 1,944
リーダー :男性 799 / 女性 344 / 合計 1,143
実務担当者:男性 1,300 / 女性 1,015 / 合計 2,315
-------------------------
役職合計 :男性 3,674 / 女性 1,728 / 合計 5,402

調査方法

自記式アンケート調査

調査期間

2016年9月~12月

 

【調査概要】

調査対象者

企業に勤める管理職・リーダー・実務担当者
 ・リーダー:部下を1名以上持つが、評価権限は有していない人
 ・管理職:評価権限を有している部下を1名以上持つ人

回答者数

管理職  :男性 1,575 / 女性 369 / 合計 1,944
リーダー :男性 799 / 女性 344 / 合計 1,143
実務担当者:男性 1,300 / 女性 1,015 / 合計 2,315
-------------------------
役職合計 :男性 3,674 / 女性 1,728 / 合計 5,402

調査方法

自記式アンケート調査

調査期間

2016年9月~12月

 

 

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