デロイト トーマツ、ヤングケアラー支援の効果的取組を調査「心理的な負担軽減の効果」が明らかに ブックマークが追加されました
ニュースリリース
デロイト トーマツ、ヤングケアラー支援の効果的取組を調査「心理的な負担軽減の効果」が明らかに
本人や家族、支援団体へのアンケートとインタビューを実施し、取組事例やポイントを提示。本人が「利用してよかった」と感じる支援は、年代で異なる傾向
2024年4月24日
デロイト トーマツ グループの有限責任監査法人トーマツ(東京都千代田区、包括代表:大久保 孝一)は、ヤングケアラー(本来大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを日常的に行っているこども*)を、自治体や支援団体が効果的に支援していくための取組や課題をまとめ、2024年4月24日に公開しました。ヤングケアラー本人、家族や支援者側に対するアンケートやインタビュー調査を通して、支援がヤングケアラー本人の心理的負担を和らげたとの評価がある一方、効果的な影響をもたらした支援が年代により異なることや、世話を受けている家族へのより一層の配慮が求められていることなどの課題も明らかになりました。
本調査研究では、まず、1,221の地方自治体、ヤングケアラー78人、家族20人、30の支援団体に対してアンケート調査を実施しました。さらに、アンケート調査では把握しきれない、個別の内容を知るためのインタビュー調査を実施し、それらの調査結果を踏まえ、効果的な影響をもたらした取組事例の収集・分析を実施しました。なお、本調査研究は、ヤングケアラー支援の更なる充実・強化を目的に、こども家庭庁の令和5年度こども・子育て支援推進調査研究事業国庫補助を受け、「ヤングケアラー支援の効果的取組に関する調査研究」として実施したものです。
主な調査結果は以下の通りです。
※本調査研究の報告書の引用に関しては、参考として該当箇所を記載しています。全文はこちらをご覧ください。
ヤングケアラー支援全般に共通する基本的な姿勢
こども・若者自身の年代や、ケア対象者の状況別で効果的な影響をもたらした支援は異なるものの、ヤングケアラー支援全般において共通して持つべき基本的な姿勢として、ヤングケアラーの捉え方、家族全体を捉える視点、支援につなげることを焦らないなどが示されました。
【報告書 第6章 考察「1.支援における基本的な姿勢(1)ヤングケアラーの捉え方」掲載の声】
- 「ヤングケアラー支援は、かわいそうなこども・若者を助ける、ということではない。誰もがケアを担う可能性があり、ケアが必要な家族と一緒に暮らすことがある。そのため、こども・若者が、ケアのことも家族のことも悪者にせず、自分らしくいられる時間を大人と社会が守ろうとする姿勢が重要である」(検討委員会委員)
- 「母を心配して話を聞く側面と、話を聞かないと家庭が回らないため聞かざるを得ない側面と、話を聞くことで自分が安心して寝られる、という打算的な側面があり、様々な感情が生じていた」(本人インタビュー)
- 「虐待やひとり親家庭、発達障害や不登校など、親に自責の念を感じさせない、傷つけないために最も適切なアプローチは何かをよく考える」(支援団体インタビュー)
家族や自分についての相談が、心理的な負担軽減に
本人向けアンケートにおいて、利用してよかったと一番に感じる支援について尋ねたところ、「お世話を必要とする家族や、自分自身のことについての相談」という回答が34.6%と最も多くなりました。年代別では、家事能力が相対的に低い小中学生は「家事やお世話の代行、手伝い」のニーズが高く、中学生以上においては徐々に「相談」の割合が高まる傾向がみられました。
【報告書 第4章 アンケート調査 図表4-39 利用してよかったと一番に感じる支援(単数回答)】
※回答割合上位1つに色付け
また、本人向けアンケートにおいて、利用してよかったと一番に感じる支援について、その理由を尋ねたところ、年代全般で「精神的な負担、ストレスが減った」、「孤独感が減った」、「将来について考える時間やきっかけができた」といった精神面のサポートのニーズが高い様子がみられました。
【図表4-40 (一番よかったと感じる支援について)利用してよかったと感じる理由(複数回答)】
※回答割合上位3つに色付け
広報啓発における留意点(ヤングケアラーの家族への配慮)
支援団体インタビューにおいては、次のような声が聞かれました。
「『ヤングケアラー』という言葉自体が家族を傷つけることもあるという事実はある。それはメディアを通じて「こどもがかわいそう」というイメージがつくられていることが大きい。ヤングケアラーと家族の関係性はケースバイケースであるという理解を広めていくことが重要だと考える」「今現在家族と関わるケースもあるが、『ヤングケアラー』という言葉のネガティブなイメージから家族へ話してほしくないというこどもや若者もいる」。
また、家族向けアンケートにて広報活動における留意点を尋ねた際にも、以下のように同様の声が聞かれました。
- こどもに迷惑をかけているのか、と申し訳ない気持ちになる。
- 自分のこどもがヤングケアラーであることがそもそも悪いなと感じている。
など
引き続き、より家族への配慮も行った上での広報啓発が求められます。
* こども家庭庁ヤングケアラー特設サイトより(https://www.mhlw.go.jp/young-carer/)
当法人ではこれまで、各官公庁等の調査案件を通して、①ヤングケラーの実態や多機関・多職種連携による支援マニュアル、②児童福祉部門と教育分野に焦点を当てた市区町村における運用の手引き、③ヤングケアラーの気持ちに寄り添い、「こどもの話を、こどもを主役として聞いてくれる大人がいる」環境を作るためのアセスメントツールの作成等、ヤングケアラーの当事者と自治体等の支援者との双方の視点から、ヤングケアラーに関する調査研究を実施してきました。本調査研究はこれらを通じて蓄積した知見を活用して取り組みました。
<報道機関の方からの問い合わせ先>
デロイト トーマツ グループ広報担当 西原
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