ニュースリリース

デロイト トーマツ 、「2022年 CxOサステナビリティレポート」を発表、日本とグローバルで従業員や顧客へのメリットの認識に差異

日本の経営者の91%が気候変動に対して迅速なアクションの重要性を認識し、前回調査から32%上昇。日本では気候変動への取組みが顧客満足や従業員士気に好影響との認識がグローバルよりも10%以上低い

2022年2月18日

デロイト トーマツ グループ(東京都千代田区、グループCEO:永田高士)は、デロイトが21か国、2,083名の経営者を対象に実施した調査に基づき、日本の経営者の回答結果をまとめた「2022年CxOサステナビリティレポート」を発表します。デロイトは、気候変動やサステナビリティに関する経営者の意識や戦略を調査し、その変化を定点的に観測しています。今回の調査では、ビジネスリーダーたちが気候変動をどのように捉え、行動し、ビジネス戦略を変革しようとしているのかについて考察する中で、顧客や従業員といった個々のステークホルダーへのメリットやプレッシャーの認識、アクションといった点で日本とグローバルの経営者の意識の違いが浮き彫りになりました。

グローバルと同様に、日本の経営者の中でも気候変動に関する懸念はここ数カ月の間で急速に高まっています。「世界は気候変動への対応の転機に立っている」とした日本の経営者は、8カ月前にデロイトが行った調査と比べて16%上昇し、75%となりました。さらに、日本の経営者の91%は、「ただちに行動を起こせば、最悪の影響を抑えることができる」とも回答しており、この数値は8カ月前に行った調査から32%と大幅に上昇しています。(図表1)

図表1:気候変動に関する日本の経営者の見解
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さらに、日本とグローバルの経営者はともに、気候変動に関してステークホルダーからのプレッシャーを強く感じていることが今回の調査で示されています。日本の経営者の4分の3以上が、「消費者/クライアント/顧客」(78%)、「銀行」(78%)、「規制当局/政府」(77%)、「取締役会/経営陣」(75%)から、気候変動のアクションに対してプレッシャーを感じていると回答しています。このことから、気候変動への取り組みは、様々なステークホルダーから対応を迫られるテーマとなっており、その対処次第で経営課題になりうるリスクであることが伺えます。さらに、日本では、銀行からのプレッシャーがグローバルよりも23ポイント高くなる一方、従業員からのプレッシャーはグローバルよりも4%低い回答になっています。また、「競合他社」もグローバルより7ポイント高い73%となっており、日本の経営者は社外のステークホルダーの動向を強く意識していることが表れています。(図表2)

図表2:ステークホルダーからのプレッシャーに関する見解
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自社の気候変動への取り組みがプラスに働く分野については、「ブランド認知と評判」が日本・グローバルともにトップに挙げられている一方で、グローバルの経営者は日本に比べて「顧客満足度」、「従業員の士気とウェルビーイング」、「投資家へのリターン、満足度」の回答が高くなりました。特に、「顧客満足度」や「従業員の士気とウェルビーイング」では日本の経営者よりも10%以上高いうえ、「従業員の採用と定着」をメリットと感じる数字も高くなっています(図表3)。グローバルでは、気候変動への取り組みをリスクへの対応としてだけではなく、様々なステークホルダーとの関係を向上する機会としても捉える傾向が強く示されました。

図表3:気候変動やサステナビリティの取り組みがプラスに働く分野
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気候変動への取り組みとして企業が既に講じているアクションとしては、日本、グローバルの経営者ともに、「エネルギー利用の効率性向上」、「より持続的な原材料の使用」が上位2項目に入っています。しかし、上位3から5項目に選ばれたアクションは日本とグローバルで異なっています。日本の経営者たちの回答からは、「再生可能エネルギーの購入」が3位に、「異常気象のリスクに保険の購入」が4位に選ばれており、社外からの購入という選択肢を積極的に取り入れていることが窺えます。一方、グローバルの経営者は、「従業員教育」(4位)や「飛行機による移動を減らす」(5位)を挙げており、最も身近なステークホルダーである従業員との関わりを高めながら、その意識や行動の変化を促していることが示されました。(図表4)

図表4:既に講じている気候変動の取り組み上位5項目
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デロイト サステナビリティ 日本統括責任者およびデロイト トーマツ サステナビリティ株式会社代表取締役 達脇恵子のコメント

グローバルの経営者は、気候変動への取り組みを外圧への対応という観点だけで見るのではなく、ステークホルダーとの関係を向上する機会とも捉えている。日本においても、これまでと違い、若者の「エシカル消費」への関心の高まりにも表れているように、消費者や顧客の行動が急速に変化してきており、それに伴って従業員の意識も変わりつつある。こうした変化は、経営層が考えている以上に早いペースで進んでおり、今回の調査結果から、まだ多くの経営者がこの変化のスピードを十分に意識できていない可能性があることが示されている。企業が自社ビジネスにおいて「カーボンニュートラル」を達成するためには、従業員や顧客を含むあらゆるステークホルダーを巻き込んで取り組むことが必要不可欠である。日本企業の経営者は、急速に進む社会の変化に目を向けて、気候変動が自社のビジネスにもたらすリスクと機会の両面を把握し、ステークホルダーとの間で解決すべき課題や達成すべき目標を共有しながら、戦略的かつ全方位的に取り組みを強化していく必要がある。

「2022年デロイト グローバルCxOサステナビリティレポート」(英語)はこちらからご覧いただけます。また日本の調査結果のまとめ(日本語)はダウンロードボタンよりご覧いただけます。

 

【調査概要】

本調査は、KS&R Inc.の協力の下、2021年9月から10月に実施され、アメリカ、アジア・太平洋、ヨーロッパ・アフリカの21カ国において大手企業経営者(CEO、CFO等の上級役員クラス)と政府・公共機関の上級職2,083名から回答を得た。うち日本からの回答は106名。民間企業の回答者は全て、年間売上高5億米ドル以上の企業経営者であり、うち年間売上高50 億米ドル以上の企業が29%を占めた。

<報道機関の方からの問い合わせ先>

デロイト トーマツ グループ 広報担当 高木、菊池
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