ナレッジ

2016年度上半期における鉄道業界の振り返り

2016年度上半期における鉄道業界の経営環境を踏まえ、主要な鉄道会社の業績を参考に、鉄道業界の動向をご紹介します。 著者:有限責任監査法人トーマツ 公認会計士 齋藤 貴志

1.2016年度上半期の鉄道業界の振り返り


(1)2016年度上半期の鉄道業界の動向

2016年度上半期は国内景気の緩やかな回復傾向が続いていて、鉄道業界は、景気の回復傾向、インバウンド効果、北海道新幹線の開業などにより堅調に推移し、鉄道収益も堅調な伸びとなりました。ただし、鉄道事業者の中には、シルバーウィークの曜日配列の関係や熊本地震などによる減収要因もあり、鉄道収益が減収となっている鉄道事業者もあります。

(2) JRと民鉄との比較

JRでは、新幹線を中心に長距離輸送を持ち鉄道事業の割合が高いのに対し、民鉄では、近距離路線が中心であり鉄道事業以外の周辺ビジネスの割合が高いという特徴を有していますが、2016年度上半期は、いずれも旅客輸送量が好調に推移したことにより、鉄道事業の収益増に寄与している点で共通しています。

JRは鉄道事業を含む運輸業セグメントの外部売上が7割を占めており、2016年3月には北海道新幹線が開業しました。JRのうち、東海道新幹線を運営するJR東海は運輸業セグメントの比率が比較的高く、JR九州は鉄道以外にも積極的な事業展開を推進し、運輸業セグメントの比率が比較的低くなっています。なお、JR九州は2016年10月に上場しました。

JR上場4社の業績概況

(出所:各社の決算短信及び決算補足説明資料より著者が集計)

民鉄は、近距離路線が中心であり、JRのように路線拡大による収益拡大は容易でないため、バスやタクシーといった鉄道以外の運輸事業、小売や飲食店などの流通事業、周辺の住宅開発やオフィス賃貸といった不動産事業、ホテルやレジャー施設の運営、広告代理など、多岐に及ぶ鉄道以外の事業を展開しており、鉄道事業の占める割合は大半の会社で5割を下回っています。
そのため、鉄道以外の事業の状況が業績に与える影響は大きいですが、2016年度上半期の大手民鉄上場14社を見ると、鉄道事業を含む運輸業においてインバウンド効果も堅調であり、好業績の下支えとなっています。

2.今後の展望

(1)2016年度の業績予想

鉄道会社の業績予想は全体的に固めな傾向にありますが、鉄道事業を柱とするJRと周辺ビジネスを柱とする民鉄とではその内容が異なっています。

2016年上半期が終えたところで、鉄道業上場企業(18社)の2016年度業績予想は当初予想から大きな変更はありません。
JRにつきましては、JR東日本とJR西日本で2016年度から新幹線鉄道大規模改修引当金を積み立てることにより経常利益は減益予想となっています。一方、民鉄では、一部の会社で大型の不動産開発関連等鉄道事業以外の要因で増収予想となっているものの、利益面では大きく寄与するようなものではなく、運輸収入も伸び悩み、減益予想となっています。

(2)年末年始の状況

JR各社及び民営鉄道協会から年末年始の利用状況が発表されました。
JR各社は12月28日からの9日間の利用人数を発表しており、JR東日本は新幹線・特急等の利用が前年比103%、JR東海は新幹線・在来線の利用が前年比105%、JR西日本は新幹線・在来線の利用が前年比103%、JR九州は新幹線・在来線の利用が前年比101%と、各社前年を上回っています。
民営鉄道協会は12月31日からの4日間の大手民鉄16社の利用人数を発表しており、大手民鉄16社合計の定期外旅客輸送実績が前年比100.3%と、わずかに前年を上回りました。
※ 本文中の意見に関る部分は執筆者の私見であり、デロイト トーマツ グループの公式見解ではございません。

関連するサービス

オムニチャネル戦略(航空・運輸業種向け)

多くの顧客を魅了してやまないコンシューマービジネスの一つである航空・運輸業界のオムにチャネル戦略を支援します。

 

MRO (Maintenance Repair Overhaul)関連サービス

MRO業務改革によるリードタイム改善、コスト削減をご支援いたします。 

 

CSR・サステナビリティ(再生可能エネルギーセクター)

デロイト トーマツ グループでは、全社的なCSR・サステナビリティ戦略と連携を図りながら、企業の再生可能エネルギー事業に対するサポートを提供します。 

お役に立ちましたか?