ニュースリリース

2019年 デロイト ミレニアル世代の意識調査(日本版)

世界との比較で、日本のミレニアル世代は離職や人生の目標を考える際に「報酬・収入」へ関心が集中する傾向があり、職場や社会での「経験価値」への着目が低いことが浮かび上がる。Z世代では会社への帰属意識が世界よりも低い結果に

2019年5月28日

デロイト トーマツ グループ(東京都千代田区 CEO:永田高士)は、デロイト グローバルが行った「2019年 デロイト ミレニアル年次調査」に基づき、日本のミレニアル世代の意識に関する調査結果を発表します。

本調査は今回で8回目であり、今回からミレニアル世代の傾向を包括的に示すため大卒等の学位取得者以外も調査対象に含め、またZ世代についても日本を含む一部の国で調査対象に含めています。

今回の調査では、日本のミレニアル世代は短期での離職を考える割合が世界と同程度に高く、Z世代はその傾向が世界よりも高いことが示されました。また、世界のミレニアル世代と比べて、離職や人生の目標を考える際に、職場での機会や社会への影響といった「経験」から得られる価値に着目する傾向が低く、「報酬・収入」に関心が集中する結果になっています。さらに、フリーランスや副業などで、雇用関係を結ばず企業などから単発で仕事を請け負うといった就労形態であるギグ・エコノミーについては、日本のミレニアル世代の参加意欲は世界よりも低く、「報酬」や「ワークライフバランス」などへの懸念が示されました。その結果、離職希望は高いものの就労の場としては引き続き企業を選ぶことが示唆されます。

 

一つの企業に長く務めることを目指す人材は主流でなくなる。離職の理由は「報酬」に集中する傾向

現在の勤務先で働き続ける期間を「2年以内」と見込む日本のミレニアル世代は49%であり、「5年以上」と考える割合は25%でした。世界のミレニアル世代は「2年以内」 が49%、「5年以上」が28%であり、日本は世界とほぼ同様の結果になりました。一方、日本のZ世代では「2年以内」の短期離職を考える割合は64%とより高く、「5年以上」の長期勤務を考える割合は10%となり、世界よりも雇用先からの離職の意向が高く、帰属意識が低い傾向を示しました(図表1)。さらに日本の両世代共に自分の選んだキャリアで幹部になることを人生の目標に掲げる割合は世界を下回っています(ミレニアル世代:日本26%、世界34%)(Z世代:日本 30%、世界 40%)。実際の短期離職(2年以内)の割合は日本の両世代共に世界よりも低いものの(ミレニアル世代:日本 11%、世界 22%)(Z世代:日本 14%、世界18%)、一つの企業に長く勤めることや幹部を目指す人材は主流ではなくなってきています。

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世界のミレニアル世代が2年以内に離職を考える理由 (図表2)は、「報酬に不満がある」(43%)以外に「昇進機会が十分でない」(35%)や「学習・成長機会がない」(28%)が高く、職場での自己成長につながる「経験」への着目がみられます。一方で、日本では「昇進機会が十分でない」(18%)「学習・成長機会がない」(14%)の回答割合は世界に比べて低く、1位の「報酬に不満がある」(43%)が2位の「ワークライフバランスが悪い」(22%)に大きく差をつけ、高い回答割合になっています。

<報道関係者からの問い合わせ先>
デロイト トーマツ グループ広報担当 菊池
(デロイト トーマツ コーポレート ソリューション合同会社)
Tel: 03-6720-8300
Email: press-release@tohmatsu.co.jp

図2
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世界共通で不確実性の時代を過ごす世代だが、日本と世界では人生の目標に違いがある

ミレニアル世代はリーマンショックから現在のデジタル化の進展に至るまで、いわば不確実性の時代を人生の中で長く過ごしています。このためか、ビジネスリーダー、政治家、伝統的メディア・ジャーナリストへの信頼度が決して高くなく、それらを正確な情報源として「非常に信頼できる」と考える割合はSNSに対する割合と同程度であることが本調査で示されました。また、自国の経済や社会・政治が今後12ヵ月で「改善する」と考える割合は低く、日本においてはその傾向がさらに強く出ています(図表3)。日本では平成の「失われた20年」に育った世代であり、経済発展の実体験が乏しいことが両世代の考え方に影響している可能性があります。

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こういった中で世界のミレニアル世代は従来とは異なる視点を有しています。図表4のミレニアル世代の人生の目標を見ると、従来成功の証と考えられていた「自宅の購入」(49%)や「子供/家庭を持つ」(39%)を挙げる割合はそれ程高くはなく、「世界を旅する」(57%)、「社会に好影響をもたらす」(46%)といった社会や世界での「経験」から得られる価値に着目する傾向が見られます。一方、日本では「高収入を得る」(59%)の回答が世界よりも高く、その他の目標は「世界を旅する」(36%)、「社会に好影響をもたらす」(18%)を含め世界を下回っており、回答割合も高くない結果となりました。

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日本では世界に比べて、ギグ・エコノミーへの参加意欲は低く、促進に向けた課題が浮き彫りに

さらに、雇用されることなく企業などから単発の仕事を請け負う就労形態であるギグ・エコノミーについても世界との違いが出ています。世界のミレニアル世代のうち56%がフルタイムの仕事の代わりに、また68%が副業としてギグ・エコノミーに参加している、または参加を検討すると回答していますが、日本ではいずれの選択肢も25%に留まっており、冒頭に記載した通り現勤務先からの離職希望は高いものの、企業への転職を選ぶ傾向が示唆されました。ギグ・エコノミーについては世界のミレニアル世代の48%が「フルタイムの仕事と同水準の報酬を得られる」と考えていますが、日本では24%に留まっており、同様に「フルタイムの仕事よりも仕事と家庭の両立が可能」と考える割合は世界では48%ですが、日本では31%となっています。ギグ・エコノミーへの参画を検討しない理由は、こういった報酬やワークライフバランスに加え、仕事形態や将来計画への懸念も本挙げられており、浸透に向けた課題と言えるでしょう。

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デロイトのミレニアル年次調査概要:

デロイトが2018年12月~2019月1月に世界42 カ国、13,416人の1983年~1994年生まれのミレニアル世代、10カ国3,009人の1995年~2002年生まれのZ世代に対して行った調査。今回から両世代の特徴を包括的に示すため、調査対象を学位取得者以外にも広げている。日本の調査結果はミレニアル世代319名、Z世代301名(各世代、男女比ほぼ1:1)の回答を基に分析している。

 

日本の調査結果をまとめたデータブックはこちらをご覧ください。

グローバルの調査結果(英文)

 

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